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okujou_no_yurirei-san:2004

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連休明けの月曜日。今日こその決意のもと、わたしは相原先輩の教室に向かった。

向かったんだけど。

牧聖苗

(あぁ、今日も人がいる……)

もう、慣れたつもりでいたはずなのに、やっぱり連休明けで仕切り直しって気分が強かったのか、がっくりときた。

教室の中には、今日も三年生が残っていた。もう、顔も憶えちゃった。残っておしゃべりしていることの多い人たちだ。

しかも、先輩の席のすぐそばで。

牧聖苗

(うう、早く帰ってほしいのに……。無理だろうな、今日もお菓子、広げてるし……)

牧聖苗

(はぁ……、今日もダメなのかな……)

牧聖苗

(この手紙……、早く渡したいのに……。早く先輩に、読んでほしいのに……)

本当に。

早く先輩にこの手紙を読んでほしい。わたしの書いたことを、そして、今の気持ちを伝えたい。

いつまでも伝えられないままでいたら、薄れてしまいそう、消えてしまいそう、ううん。

牧聖苗

(なにか、この気持ちが間違っていたって思っちゃいそうなんだもん……)

だから、今日こそはって思ったのに……。

牧聖苗

(神様っていないのかなぁ……)

そんなことを思いつつ、今日もダメかなって、帰ろうかなって思った時だった。

「ねぇ、ちょっと誰かぁ! 校舎の中に犬が入ってきてるーっ!!」

牧聖苗

え!?

不意に、廊下の向こうの方から大きな声が聞こえてきた。

牧聖苗

え、犬!?

そんなのが入ってくるの、この学校。

どうしよう、もう今日はダメそうだから見に行こうかなとか思った時。

牧聖苗

!?

わたしが立っているのと反対側のドアが開いた。

「え、犬? マジで?」「どこどこ?」

そんなことを話しながら、中にいた人たちが出てきた!

その人たちが目の前を通り過ぎる。誰も、わたしに興味はないのか、そのまま、声のした方へ廊下の向こうへ、歩いて行く。

牧聖苗

(これって大チャンス!?)

わたしは、慌てて教室の中をのぞき込む。誰もいない。よし!

扉を開けた。チャンスは今しかない! 速攻で決める!

牧聖苗

先輩の席、先輩の席……。

間違えるはずがない。迷わずにそこに向かう。

牧聖苗

ど、どっちに手紙入れよう……!?

カバンもある。どっちにする? 机の中? カバンの中?

すぐに気付いてもらえそうなのは……。

牧聖苗

カバン……! 先輩、ちょっとごめんなさい。

カバンのジッパーをちょっとだけ引き開けて、そこに手紙を押し込む。そして、すぐに閉める。

牧聖苗

……!

やった、任務成功! なんか、スパイになった気分。

はっ、すぐにここから出なきゃ。あの人たちが戻ってくるかもしれない。

わたしは廊下目指して駆け出す。

教室を出て、扉を閉める。そして、今度は廊下を走り出す。

牧聖苗

(うわ、うわー、うわああああ!)

顔から火が出そう。ついに、手紙を入れちゃった。あの、手紙を。先輩に読んでもらうために。

先輩、あの手紙に気付いてくれるかな。わたしのこと、憶えていてくれてるかな。名前を見て、わかってくれるかな。

そして……。

牧聖苗

(書いてあること、ちゃんと読んでくれるかな……。読んだら……)

牧聖苗

(どう思ってくれるんだろう……)

気持ち悪いとか思われないかな。今度の木曜日の放課後に、屋上で。そう書いた。ちゃんと来てくれるかな。

そんな心配が浮かんでくる、浮かんでは来るけど。

でも、今は、それ以上に。

牧聖苗

やったぁ……。

うれしい、うれしい。うれしくて、泣き出しそう。なんでだろう。

やっと、先輩に今の気持ちを伝えられるかもしれない。そのための第一歩を踏み出せたからかな。

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okujou_no_yurirei-san/2004.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)