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okujou_no_yurirei-san:2005

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相原美紀

ごめんなさい、ホームルーム終わって、急いで来たつもりだったんだけど……。

来た! 来てくれた!

木曜日の放課後。わたしは、ホームルームが終わると教室から駆けだして、まっすぐに屋上に向かった。

相原先輩はまだ来てなくて、誰もいない屋上だったんで、ちょっと不安になったけど、先輩の教室のある奥校舎からここまでの距離を思い出して、心を落ち着けた。

そして、待つことしばしだった。

先輩が、来てくれた。

相原美紀

ちょっと待たせちゃったかしら。

牧聖苗

ううん、そんなことないです!

わたしは慌てて首を横に振る。全然待ってない。それよりも。

いつの間にかカバンに入ってたあんな手紙、あんなことが書いてある手紙、それをちゃんと読んで、こうして来てくれたのがうれしかった。

相原美紀

あ、あの、それで……。

牧聖苗

は、はい。

相原美紀

話したいことって……、なにかしら……。

牧聖苗

は、はい!

牧聖苗

あ、あの……。

何度も考えていたのに、何回も頭の中で練習したのに、いざとなったら言葉が出てこない。

牧聖苗

わ、わたし……!

どうしよう、すぐに次の言葉が出てこない。

先輩の顔が、すぐ近くにあるのに、ぐるぐる回って見える。ああ、なんか困ってるっぽい!

そうだよね、あんな、なんかもう、思いの丈ってのをぶちまけちゃった手紙を読んでくれたんだもの。

わたしがこれからなにを言い出すのか、わかっちゃってるのかな? それで困ってるのかな?

でも、でも、わたしが言わなくちゃ!

牧聖苗

わ、わたし……! せ、先輩のことが、す、す……。

言え、言っちゃえ、わたし!

牧聖苗

す、好きなんです!

相原美紀

………………。

あああ、びっくりしてる。そんな感じっぽい。

牧聖苗

ああ、あの、わたし、変なこと言ってるってわかってます。

牧聖苗

わたし、女の子で、先輩も女の人だって、わかってます。でも……!

牧聖苗

先輩のこと、好きなんです! ほ、ほんとに!変だってわかってるけど、変なことだと思うかもしれませんけど……!

牧聖苗

好き……、なんです!

い、言った……! 言っちゃった……!

言い終えたことで、ちょっと気持ちが落ち着いたのかもしれない。改めてわたしは先輩の顔を見た。

相原先輩は……、その、なにかとても困ったような顔をしていた。そう、だよね、いきなり一回しか会ったことのない一年生にこんなこと言われて……。

牧聖苗

ご、ごめんなさい、先輩。あの、わたし、変なこと言っちゃって……。

相原美紀

え、あ、うん……、ううん、その……。

牧聖苗

でも、ほんとに……、あの日、先輩に助けてもらってうれしかったんです。汚れた制服、きれいにしてもらって、うれしかったんです。

牧聖苗

それで、素敵な先輩だなって思って。それからずっと、先輩のことが気になって、気になって、それで……。

牧聖苗

こんなのって、変ですか……。女の子同士なのに、こんなのって……、あり、なんでしょうか……?

わたし……、なんで先輩にこんなこと聞いているんだろう。でも。

変でも、いい。ありだって言ってほしい。

相原美紀

あ、あの、牧さん……。

牧聖苗

はい!

相原美紀

変かどうかって、その、ありかどうかってのは、よく、わからなくて……。

牧聖苗

………………。

そっか、そうだよね……。

相原美紀

でも……。

相原美紀

手紙に書いてあった、牧さんのお礼の言葉は、わたし、とてもうれしかったの。

牧聖苗

え……?

相原美紀

ちょっと案内してあげただけなのに、あんなに感謝してくれたの、うれしかったのよ。

相原美紀

だから、こんな人と、友達になれたらうれしいなって、そう思ったの。

牧聖苗

え、えと、先輩……。

相原美紀

だからね、まずはその、友達から、ね?

牧聖苗

先輩……。

えっと……、うれしいのかな、これって。いいのかな、友達なら……。

相原美紀

ごめんなさい。牧さんの好きがわたしにはまだ、よくわからないから……。友達として、まず好きになってみようと思うの。

相原美紀

それじゃ、ダメかしら……?

牧聖苗

い、いいえ!

ダメじゃない!

牧聖苗

わ、わたしも先輩と友達になりたいです!

う、うん、まずは友達から、それでもいい! だって。

相原美紀

よかった……。うん、まずは友達から始めましょう。そこからなら、牧さんのこと、きっと好きになれるし、好かれたいって思うわ。

わたしのこと、好きって言ってくれたから。

先輩が、わたしのこと、そうやって好きになってくれるなら。

相原美紀

それから先は、ゆっくりと考えていきましょう。わたしも、よくわからないから。

牧聖苗

はい! 先輩、これからよろしくお願いします!

相原美紀

ええ、こちらこそ。よろしくね、……牧ちゃん。

牧聖苗

はい!

やったぁ! やっぱり、うれしい! 先輩と友達になれた! 好きって言ってもらえた! それに、牧ちゃんって!

心の中でガッツポーズを決めた時、背中の方からかすかに、なにか、拍手みたいな音がした。

誰かいたのかなって思って振り返ったけど、そこには誰もいなかった。

相原美紀

どうしたの、牧ちゃん。

牧聖苗

あ、いいえ、なんでもないです。あの、今日はありがとうございました。

相原美紀

ううん、こちらこそ。あ、ごめんね、せっかく友達になれたのに、わたし、ちょっと今から委員会の仕事があって……。

牧聖苗

あ、いいんです! それよりも! あの、わたしもお手伝いしていいですか?

相原美紀

え……?

牧聖苗

お手伝いしたいんです、先輩の! 一生懸命やりますから!

相原美紀

え、ええ……。

先輩と一緒に、屋上を出る。最後にもう一度、音が聞こえた方を振り返ったけど、やっぱり誰もいなかった。

うん、でも、誰もいなかったよね。でも、なんか聞こえた気がした。

おめでとう、そんな声も。

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okujou_no_yurirei-san/2005.txt · Last modified: 2013/06/01 22:49 (external edit)