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okujou_no_yurirei-san:1306

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昼休み。いつものように屋上でお弁当を食べながら、百合霊の二人と次の『キラキラ作戦』の計画を練ったりして、その後。

教室に戻ってみれば、私の席に突っ伏して寝ている人がいた。

遠見結奈

あれ、三山さん?

阿野藤

あ、結奈、お帰り~。

そのそばに立っているのは阿野。三山さんも、気怠げに頭を上げた。

三山音七

あ、ごめんよ、遠見さん。ちょっと机、借りてる~。

遠見結奈

ええ、それはいいんだけど……。

まぁ、まだ予鈴がなるまで10分以上あるし。

それにしても、また、なのかな、三山さん。

この間も三山さん、阿野のところに来てたっけ。双野さんと一木さんの二人っきりの時間を作ってあげるとか言って。

三山音七

ま、だいじょうぶだよ~。さすがにお昼もあとちょっとで終わるからさ~。

三山音七

さすがに今度は呼び出しとかないはずだよ~。だからさ~。

三山音七

お願い、ちょっと寝させて。もう、羽美がほんとうるさくって、ゆっくり眠れないんだよ~。

阿野藤

相変わらずだね~、ねな。

ええ、そうだけど、学校に来てゆっくり眠れないってどうなのかしら。三山さんって、ほんとに眠りたがりって言うのかな。

それでいて、人のこと、よく見て気付いているところがあるのも不思議なんだけど。おもしろい人。

阿野藤

あ、そうそう、結奈。今度のテスト前なんだけどさ、また、勉強会やるでしょ?

ああ、そうか、夏休み前にテストがあったっけ。

うちの学校は前期後期制。前期の期末テストは10月にあるけど、気を引き締めるためなのかな、夏休み前にもテストがある。

科目も少なめで一日で終わるけれど、赤点をとったら夏休みに補習があるから、手を抜けない。

遠見結奈

そうね、連休の土曜日でどう? うちは問題ないけど。

阿野藤

うん、あたしもそれでいいよ。でね、ねなも参加したいって。

遠見結奈

三山さん?

阿野藤

うん。さっきちょっと話したら、興味シンシンでね。結奈さえよかったら、だけど。

遠見結奈

うーん、まぁ、私はかまわないけど……。

三山さんが……。これも、一木さんと双野さんのためなのかな?

阿野藤

そう? よかった~。それじゃ、ねなが起きたら結奈もOKって教えてあげよ。

三山さんが起きたら。つまり、今は三山さん、ぐっすり寝てるわけで。ほんとに不思議な人。よくこんなに眠れるものだ。

私の席を占領して寝ている三山さんを見ながら、それじゃ私はどうやって予鈴まで時間をつぶそうかと考えていたら。

狛野比奈

結奈ねぇ。

遠見結奈

あら、比奈。どうしたの?

比奈が教室に入ってきた。二年生の教室だっていうのに、物怖じした様子もないのが、比奈らしい。まっすぐにこっちに来て、声をかけてくる。

何人か、すでに何度も私に会いにきてるから比奈の顔を憶えているクラスメイトから声がかかってる。そういえば比奈、けっこう人気あるんだっけ。

声をかけられたり手を振られたりするたびに、ちょこんと頭を下げるのがかわいい。うん、人気出るわけだ。

狛野比奈

ん、ちょっと用事。

遠見結奈

なに?

狛野比奈

部長が話があるんだって。あそこ。

遠見結奈

え?

比奈が指さした方を見る。教室の扉のとこ。同時に、ちょっとクラス中からざわめきが起こる。

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そこに立っていたのは、三年生。それも二人。二人ともちょっと背が高くて、スタイルがいい。そして並んで立つ姿はとてもかっこよくて、なんていうか、貫禄がある。

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遠見結奈

え? ぶ、部長さん? 陸上部の?

狛野比奈

ん。それと副部長。

私が見ているのに気付いたのか、明るい髪の色の日焼けした方の先輩が、笑顔で手を振っている。

遠見結奈

な、なんの用なの?

狛野比奈

ん、呼んできてって。

遠見結奈

な、なんだろう……。

ほんとに、なんの用なんだろう。心当たりがまるでない。

と、とにかく、行った方がいいのかな? 話があるっていうなら。そんなふうに迷いつつもちょっと考えていたら。

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「遠見さーん、ちょっといいかなー?」

なんて、大きな声で呼びかけられてしまった。逃げる気はないけど、もうそんなことできない。

クラス中の視線が私と二人の先輩に集まってる。

そういえば、うちの陸上部ってけっこう強いって話、聞いたことある。そこの部長さんと副部長さんなら、運動部の子なら知っていてもおかしくない。

「そんな手間とらせないからさー!」

遠見結奈

は、はい!

もう一度、声が飛んできて。私はそれに引っ張られるように、部長さんたちがいる扉の方へ、小走りで向かった。

私の後ろから、比奈がちょこちょこってついてきたのがわかった。

網島茉莉

へぇ、君が結奈ちゃん? 比奈の幼なじみなんだって? あ、あたしは陸上部の部長の網島茉莉(あみしま・まつり)。よろしくね。

稲本美夕

私は副部長の稲本美夕(いなもと・みゆ)よ。急に押しかけてごめんね?

遠見結奈

あ、いえ……。

この二人が、陸上部の部長さんと副部長さん……。

そう言えば、部活の話になるとよく、比奈がこの二人のこと、すごいすごいって言ってたな。

確か、部長の網島先輩は、とにかく速くてかっこいい。副部長の稲本先輩も速いし、いろんなトレーニングを考えてくれてすごいって。

部活の話をしている時の比奈は、ほんとに楽しそう。中でも特に、この二人のことは、ちょっと自慢げに話してくれるくらい。よっぽど慕っているんだろうな。

それにしても、一つしかちがわないはずなのに、この二人ってとても大人っぽい感じ。えらそうなわけじゃないのに、堂々としているというか。

部長さん、か……。こういう人なら、比奈みたいに慕う人もいるんだろうな。

網島茉莉

結奈ちゃんってさ。

遠見結奈

あ、はい。

網島茉莉

いつも比奈のお弁当作ってるって、ほんと?

え? いきなりなんだろう。なんでこんなこと、聞かれるの?

遠見結奈

はい、そうですけど……。

網島茉莉

あ、ほんとなんだ。うん、いつも比奈の、つまみ食いさせてもらうんだけどさ、ほんとにおいしいんだよね。

網島茉莉

冷めてもおいしいし、詰め方も工夫してあるし、見た目もきれいだし。

網島茉莉

いつもごちそうさまです。いや、結奈ちゃん、いいお嫁さんになれるよ?

遠見結奈

え? あ、どうも……。

いつもつまみ食いって……、そ、そうだったんだ。え? ということは、先輩たち、つまみ食いのお礼に来たの? まさかそんな。

遠見結奈

あの、私が呼ばれたのって、そのことですか……?

網島茉莉

え? あ、ごめんごめん、本題は別にあるんだった。

稲本美夕

茉莉、あなたね……、いきなり脱線した話の持っていき方、しないでよ。

網島茉莉

いや、だってさ、関係あることでしょ? それに、一度、ちゃんとお礼言いたかったんだよね。あたし、結奈ちゃんのお弁当のファンだから。

遠見結奈

は、はぁ……。

どうしよう、ほんとに話が見えない……。それにしても、この網島先輩って、すごいほめ上手。人気があるの、わかるな。

稲本美夕

ああもう、茉莉にまかせてたら話が進まないわ。ごめんなさい、結奈さん。

遠見結奈

あ、いえ……。

稲本美夕

実はね、ちょっとお願いがあるの。もうすぐ夏休みでしょう?

遠見結奈

は、はい。

稲本美夕

陸上部もね、夏合宿をするんだけど、毎年、問題になるのが食事なのよ。

稲本美夕

一応、毎年、マネージャーや部員が交代で料理を担当するんだけどね、今年はその……、腕に自信のある子がいなくって。

稲本美夕

部員のお母さんとかに手伝ってもらったりもするんだけど、都合がつきそうにないの。

稲本美夕

作ろうと思えばなんとかなるとは思うんだけど、やっぱり私としては、カロリーや栄養バランスにも気を遣いたいのよね。

稲本美夕

でも、そういうこと考えると、やっぱり料理の上手な人に、食事の支度を担当してほしいのよ。

遠見結奈

は、はぁ……。

ああ、なんとなく読めてきた……。

稲本美夕

私もね、比奈のお弁当には毎日、感心してたのよ。よく考えて作ってくれてるなって。もちろん、おいしいしね。

網島茉莉

美夕も、つまみ食い仲間だもんね。

稲本美夕

ちょっと黙ってて、茉莉。そ、それでね。

稲本美夕

比奈にも聞いたんだけど、結奈さん、ほんとに料理が上手なんだってね。よかったら、陸上部のお手伝いしてくれないかしら。

稲本美夕

料理担当者として、うちの合宿に参加してほしいのよ。そのお願いに来たの。

網島茉莉

ね、結奈ちゃん、お願い! ぜひやってくんないかなぁ。あたし、結奈ちゃんの料理が食べれるなら、かなり気合いの入り方、変わるんだよね。

な、なるほど……。比奈が私のお弁当を部活で自慢してるみたいってのは知ってたけど、ここまで評価されてるとは思わなかった。

どうしよう。合宿にはなんとかして参加したかった。これは、渡りに船というのかもしれない。

でも、陸上部の食事係、か……。あまり仕事が大変で、他になにかする余裕がないのも、困るかな……。

遠見結奈

あの、すみません。陸上部って人数、何人いるんですか?

稲本美夕

ああ、えっと、合宿の参加者は、20人くらいよ。確か、22だったかな?

稲本美夕

もちろん、結奈さん一人にやらせたりしないから。手伝いを何人か、つけるからね?

それくらいだったら、なんとかなる。確かに作る量は多くなるけど、やりようはある。問題ない。

でも、比奈はどうなのかな? 私が陸上部の合宿に参加するの、気にするかな? そう思って、ちょっとだけ、比奈の方を、見てみたら……。

狛野比奈

………………。

うん、わかりづらいけど、期待してくれているみたい。私が断るかもしれないって不安そうなとこもある。

どうせ合宿に参加するなら、こういうちゃんとした目的がある方がいい。料理の腕を買われたってのもうれしいし。

稲本美夕

どうかしら、結奈さん。

網島茉莉

お願い、結奈ちゃん、頼むよ!

遠見結奈

はい、わかりました。どこまでお役に立てるかわからないですけど……、がんばります。

網島茉莉

ほんと!? ありがと!

稲本美夕

よかった、引き受けてくれて。それじゃ、合宿の申請は陸上部の方から出しておくわね。全日参加で大丈夫?

遠見結奈

はい、大丈夫です。

稲本美夕

ありがとう、よろしくね。

遠見結奈

はい。こちらこそ、よろしくお願いします。

網島茉莉

あー、よかった。断られたら、かなりガックリするとこだった。

稲本美夕

そうね。茉莉がつまみ食いとかファンだとか変なこと言い出すんだもの。

網島茉莉

あのね、美夕、あたしは引き受けてもらいやすいように、楽しい話題から入っていったの。美夕の方こそ、かったいことばっか言ってさ。

網島茉莉

難しいことだと思って、結奈ちゃんに断られたらどうするのさ。

稲本美夕

こういうことはちゃんと説明しなきゃダメなのよ。責任感を持ってもらった方がちゃんとやってもらえるもの。

網島茉莉

ほんと、茉莉はかったいなぁ。ねぇ、結奈ちゃん。楽しくやれた方がいいよね?

稲本美夕

ダメよ、茉莉の言うこと、気軽に信じちゃ。基本、いい加減なんだから。

網島茉莉

え、なにそれ。ねぇ、結奈ちゃん、あたしの方がいいよね? どう? どっちの先輩の方が、結奈ちゃんには素敵に思える?

え? ちょっと待って。

稲本美夕

そうね、ちょっと聞かせてくれない? 参考までに。

なんでそんなこと聞かれるわけ?

<01>どっちの先輩の方が素敵?

<01>どっちも素敵

<01>どっちも問題あり

遠見結奈

え、あの……、どっちも素敵な先輩だと思いますけど……。

遠見結奈

網島先輩みたいに誘ってくれた方が楽しくできると思いますし、稲本先輩みたいにきちんと説明してくれるのも助かりますから。

どっちなんて、そんなのこの場で言えるわけがないし。

遠見結奈

それに、比奈からもよく聞いてます。どっちもすごい先輩だって。

網島茉莉

ぷっ、あはははは! ごめんね、気を遣わせちゃって!

網島茉莉

ああ、でも、そういうちょっと困ってるとこもかわいいね、結奈ちゃん。

ほんとに困ってるんですけど……。でも、網島先輩の飾らないとこはいいな。余裕がある感じで。

でも、こういう質問は勘弁してほしいんだけど。

遠見結奈

その、すみません、どちらもちょっと問題ありですよ。

網島茉莉

お?

稲本美夕

あら。

遠見結奈

網島先輩の誘い方、とても楽しそうな合宿だと思えるし、きちんと説明してくれた稲本先輩も、頼られてるって気がして、うれしいんですけど。

遠見結奈

それで、どっちが素敵とか聞かれても困ります。

遠見結奈

私、比奈から、どちらの先輩もすごい人だって聞いているんです。その比奈の前で、いきなりどっちがとか、答えられるわけないじゃないですか。

網島茉莉

……へぇ、けっこうしっかりしてるんだね、結奈ちゃん。

稲本美夕

ええ、ちょっと感心しちゃった。

遠見結奈

あ、いえ……。生意気言ってすみません。

網島茉莉

いや、けっこうかっこよかったよ。

稲本美夕

ごめんね、結奈さん、くだらないこと聞いて。それじゃ、合宿のこと、よろしくね。詳しいことはまた、後で。

遠見結奈

あ、はい。

網島茉莉

じゃあね、合宿、楽しみにしててね。

稲本美夕

それじゃ、失礼するわね。比奈はまた、放課後ね。

狛野比奈

はい。

網島茉莉

じゃあね、比奈、結奈ちゃん。

そう言って、二人並んで、手をふってくれながら、廊下の向こうへと。三年生だから、奥校舎の方へ。

……はぁ、なんか最後のでちょっと疲れたけど……。

よかった、夏合宿に潜り込めて。

遠見結奈

比奈の言ってた通りね。すごい先輩ね。

ほんとにそう思う。網島先輩は楽しそうで頼れそう。稲本先輩も、まじめだけど優しそうで。

狛野比奈

結奈ねぇ、ごめんね?

遠見結奈

え? どうして比奈があやまるの?

狛野比奈

陸上部の合宿に、付き合わせちゃって。夏休みなのに。予定とか、ほんとに大丈夫?

遠見結奈

ああ、そんなこと。予定ならなにもなかったから大丈夫よ。

遠見結奈

ちょっといきなりだったからびっくりしたけど、これも比奈が私のお弁当をみんなに自慢してくれたからでしょう?

狛野比奈

ん……。

遠見結奈

私も、自分の好きなこと、ほめられたからうれしいの。それに、比奈と一緒に合宿するのもね。

狛野比奈

……ん、あたしも、結奈ねぇと一緒でうれしい。

遠見結奈

うん。人数多くて大変だから、比奈も手伝ってね?

狛野比奈

ん。

料理、続けてきてよかったな。まさか、こんなとこで役に立つとは思わなかった。

合宿になんとか参加できないかって問題も片付いた。比奈とも一緒だから、不安もないし。

予鈴が鳴って、比奈は教室に帰っていく。

私も教室に戻って、三山さんを起こさなきゃ。

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okujou_no_yurirei-san/1306.txt · Last modified: 2013/06/01 22:49 (external edit)