User Tools

Site Tools


okujou_no_yurirei-san:1302

Place translations on the >s

7月に入って、もうすぐ梅雨も終わる。いよいよ、夏本番って感じで、今年も暑くなりそう。

そんな予感をさせる、百合霊二人のテンションだった。

永谷恵

さ、今月もがんばりましょうね、サチさん!

榎木サチ

ええ、そうね。

とにかく、恵の方。

昨日、なんでか知らないけどいきなり、恵は他人に取り憑くことができるようになった。最初の被害者は私だったんだけど。

とにかく、サチさんを味方につけて説得して、無闇に人に取り憑かないことを約束させたけど、どこまで守ってくれるんだろう。

憑依能力っていうのかな? 幽霊らしいと言えばそうなんだけど、そんな能力を今さらながら身につけたせいで、いつも以上に気合いが入っている感じ。

いつものお昼の報告会は、そんな雰囲気で始まった。

遠見結奈

それで、牧さんと相原先輩、ずっと休憩所に来ていないんですか?

榎木サチ

ええ、先週は一回も来た様子がないわね。たまたまなのかも知れないのだけど。

永谷恵

きっと、なにかあったのよ!

一週間か……、今までは週に3回くらいだってサチさんが言ってた。ちょっと間が空いただけなのかもしれない。

永谷恵

せっかく、奥校舎に行けるようになったんだから、わたしにもなにを話してるのか、聞かせてほしいのに!

遠見結奈

行けるようになったって言ったって、誰かに取り憑いてでしょ? のぞき見させる気?

永谷恵

あ、そうか……。もう、けっこう不便なのよね。

遠見結奈

それくらいでいいわよ……。

榎木サチ

それでね、牧ちゃんと美紀ちゃん、毎日、放課後は一緒にお仕事してるのよ。それは今まで通り。でも、ちょっと様子が変わってきているのよね。

遠見結奈

そうなんですか?

榎木サチ

ええ……。お互いに……、そうね、牧ちゃんの方が特にかしら。どこか、遠慮しているというか……。

榎木サチ

少し、距離をとってる感じがするのよね。ほんとに、なにかあったのかしら……。

遠見結奈

かもしれませんね。調べてみた方がいいのかな。

榎木サチ

そうね。

うーん、相原先輩に話を聞いてみるとか? 比奈に、牧さんの様子を聞いてみるとか?

榎木サチ

二人の間に距離ができたっていうと、月代先生と桐ちゃんも、そうね。こっちの方が問題かもしれないわね。

遠見結奈

ああ……。

園生先生と剣峰さん。

こないだ、学校中を追いかけっこしてようやく、二人を話し合わせることに成功したのはいいんだけど……。

永谷恵

もう、園生ちゃんってひどいよね! 許せない!

榎木サチ

そうね……。ちょっと桐ちゃんがかわいそうよね。

その二人の話の一部始終を聞いていた百合霊の二人は、園生先生に対して、たいそう腹を立てているみたい。

永谷恵

勘違いって決めつけるってどういうこと!?桐さんのせっかくの告白を、勘違いって!

剣峰さん、園生先生に告白したみたい。でも、園生先生は、それを一時的な勘違いだって諭したんだって。

今はそういう気持ちになっていても、そのうち、冷めるって。

その園生先生の言葉が、サチさんと恵には許せないものに聞こえたみたい。

遠見結奈

園生先生の言うことも、間違ってるとは思わないけど……。

永谷恵

そうかもしれないけど! でも!

特に、恵。数理部の部室の中に入って、直接、二人の話を聞いてたらしいだけあって、ほんとに園生先生の言葉が許せないみたい。

永谷恵

桐さんの告白に対して、自分の答えは出さずに、えらそうなこと言ってごまかそうとしているのよ! そんなの、桐さんの気持ち、無視しているのと一緒じゃない!

榎木サチ

ええ、そうね。

サチさんも密かに腹を立てているみたい。こういうふうにヒートアップした恵のこと、いつもならやんわりと止めたりするのに。

遠見結奈

サチさん、前に、二人がどんな答えを出しても、それはそれでいいって言ってたのに……。

榎木サチ

確かにそう言ったけど……、やっぱり、かなってほしいとは思っているのよ。恵も言ってるけど、月代先生、自分の答えは出していないと思うのよ。

榎木サチ

桐ちゃんのこと、恋愛対象に見られないなら、そう言ってほしかったの。桐ちゃんを好きになれないなら、そう、ね。

榎木サチ

一般論で諭す前に、まずは、それを桐ちゃんに伝えてあげてほしかったの。

遠見結奈

はぁ……。

永谷恵

園生ちゃん、最近は桐さんに対して、特に先生って呼びなさいってうるさいのよ? なんかもう、桐さんがかわいそうなくらい!

榎木サチ

ああいうこと、言ったからでしょうね。先生として、剣峰さんの気持ちを見守ろうとしているのでしょうね。

永谷恵

絶対、このままじゃすまさないんだから! とにかく、園生ちゃんには、はっきりしてもらわなきゃ!

榎木サチ

ええ、その方がいいわ。

遠見結奈

そうかなぁ……。

永谷恵

そうに決まってるの! それに、園生ちゃん、絶対、桐さんのこと、嫌いじゃないと思うわ!

榎木サチ

ええ。桐ちゃんの気持ちも、きっと勘違いなんかじゃないわ。それに、気付いてほしいわね。

永谷恵

桐さんの本気に気付くだけじゃダメです! いっそのこと、桐さんのこと、もっと好きになってもらわなきゃ!

遠見結奈

どうやってよ。

永谷恵

桐さんの魅力をもっとアピールすればいいのよ!

遠見結奈

だから、どうやって? 普段から数理部のたった一人の部員と顧問なのよ? お互いのこと、よく知ってるはずでしょ?

永谷恵

甘いわね、結奈! 魅力ってのは、普段は隠れているものなのよ。つまり、普段の桐さんとはちがう姿を見せれば、きっと園生ちゃんも桐さんの素敵さに気付くはず!

遠見結奈

だから、どうやって!?

榎木サチ

そうね……。ねぇ、結奈さん、この学校には、女の子がとびきり素敵に見える場所があるのは知ってる?

遠見結奈

え? とびきり素敵に見える場所?

どこだろう。そんなとこがあるなんて、知らなかった。というか、なんか……、うさんくさい……。

永谷恵

あ、わかった! ある、ありますよね! えっと、そうだ、あそこ!

永谷恵

午前中、すっごい太陽の光が入る踊り場が星館校舎にあるわ! そこなら、どんな女の子だって、キラキラに輝いて見えるはず!

榎木サチ

そうね。あと、夕焼けが差し込んだ星館の大座敷も素敵な場所よ。そして……。

永谷恵

晴れた日の屋上!

榎木サチ

ええ。その三ヶ所で桐ちゃんに会えば、月代先生もきっと、桐ちゃんの魅力に気付くはずよ。

遠見結奈

はぁ……。

本当かな……。まぁ、ライティングで人の見え方ってけっこう変わるとは聞くけれど……。

永谷恵

うん、決まり! 結奈、いい? 桐さんをそこに誘導して、園生ちゃんと会わせてあげるの!

遠見結奈

ええ!? それって、けっこう難しくない?

永谷恵

難しくてもやるの! そこで桐さんの姿を見れば、絶対、勘違いなんて言わせないんだから!

遠見結奈

うーん……。

榎木サチ

そうね。やってみましょう。桐ちゃんキラキラ大作戦ね!

永谷恵

うわぁ、素敵!

……そうかなぁ。時々、サチさんのセンスがよくわからなくなる。

遠見結奈

はぁ……、なんていうか、ひと昔前のラノベみたいな展開……。

榎木サチ

あら、らのべってなに?

遠見結奈

え? あ、ああ、ラノベっていうのは、ライトノベルのことで……。なんて言えばいいのかな? 私たちくらいの年代向けの小説のことです。

榎木サチ

そうなの。どんな内容?

遠見結奈

どんなって……。ええと、いろいろあるんですけど。ファンタジーとか、SFとか? いろんなジャンルがあって。

榎木サチ

ふぁんたじぃ……、ああ、怪奇小説のことね。

遠見結奈

え、ええ。あとは、恋愛小説もあるから。少女マンガがそのまま、小説になったみたいなのとか。

他にもいろいろあるけど……、まぁ、別に今、細かく説明しなくてもいいか。私も、阿野に借りて読むくらいだし。

榎木サチ

へぇ……、おもしろそうね。読んでみたいわ。

遠見結奈

……まぁ、そのうち。私もたくさん持ってるわけじゃないんで。

榎木サチ

そうね。でも、ちょっと楽しみ。

永谷恵

わたしも読んだことありますよ、サチさん!コバルト文庫とか。あ、今度、図書室に行った時、借りてこよっかな?

遠見結奈

借りるのは私でしょ……。

もう……、すっかり調子に乗ってるな、恵は。そんなにうれしいものなのかな?

榎木サチ

さ、あとは沙紗ちゃんと羽美ちゃんね。この二人は特に問題ないかしら。それと、陽香ちゃんと愛来ちゃんも。

もう今さら、女同士がそもそも問題とか言わないけど。

でも、陽香のことを聞かされた時は、本当に驚いた。そのちょっと前に再会……、というか、再認識した昔のクラスメイト。

その変わりように驚いて、見せられたラブロックとかの歌詞に驚いてあきれて、最後に、陽香の恋する相手が女性だと知らされて。

こうなると、もう、いろいろ麻痺してくる感じ。問題ない? うん、なにも問題ないんじゃないかしら。

遠見結奈

ですね。なにかあったら、その時、考えればいいかな。

遠見結奈

まずは、牧さんと相原先輩の様子を調べることと、剣峰さんの……。

榎木サチ

キラキラ大作戦ね。

遠見結奈

……ええ、それで。作戦の方は、いろいろ考えてみます。まぁ、二人がうまく、その場所で会えるように、うまく誘導するしかないのかなぁ……。

永谷恵

わたしたちも、園生ちゃんと桐さんが近くにいるようだったら、教えてあげるわ。

遠見結奈

うん、お願い。

でも、どうにかするのは私なのよね。うーん、剣峰さんを足止めして、そこに園生先生が通りかかるのを待つっていうのが合理的かな……。

やってみなくちゃ、わからないかな。たまたま、二人が近くにいる時、うまく引き合わせるしかなさそう。

考えていると、頭が熱くなりそう。実際、屋上の日差しはけっこうきつくて、気温も上がってきてる。

もう、夏なんだな……。

榎木サチ

そう言えば、もうすぐ夏休みね。

遠見結奈

ですね。

榎木サチ

夏休みには、合宿があるんでしょう?

そう言えば、そんなのもあったな。

夏合宿。そろそろ、教室でも話題になっている。

この学校には、雲見櫓って呼ばれている建物があって、講堂の隣にあるそこは、ここがお城だった時からの古いもの。

1階は部室が入っていて、2階は合宿所になっている。まぁ、ただ、小さい部屋がいっぱいあるだけなんだけど。

そこは、夏休み、申請さえすれば、部活に入ってなくても合宿ができる。ちょっとした城女の夏の名物行事。

仲のいい友達同士で、旅行気分で学校に泊まれるというもの。まぁ、去年は私は、参加しなかったけど。

榎木サチ

結奈さんは、夏合宿、参加するの?

遠見結奈

そのつもりはなかったんだけど……。

たぶん、夏休みに入ったら、学校に来る用事はほとんどない。登校日があるくらい。

夏合宿か……。放送部の三人は参加するかも。剣峰さんと園生先生も、数理部で参加するかもしれない。

遠見結奈

参加した方がいいのかな?

榎木サチ

そうね、できれば参加してみない? 私たちも、夏休みのあいだ、結奈さんに会えないのはさびしいし。

永谷恵

わたしはサチさんと一緒だからべつにさびしくないけどね。でも結奈、夏休み中ずっと、家の中にいるつもり?

遠見結奈

少しは出歩いたりするし、予定だってあるわよ、失礼ね。

遠見結奈

でも、夏合宿って、部活参加以外の場合、二人以上で申請しないといけないんだっけ……。

榎木サチ

あら、そうだったの。誰か、お友達には頼めないの? ほら、阿野ちゃんとか、比奈ちゃんとか。

遠見結奈

比奈は、陸上部で参加するから。阿野は……、夏合宿の時期は、親戚の家に行ってるそうなので。

ついでに、コミケに参加してるみたい。今年も遠征だーって言ってたから。

永谷恵

そして、他に友達はいないのね。

遠見結奈

いいでしょ、それは別に! うーん……。学校に来ることはできるけど……。

遠見結奈

たとえば、合宿中の比奈に差し入れを持ってくるとか。それくらいしか、思いつかないかな?

榎木サチ

無理しなくてもいいんだけど。でも、それでも顔を見せてくれるとうれしいわ。

遠見結奈

ええ。まぁ、何回か、顔を出しますね。

永谷恵

なにか、お土産、持ってきてくれるとうれしいな!

遠見結奈

はいはい……。

grpo

grpo_ef

grpo_bu0

grpo_bu0

grpo_bu0

grpo_bu0

grpo_bu0

grpo_bu2

grpo_bu1

grpo_bu0

grpo_bu2

grpo_bu1

grpo_bu0

grpo_bu2

grpo_bu1

grpo_bu0

grpo_bu2

grpo_bu1

grpo_bu0

grpo_bu2

grpo_bu1

grpo_bu0

grpo_bu2

grpo_bu1

grpo_bu0

okujou_no_yurirei-san/1302.txt · Last modified: 2013/06/01 22:49 (external edit)