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okujou_no_yurirei-san:1604

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コーヒーが苦い。

間違えて、ブラックのコーヒー、買っちゃったから。考えごとしたまま、自動販売機のボタンを押すもんじゃない。

どうしよう、まだ、半分以上残ってるけど。捨てるのもったいないけど、ちょっと飲みきるのも大変だし。

こんなことで悩んでるくらいなら、もっと他のこと、考えなきゃいけないのにな……。

三山音七

結奈、こんちは~。

遠見結奈

あ、音七さん。

かけられた声に顔を上げてみたら、音七さんがトレイを持って、目の前に立っていた。

三山音七

ここ、いい~?

遠見結奈

ええ。

学食、そんなに混んでないけど……。友達に声をかけられて、他の席にいったらなんて言えるわけないし。

そんなに、一人でいたいとも思ってないし……。

三山音七

そんじゃ、お邪魔するね~。

テーブルを挟んで、私の前に座る音七さん。持っていたトレーには、チャーハンが乗ってる。

三山音七

いただきます。

遠見結奈

今からお昼?

もう、お昼休みの時間は半分以上過ぎてる。だから、学食も人が少なくなってきてるんだけど。

三山音七

そーだよ~。さっきまで教室で寝てたんだよね。昨日、ちょっと寝不足だったんでさぁ~。

遠見結奈

そう……。一木さんたちは?

三山音七

もうちょっと寝たいから、先にお昼食べてきなって言ったんだけどね~。ほら、あっち。

遠見結奈

え?

ちょっと行儀悪く音七さんがレンゲで指した方を見てみると。ちょっと離れた席の方に。

あ、一木さんと双野さん。一木さんが私に気付いて、手を振ってる。

三山音七

ま、いつもの通り、しっかり付き合ってくれてね~。あたしが結奈を見っけて、ちょっとこっちに来たわけ。

遠見結奈

そう……。

相変わらず三人一緒みたいだけど……、それでもこうして、音七さんだけ私に声をかけるとか、そういうことはできるようになったみたい。

一木さんと双野さん、今はもう、二人でなにか話してるみたい。

三山音七

ま、ちょっとは羽美の鬱陶しさも減ったというか、加減がきいてきたみたいだね~。

遠見結奈

そうなの……。

三山音七

……なるほど。

遠見結奈

え?

チャーハンを食べながら、音七さんが私を見てる。いつもの眠たそうな顔だけど。

三山音七

確かに、元気ないみたいだね~。というより、憔悴してない?

遠見結奈

え? そ、そう?

三山音七

まぁ、目がくぼんだり頬がこけたり、クマができてるわけじゃないけどね~。

遠見結奈

そ、そうかな……。

憔悴? そんな表現されるほど、ひどいのかな、今の私。

いつも眠たそうにしているわりに、音七さんが他人のこと、鋭く観てることは知ってる。双野さんの気持ちに気付いていたみたいに。

その音七さんに言われちゃうと、自分でもそうなのかなって気になってくる。

三山音七

あのさ、結奈。

遠見結奈

う、うん。

三山音七

阿野が心配してるみたい。わかってるでしょ?

遠見結奈

うん……。

音七さんはもともと、阿野と友達で、それから私も改めて友達になったようなもの。

音七さん、阿野から私のこと、聞いていたのかな。

三山音七

別に、阿野は結奈のこと、特になにも言ってないけどね~。

遠見結奈

そ、そうなの?

三山音七

ん~。ちょっと元気がないみたいって、一度、話に出たくらい。でもさ。

三山音七

それから、なにも結奈のこと、言ってこないからね。逆に、それがずっと続いてんじゃないかって思ってさ。

三山音七

当たってたみたいだ。

遠見結奈

………………。

ほんとに、音七さんってひそかに他人のこと、しっかり見てるんだ。

阿野が他人に私のこととか、ペラペラしゃべるとは思ってなかったけど。逆に、それで伝わってることもあるんだ。

音七さんとかに言えなくなるほど、私ってひどいのかな。それとも、阿野が気を遣ってくれてるのかな。

三山音七

ま、あたしゃ結奈に元気出してなんて言う筋合いないんだけどさ。なんでそうなってるのかも知んないしさ~。

三山音七

でも、阿野は結奈からなにか、言ってくれるの、待ってるよ。

遠見結奈

阿野が……。

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うん、前にもそう言ってくれた。私の方が、相談していいのかどうか、決心つかなくて。

まだ、決心がつかなくて。だって、こんなこと、人に相談していいのかどうか、わからない。

阿野のこと、信頼してないわけじゃない。阿野は、私のことも比奈のこともよく知ってるから。

でも、だから、相談できないのかも。阿野だって、私の相談に答え、出しずらいような気もするし。

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三山音七

阿野って、けっこういいヤツだよ、知ってるでしょ?

三山音七

なんで元気ないのか、それが阿野に言えることなのかどうか、知んないけどさ。まぁ、なんてのかなぁ……。

三山音七

ちょっと、安心させてやってよ。ノリの悪い阿野って、ちょっと落ち着かなくってさ。

遠見結奈

う、うん……。

三山音七

そんだけ。あ~……。

三山音七

なんかまた、らしくないことしてるなぁ、あたし。

三山音七

羽美のお節介が移ったのかもしらん。うん、話はそんだけ。チャーハン、食べてていい?

遠見結奈

うん……、どうぞ……。

音七さんは、話の間中、止めていたレンゲを動かし始める。テンポよく、口にチャーハン放り込んでいく。

らしくないって言ってたように、照れ隠しもあるのかな。こんなにスピーディにご飯、食べてるなんて。

grpo_bu0

そして、私は。

相当、いろんな人に心配かけてるんだってことを、自覚した。阿野もそう。こないだの園生先生と剣峰さん。今の音七さん。

自分だけで悩んでいるつもりだったけど、全然、それを隠し切れてない。まわりにバレまくってる。

なにより……。

答えの出ない私を、いちばん気にかけているのは……、比奈だ。

早く……、答え、出さなきゃ……。

遠見結奈

なんの用? こんなとこ、呼び出して。

放課後。星館校舎にある普段は使ってない空き教室。

使ってないって言っても、なにかの時にはここは予備の教室として使われているから、一応、いつでも授業とかできるように、机と椅子が並べられていて。

一、二年生はあまり使わないけど、放課後には自習室としても開放されている。

その空き教室に、ホームルームが終わった後、私は入っていった。

「放課後、2階の空き教室に来なさい」

そんな、血文字に呼び出されて。もちろん、こんな方法で私を呼び出すのは、恵しかいないんだけど。

永谷恵

遅いのよ。授業終わったら、さっさと来なさいよね。

遠見結奈

こっちはホームルームとか掃除とかあるのよ。

なんの用だっていうのよ。恵のこのナチュラルに生意気な態度って、ちょっとつられる。少しだけ、好戦的になれるというか。

ぼーっと考え事、しなくてよくなるっていうか。

私は、恵が中にいるのを確認してから、窓の外を見た。誰もいない。ここ、2階だから当たり前だけど。

遠見結奈

サチさんは?

永谷恵

屋上、かな? 今はサチさんはいいの。わたしが結奈に用があるんだから。

そうだったんだ。めずらしいな、この子がサチさんはいいって言うなんて。

でも、だから窓の外にもサチさんの姿がなかったんだ。わざわざ星館校舎の空き教室に呼び出したってことは、ほんとにサチさんには関係ない話なのかな。

……サチさんには、聞かれたくない話?

永谷恵

えっと、あの……。

遠見結奈

なに?

ほんとに、なんの用なんだろう。屋上でサチさんと一緒じゃないってことは、誰かにトラブルがあったとか、新しいカップルが見つかったとか、そういうことじゃないんだろうし。

話があるなら、早くしてほしい。こっちには、いろいろ考えなきゃいけないことがあるんだから。

永谷恵

その……。

遠見結奈

早く言ってよ。

永谷恵

……わ、わかったわよ、もう!

永谷恵

あ、あのねぇ、結奈!

遠見結奈

なによ。

永谷恵

あ、あんたねぇ、いつまで悩んでるのよ!さっさと比奈ちゃんに返事しちゃいなさいよね!

遠見結奈

はぁ!?

な、なんで恵がそんなこと言い出すの? しかも、そんな上からの口調で。さっぱりわからない。

永谷恵

もう何週間たってると思ってるのよ! 答えなんか決まってるんでしょ! さっさと返事しちゃえって言ってるのよ!

遠見結奈

な……。答えが決まってないから返事できないんでしょ! 勝手なこと言わないで!

永谷恵

決まってるわよ! 結奈がそれに気付いてないだけじゃない!

遠見結奈

決まってない! だから、勝手なこと言わないで!

決まっているなら、こんなに悩んでいない。

こんなに、まわりの人たちに心配されながらも、考えていない。

比奈を待たせたりなんかしてない!

永谷恵

勝手じゃないもん! とにかく、早くあんたに、比奈ちゃんに返事してもらいたいのよ!

遠見結奈

め、恵には関係ないでしょ!

永谷恵

関係あるのよ!

これは、私の問題でしょう?

確かに、いつまでも悩んでるのもどうかと思ってる。自分でも、いつまでもこのままじゃまずいって思ってる。

でも、恵に急かされなきゃならない理由はないはず。

永谷恵

でなきゃ……、サチさんとわたし、いつまでもエッチできないんだから!

遠見結奈

はぁ!? ……ど、どういうこと?

なんで、恵とサチさんの、その、Hすることが、私と比奈のことと……?

ほんとに、恵がなにを言ってるかわからない……。

永谷恵

わ、わたしとサチさん……、もう、一度、初体験しようと思って……、そ、その、してみたんだから……。

遠見結奈

え、ええ!?

永谷恵

で、でも、うまくできなかったの! 幽霊同士じゃ、お互いの体にさわることだってできなかったんだから……。

遠見結奈

い、いつのまにそんなこと……。

べ、別にいつしてもいいんだけど。

でも、幽霊同士じゃお互いにさわることもできなかった? そうなんだ。

たしかにそれじゃ……、その、Hなんかできそうにない……。

でも、それと、私と比奈のこと、なんの関係があるっていうの?

永谷恵

せっかく、みんなのしてるとこ、いっぱい見てどうやるかとかわかったのに……。

遠見結奈

み、みんなって……。

永谷恵

羽美さんたち、園生ちゃんと桐さん。サチさんは、牧ちゃんと美紀さんの。

遠見結奈

………………。

き、聞かなきゃよかった……。

永谷恵

ダメだった後も、陽香さんと愛来さん、茉莉さんと美夕さん! せっかく、どうすればいいか、いっぱいわかったのに……。

みんな、学校でなにしてるのよ……。

永谷恵

それなのに、幽霊同士だからできないなんて、そんなのないじゃない!

遠見結奈

そ、それはそうかもしれないけど……。

永谷恵

だから、結奈にさっさと比奈ちゃんに返事してほしいの!

遠見結奈

だから、それがなんの関係があるのよ!

永谷恵

結奈と比奈ちゃんに憑依すれば、わたしもサチさんにさわることができるからよ!

永谷恵

サチさんも、わたしにさわること、できるからよ! そしたら、わたしたち、エッチできるじゃない!

遠見結奈

な……!

な、なにを言ってるかわかってるの、恵!

た、確かに……、恵とサチさん、幽霊だから私に憑依できる。その時、私の食べたものの味とかわかる、けど。

もっと憑依すれば、私の体、操ることまでできる。それは知ってたけど……。

遠見結奈

そ、そんなこと、考えてるの!?

人の体、操るまで憑依するのはしないって約束、してある。だって、怖いから。なのに。

私と比奈に取り憑いて、え、Hする気? 勝手に体、操って?

永谷恵

そうよ!

永谷恵

ほ、他に考えたけど方法ないんだもん! わたしとサチさんがエッチするには他に方法がないの!

遠見結奈

や、やだ! そんなこと!

永谷恵

断る気……?

遠見結奈

当たり前でしょ!

永谷恵

断ったら……、一生、呪うわよ?

遠見結奈

脅されても、いやなものはいや!

永谷恵

言ったでしょ? 他に方法、ないの。だから、結奈がいやって言っても、取り憑いてやるわよ……?

遠見結奈

冗談じゃないわよ! なんで私と比奈がそんなことに付き合わなきゃならないのよ!

永谷恵

だって……、他に頼める人なんていないんだもん!

遠見結奈

……!

確かに、そうだけど……。

それでも、いやなものはいや。幽霊に取り憑かれて、体を操られて、Hするなんて。

だから、絶対に断る。どんなに脅されても、呪うって言われても。

そのつもりだったけど。

今の恵の顔は……。今にも、泣き出しそうで。

永谷恵

知らない人に取り憑くことだってできるかもしれないけど……。

永谷恵

わ、わたしだって……、結奈以外の人に、頼みたくないんだから……。

永谷恵

せ、せっかく、サチさんと一緒になれると思ったのに、うまく、いかなくて……。

永谷恵

やっと、考えついた方法なんだから……。こんな方法しかないんだったら……。

永谷恵

結奈たち以外に頼みたくないんだから……。

そのまま、涙、ポロポロこぼして。いつも使ってみせる、嘘泣きとは、ちがう、涙を。

永谷恵

結奈、あんたどうせ、わたしのこと、ワガママで自分勝手なヤツだと思ってるんでしょ……。

永谷恵

ええ、その通りよ。わたし、ワガママで自分勝手な人間なんだから!

永谷恵

だから、自分勝手にこんなこと言ってるのよ!わたしのために、比奈ちゃんにさっさと返事して!

永谷恵

そして、わたしとサチさんに、体を貸して。

涙をためたまま、こらえきれずにこぼしたまま、恵はまっすぐ、私を見て、そう言う。

永谷恵

でないと、わたしとサチさん、いつまでもエッチできないんだから。一緒になれないんだから。

永谷恵

サチさん……、せっかく願いがかなったのに……。みんなの手伝いができて、知りたいこと、知ることができたんだから。

永谷恵

それなのに、あんまりでしょ!?

遠見結奈

………………。

永谷恵

サチさんは、結奈がちゃんと答えを出すまで待ちましょうって言ってたけど、わたしはいつまでも待ってられないの!

永谷恵

知らない人からいきなり告白されて迷ってるならともかく、あんたの相手は比奈ちゃんでしょ?

永谷恵

それなのに、いつまでもウジウジ悩んでるの、見てらんないのよ! さっさと答えを出しなさいよ!

永谷恵

そして、サチさんの想いをかなえてあげて。

永谷恵

いい!? これはわたしの自分勝手なワガママなんだからね!

永谷恵

あ、あと。

永谷恵

今のこと、サチさんに言ったら、ほんとに呪うわよ?

永谷恵

わかった? 言いたいことはそれだけ。じゃあね。

そんなふうに言うだけ言って。

遠見結奈

………………。

なにも言えない私を残して、恵は教室の外に消えていった。

最後に言った通り、今のって恵が勝手に言いにきたことなんだと思う。サチさんには内緒で。だから、星館校舎のここに私を呼んだんだ。

遠見結奈

相変わらず、ほんとに、ワガママで、自分勝手で……。

でも、そんな恵の想いはいつだってまっすぐだ。まっすぐに、サチさんに向けられている。

確か、6月くらいだった。恵から、今日みたいに一方的に話をされたことがあった。

あの時も思った。まっすぐだなって。あの時は、ちょっと怖いくらいと思ったけど。

今はちがうかな。うらやましいくらい、サチさんに向かって、迷いのない、恵の想いが。

恵はどうだったのかな。サチさんに一目惚れした時、悩んだりしなかったのかな。

遠見結奈

はぁ……。

恵の気持ちは、わかった。事情も。

そんな簡単に了解できることじゃない。第一、私はまだ、比奈に答えを返していないんだし。まだ、迷っているんだし。

でも、サチさんと恵の間に、まさかそんなことがあったなんて。そんな問題があったなんて。

遠見結奈

どうしろって……。

もし、比奈にOKの返事を出した場合……。

今度は、このことを考えなくっちゃいけなくなるんだ……。

遠見結奈

もう……、全然、わかんない……。

頭が、ますます重たくなった気分……。

私は、恵がとっくにいなくなった教室から、重い足取りで出て行く。とりあえず、もう、家に帰りたい……。

狛野比奈

結奈ねぇ!

遠見結奈

あ、比奈……?

正門まで来たところで、比奈の声が聞こえて。振り返ると、玄関ホールの方から、比奈が走ってくる。

狛野比奈

今、帰り?

遠見結奈

う、うん。

狛野比奈

ん。一緒に帰ろ?

遠見結奈

え? う、うん……。

断る理由はない。帰る家は隣同士なんだし。でも。

狛野比奈

ん。

うれしそうに笑う比奈の顔を直視できなくて。私はあわてて目を逸らした。

狛野比奈

ん? どしたの、結奈ねぇ。

遠見結奈

ちょ、ちょっと……。う、ううん、なんでもない。

告白された後も、返事を待ってもらってる間も、比奈とは毎日、顔を合わせている。

朝ご飯、夕ご飯を一緒に食べる時とか。隣同士だし、今までの習慣もあるし。顔を合わせずにいる方がめずらしいし、わざわざ避けるのも難しいくらい。

比奈のことでずっと悩んでいても、ご飯は作らなくちゃいけないし、比奈はずっと、いつも通りに接してくれるから。

私も、なるべく普通に比奈と接している。そうしようとしている。少し、ぎこちなくなってしまうけど。

狛野比奈

そう?

遠見結奈

う、うん……。

でも、今日は。恵にあんなことを言われた今日は。

隣にいる比奈の顔、まともに見ることができない。

遠見結奈

(だ、だって……)

遠見結奈

(もしかしたら、その……。比奈と、Hすることに、なるの……?)

恵からのお願い、もし、比奈と付き合うことになったら、たぶん、サチさんからも同じことを頼まれるんだろう。

二人に、憑依されて? つまり、体を貸すってこと? そして、比奈と……?

遠見結奈

(そ、そんなこと、できるわけない……)

できるわけないって思っていても、意識はしてしまう。

狛野比奈

……結奈ねぇ、顔、真っ赤だよ? どしたの?

遠見結奈

……!

だって、意識しちゃって……。うっかり、想像しそうになっちゃって……。

遠見結奈

ご、ごめん。ちょ、ちょっと……。だ、大丈夫だから……。

狛野比奈

んー……。

なにが大丈夫なんだか、自分でもわからないけど。比奈に、こんなこと今、考えているなんて気付かれたくない。

返事もしてないのに、比奈とHするとかそういうこと、考えてるなんて……。

狛野比奈

熱、あるの?

遠見結奈

う、ううん、ちがうの。ちょっと、いろいろ……。

考え事、してて。そう答えそうになったけど。

比奈へのまだしていない返事をすっ飛ばして、こんなこと想像してるの、考え事なんて言って、比奈をごまかすのも恥ずかしいというか、情けなくて。

遠見結奈

ご、ごめん……。なんかいろいろあって……。ほんとにごめん……。

狛野比奈

んーん。いいよ、気にしないで。

遠見結奈

う、うん……。

狛野比奈

熱、ないんだよね?

遠見結奈

うん……。

狛野比奈

じゃ、いい。

ほんとに、比奈の方はいつも通りに見える。私がずっと返事をしてないこと、気にしてないのかな? そんなこと、ないと思うけど。

それでも、ずっと待っててくれる。私を急かしたりしないで。

そんな比奈って、芯が強い子なんだなって思うけど。そんな比奈の隣で、私は恵からの言葉で、いろいろ考えてしまってて。

狛野比奈

結奈ねぇ、耳まで真っ赤だよ?

遠見結奈

ぅぁ……!

慌てて、私は耳を隠す。ふさいだはずの耳に、比奈の小さな笑い声が届く。

狛野比奈

あはは、結奈ねぇ、なんか変。

ちょっとだけ、比奈の方を見た。笑顔が、目に入ってきた。うれしそう。そう言えば、一緒に帰るの、久しぶり……。告白された日以来かも……。

遠見結奈

……!

その笑顔に夕陽が当たってとてもまぶしくて、私はまた、目を逸らした。耳を隠していても、どんどん熱くなる頬は隠せなかった。

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okujou_no_yurirei-san/1604.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)