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okujou_no_yurirei-san:1608

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榎木サチ

結奈さん、いらっしゃい。……あら。

永谷恵

どうしたの、結奈、今日は。阿野ちゃんと比奈ちゃんも一緒で。

遠見結奈

あ、うん。その、今日はね。

月曜日のお昼休み。私は、阿野と比奈を誘って、お弁当を持って、屋上に来た。

二人に、サチさんと恵を紹介したかったから。サチさんと恵に、ちゃんと私の友達を紹介したかったから。

大切な人を紹介したかったから。

狛野比奈

屋上、久しぶりに来た。……アノちゃん、だいじょぶなの? 高いとこ、怖くないの?

阿野藤

あ~、それはね~。なんというか、あたし別に、高いとこ、怖くないんだよ~。

狛野比奈

ん?

阿野藤

これから結奈が紹介してくれる幽霊さんがいたから、お邪魔したくなかっただけでね~。

狛野比奈

ん、そう。

榎木サチ

紹介?

遠見結奈

ええ。

私は、サチさんに答える。いつものような、幽霊の二人にだけ聞こえる、小さな声ではなく。

遠見結奈

二人にちゃんと紹介したかったの。

ああ、これ、どっちに対しても通じるかな。ちょっと訂正。

遠見結奈

阿野と比奈に、サチさんと恵を紹介したかったの。

遠見結奈

あと、それと……。

遠見結奈

サチさんと恵に、ちゃんと紹介したかったの。私の友達と……。

遠見結奈

恋人を。

はっきりとした言葉、それを声に出して。

榎木サチ

え……? こ、恋人!?

永谷恵

ちょっと結奈! それって!

阿野藤

ゆ、結奈! 返事したんだ!?

うわ、三人から同時に聞かれると思わなかった。

遠見結奈

ちょ、ちょっと落ち着いて! まずはちゃんと紹介させてよ。

遠見結奈

えっと、阿野、比奈。

阿野藤

う、うん。

狛野比奈

ん。

私は、サチさんと恵のいる方を、そっと手で指し示す。

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遠見結奈

たぶん、見えてないと思うんだけど。ここにいるのが、榎木サチさんと、永谷恵。その、幽霊なんだけどね。

榎木サチ

百合霊よ。

すみません、今、それは無視。

遠見結奈

友達なの。あの、ほんとにいるのよ? えっとその、別に信じてくれなくてもいいんだけど、私の友達なの。

狛野比奈

んー……。

比奈が、私の手の先を凝視している。

阿野藤

比奈ちゃん、見える?

狛野比奈

んー……。……なんにも見えない。

阿野藤

たはぁ、やっぱりかぁ。

狛野比奈

アノちゃんは? なにか見える?

阿野藤

うん、まぁ、ぼんやりとね。今日はいつもよりちょっとはっきりしてるかなぁ?

榎木サチ

え? あの、結奈さん? 阿野さんって……。

遠見結奈

ええ、なんか、少し霊感があるって。サチさんと恵のことも、ちょっと見えてたって。

永谷恵

へぇ~、そうだったんだぁ。

遠見結奈

まぁ、比奈は仕方ないかな……。私だって、あの日まで全然、見えなかったんだし。

狛野比奈

んー……、でも、いるんでしょ? その、サチさんと恵……、さんって。

狛野比奈

結奈ねぇがそう言うんだもん。

遠見結奈

う、うん……。

狛野比奈

じゃ、いる。あたしが見えてないだけ。

遠見結奈

そ、そう……。

阿野藤

比奈ちゃん、すごいねぇ。

阿野がほんとにおかしそうに笑ってる。私も、比奈が信じてくれてるのはうれしいけど、ちょっとこの素直さは不安というか。

遠見結奈

それでね、サチさん、恵。

うん、改めて。今度はサチさんと恵に。

遠見結奈

もう知ってると思うけど、こっちが阿野藤。私の友達。そして……。

私は、比奈の手をとって、引き寄せる。そっと肩に手をおいて、抱き寄せる。

遠見結奈

この子が、比奈。私の……、恋人、です。

狛野比奈

ん。よろしくです。

私の見ている方に視線を合わせて、比奈がお辞儀する。

榎木サチ

そう……。ちゃんと、答えてあげたのね、結奈さん。

遠見結奈

ええ、まぁ、なんとかやっと。

永谷恵

もう、待たせるんだからぁ。

遠見結奈

しょうがないでしょ。簡単に答えなんか出なかったんだから。

簡単な答えだったけど。私は、ずいぶん悩んで、迷って、頭の中で回り道ばっかりしていたみたい。

それでもやっと、比奈に答えることができた。自分の気持ちを伝えることができた。

好き、と、言うことができた。

遠見結奈

ちゃんと、報告しようと思って。そして、二人のことも、教えてあげようと思って。

榎木サチ

そう。……うれしいわ。

永谷恵

まぁ、二人とも、こっちの声、聞こえてないけどね。うん、でも、わたしもその……、よかったと思うわよ、結奈。

遠見結奈

ん、ありがと。

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もし、半年前。この二人に会わなかったらどうなっていたんだろう。

二人の百合霊のお手伝いに巻き込まれなかったら、どうしていたんだろう。

いろんな人の、気持ちを、想いを、恋を、そしてその結果を見てこなかったら、知っていなかったら、どうだったんだろう。

私は、比奈にちゃんと、答えを出せていたんだろうか。

もしかして、逃げ出したりしていなかっただろうか。

ちゃんと、好き、と伝えられただろうか。

遠見結奈

それでね、サチさん、恵。

お弁当を食べ終わって。百合霊の二人にもちょっとだけ、お裾分けしたりして。

阿野と比奈に、まだ幽霊の二人と話があるからと言って、先に帰ってもらってから。

遠見結奈

その、一つ、提案があるんです。

私は、サチさんに切り出した。ちょっと胸がドキドキするのを自覚しながら。

遠見結奈

恵から聞いたんだけど、その、サチさんたち、えっと、あの、うまく、できなかったって……。

遠見結奈

その、初体験……、というか、Hが……。幽霊同士だと、うまくいかなかったって……。

榎木サチ

……え、ええ。まぁ、そうだけど。

遠見結奈

それで、ですね。

すごいこと、提案しようとしてる、私。

遠見結奈

その、もしよかったらだけど、その……。

遠見結奈

私と比奈に、二人が憑依して、その……、え、H……、しても、いいですよ……?

二人は幽霊。生きている私たちに、ぴったりとくっつけば、感覚を共有できる。

そして、もっと深く取り憑けば、憑依すれば、私たちの体を操ることもできる。

知っていたけど、そんなのゴメンだし怖いから、絶対やらないでくれって今まで言ってたけど。

遠見結奈

その、い、一回だけ、なら……。

一回だけなら、いい。私は、二人の目的を知っている。幸せな初体験を迎えることで、この世に残った未練をなくすことができるってことを。

だったら。

一度くらい、なら。そのために、私と比奈の体を使ってもらっても……、いい。

榎木サチ

ゆ、結奈さん……。その……、いいの……?

遠見結奈

は、はい。

永谷恵

ほ、ほんと!? で、でも、比奈ちゃんは?

遠見結奈

比奈にも、話してあるわ。その、ちゃんと了解してもらってるの。

昨日の朝、告白のあとで。好きって伝えたあと、いきなりそんなことを話すのもどうかと思ったけど。

この二人のために、私ができることを考えたら、ちゃんと話すしかなかった。だって、二人がいなかったら、私、比奈に答えられたかどうか、わからなかったから。

比奈にちゃんと説明できたか、比奈がちゃんとわかってくれたか、正直、自信がなかったけど、あっさりと比奈はうなずいてくれた。

榎木サチ

そ、そう……。

榎木サチ

恵、そんなことまで、結奈さんに話していたのね。

永谷恵

ごめんなさい、サチさん。でもぉ……。

榎木サチ

……いいえ、恵を責めるつもりはないわ。でも。

榎木サチ

結奈さん、本当に、いいの?

サチさんは、もう一度、私に聞き返す。いつもの、優しげな目で。

遠見結奈

はい。いいです。

私は、答えた。他の答えはない。

二人にできることは、今の私には、これだけだから。

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okujou_no_yurirei-san/1608.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)