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okujou_no_yurirei-san:1205

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先週の金曜日、あの後、園生先生と剣峰さんがなにを話したのか、私は知らない。

百合霊の二人なら知っているのかもしれないけれど、今日のお昼は雨で、屋上には出られなかった。

恵がわざわざ教えに来るかと思ったけど、そんな様子もなくて。というか、最近、あの子、少し元気がないように見える。

体調、悪くなったりするのかな、幽霊でも。

特に呼び出しがかかる気配もないので、私は今日はさっさと帰ることにした。学校を出ようとした、その玄関ホールで。

遠見結奈

あ、比奈。

狛野比奈

結奈ねぇ。今から、帰るとこ?

遠見結奈

うん。これから部活?

狛野比奈

ん。でも、室内トレになりそう。

遠見結奈

ああ、グラウンド、使えないのね。

どうりで。比奈の顔、ちょっとふくれているように見えたから。ご機嫌斜めと拗ねてるのとつまらないが混ざった顔。

昼までは降っていた雨は放課後には止んで、晴れ間も出ているんだけど、やっぱりすぐにグラウンドは使えないみたい。

狛野比奈

早く、梅雨、終わらないかな。

遠見結奈

もうちょっとの辛抱でしょ。

狛野比奈

ん、そうだけど。

比奈はやっぱり、梅雨が嫌いみたい。

狛野比奈

室内トレだと、走れないし。

思いっきり外で走ることができないから。ほんとにこの子、走るのが好きなんだな。

遠見結奈

トレーニングも大事な練習なんでしょう?

狛野比奈

ん、そうだけど。

遠見結奈

まじめにやってるんでしょう、えらいわよ、比奈。

狛野比奈

ん。

こうしてほめてあげると、ちょっと顔に笑いが浮かんで、かわいい。

狛野比奈

あのね、副部長が、雨の日用の室内トレメニュー、考えてくれるの。

狛野比奈

けっこうキツい。でも、すごい楽しい。

遠見結奈

そうなんだ。

狛野比奈

ん。部長が、お手本、見せてくれる。それも、スゴい。

狛野比奈

あたしも、部長や副部長みたいに、走れるようになりたい。

狛野比奈

ほんとに、二人とも、スゴくて、スゴい。

遠見結奈

へぇ……。

めずらしいかな、比奈がここまで楽しそうに誰かのこと、話すなんて。きっと、その部長さんと副部長さんのこと、本気で「スゴい」と思ってるんだろうな。

比奈の「スゴい」は、かっこいいとか楽しいとかきれいとか、いろんな意味があるんだけど。

比奈にとっての最上級の褒め言葉なのは確かだから。

どんな人なんだろう。よく、比奈の部活の話題に出てくる部長さんと副部長さん。なんか、すごく憧れてるみたいだし。

そして、かわいがってくれてるみたいだし。素直だけど、ちょっと気むずかしいところもある比奈が、ここまでスゴいを連発するなんてな。

もしかして、比奈もその先輩のこと、好きなのかな……。

いやいや、そういう意味じゃない。最近、そんなことにばっかり触れてるから、ちょっと変な連想してる、私。

遠見結奈

部活、がんばってね。

狛野比奈

ん、結奈ねぇもね。

遠見結奈

え、私? 私は部活してないわよ?

狛野比奈

ん、でも、こないだ、一緒に追いかけっこ、したでしょ?

遠見結奈

ああ、あれ。あれは部活じゃないし。

狛野比奈

でも、なんか楽しそうだった。ん、楽しかった。

遠見結奈

そ、そう……。

狛野比奈

ね、今日もご飯、食べに行っていい?

遠見結奈

あら、おばさんは?

狛野比奈

準夜。

遠見結奈

あ、シフト、変更されたの? ん、わかったわ。食べにきなさい。

狛野比奈

ん。ごちそうさま。

遠見結奈

ごちそうさまはちょっと早いでしょ。

狛野比奈

いただきます?

遠見結奈

それも早い。いいわ、リクエスト、ある?

狛野比奈

お肉!

遠見結奈

やっぱり。じゃ、トンカツにしてあげる。

狛野比奈

やた。それじゃ、部活、行ってくるね。

遠見結奈

はいはい、行ってらっしゃい。

狛野比奈

ん。

そんな会話をして、比奈と別れて。

正門を出て左に。いつもの帰り道。椿の生け垣とブドウ畑へ続く斜面に挟まれた、椿小路と呼ばれる道。

車の入ってこれないこの道は、ほとんど、八津岸団地の方から通ってくる学生の専用通学路。私の家も、そして比奈の家も、八津岸団地にある。

学校を挟んで反対側になる、駅のある新町と対照的に、八津岸の方はちょっと古い住宅地で、八津岸団地もそう。

昔は大きな工場がたくさんあって、そこで働いている人が多かったとか。

学校から家まで、歩いて15分くらい。今日は帰りにちゅー丸に寄らなきゃ。トンカツは、薄切り肉を重ねたミルフィーユのにしてあげよう。安くてボリューム出るし。

私と同じように、学校を出て、八津岸に向かう人が、何人か。それぞれのペースで歩いている。

私も、いつもと同じように……。

「いってぇ!!」

……なに?

声のした方を見てみれば、斜面への転落防止用のガードレールの前で、うずくまってる人がいる。

誰? スカート青い。同級生か。

なに? ガードレールにぶつかったの? こんな真っ直ぐな道で?

遠見結奈

ちょっと、大丈夫?

と、声をかけて。

遠見結奈

(しまった!)

つい、うっかり。なんで声をかけちゃったんだろう。わざわざ、知らない人に。

たいしたことないかもしれないし、恥ずかしいとこ、見られたと思われるかもしれない。倒れているわけでもないし、ひどいケガをしてるようにも見えない。

それなのに、声をかけてしまった。無視すればよかったのに。相手にとっては、私の気遣いなんて、余計なお世話かもしれないんだから。

なのに。

つい、うっかり。ダメだ……、ここのとこ、学校であんなことしてたから、かな。気が緩んでいたのかも。

遠見結奈

え、えと……。

でも、今さら、知らんぷりもできない。

「あ~、オーケイオーケイ、大丈夫。ちょっと膝ぶつけただけだから」

声は元気そう。でも、痛そう。膝を抱えてうずくまっている。

遠見結奈

大丈夫? どこかケガしてない?

仕方ない、もう乗りかかった舟ってこと。私はハンカチの用意をする。

「へーきへーき、これくらいじゃロッカーはへこたれない。うぅ、いてぇ……」

「ちょっとすりむいてるけど、たいしたことねぇべ。わり、ありがと」

「って」

大きなヘアバンド、大きなヘッドホン。明るい茶色に染めた髪。顔をあげたその人が、私を見てる、じっと。

遠見結奈

え、な、なに……?

「あれ? お前、遠見?」

遠見結奈

え? そ、そうだけど……。

あれ? 知り合い? ううん、私、こんな人知らない。学校の中で見かけたこと、あるのかもしれないけど、憶えてない。

「おー、遠見じゃん! 久しぶり!」

でも、向こうは私のこと、知ってるみたい。でも、ほんとに誰?

遠見結奈

え、え? その、ごめん、あなた、誰? 思い出せないんだけど……。

「えー!? なんだそりゃ、ガックシ。つれねぇなぁ~」

だって、ほんとに記憶にないんだもの。

「オレだよ、オレ。あ、そか。城女に入ってから、話したこと、ないもんな」

「前、クラス一緒だったろ、古場だよ、コバヨーカ」

コバ……ヨーカ……?

その名前、知ってる。うん、確かに、昔のクラスメイト。え、でも……。

遠見結奈

古場さん!?

古場陽香

そーそー。わかんねーかなぁ、もう。

遠見結奈

う、うん、わかんなかった……。

古場陽香(こば・ようか)。うん、確かにクラスメイトだった。声も聞き覚え、ある。でも。

遠見結奈

あなた、そんな恰好した人だったっけ……?

古場陽香

キッついなーもう! まぁ、ナットクだけどさぁ。

だって、私の知ってる古場さんって、もっと、その、地味な人で、髪だってそんなふうに染めてなかったし……。あ、よく見れば、顔は見覚えがある。地味に。

古場陽香

まぁ、たしかに? 前のオレはちょっと目立つとこ、なかったけどさぁ。

うん、そう。確かにそう。

古場陽香

でも、城女に入ってから、生まれ変わったんだぜ? 思ったんだ、前のまんまじゃダメだって! なんせ、であっちまったからさ!

古場陽香

ロックにな!

遠見結奈

………………。

……変わり過ぎじゃない?

遠見結奈

あの、えっと、古場さん……?

どうしよう、なんだか、別の意味で声をかけなきゃよかったとか思ってきちゃった。

古場陽香

おーいおい、なんだよ、水くせぇなぁ! なに、コバサンって! 陽香でいいよ! な、結奈! ご近所仲間だべ!

うわ、結奈って、早速。ご近所って、八津岸団地全体を指してるの? けっこう広いわよ?小学校、中学校って、まるごと学区一つ入るくらい。

でも、古場さん、で通せる雰囲気でもないな、もう……。

遠見結奈

じゃ、陽香、でいい?

古場陽香

オーケイ、それでいい! さすが結奈、同じイメチェン仲間だよな!

ちょっと待って、なに仲間だって?

古場陽香

城女に入って、結奈を見かけた時、びっくりしたぜ? なんだか、急にクールになっちまってさぁ!

古場陽香

前みたいな、ヨクデキマシタ、な優等生っぷりがすっかりなくなっちまってさ! なんか、すっげぇカッコよくなったじゃん!

遠見結奈

………………。

古場陽香

そうそう、その雰囲気! カッコいいよな、ソレ! ロックだよな!

遠見結奈

……はぁ。

古場陽香

そのタメイキ、いいよな!

ダメだ、これは。なんか、陽香のイメチェンと同レベルに扱われても腹も立ってこない。

古場陽香

オレもさ! まえのまんまじゃダメだって思って、すっげーがんばったんだぜ? カッコから入るなんてアレかもしんないけど、変えてかなきゃ始まんないべ?

遠見結奈

それはいいけど、その話し方、なんなのよ……。

古場陽香

あ、これ? なんか、バンドのメンバーの言葉が移っちゃって。けっこー、気に入ってんだけど。ロックで。

遠見結奈

そう……。

古場陽香

もうちっともなおんねーの、これが。まいった、ハハハ。

ロックってなんなんだろう。陽香の言うロックがわからない……。

遠見結奈

はぁ、まぁいいわ。

深く考えるの、やめよう。

遠見結奈

で? ケガは平気なの? すりむいただけ?

古場陽香

ん? ああ、ああ、へーきへーき。こんなのほっときゃ直るべ。

遠見結奈

まったく、なんでこんな、なんにもない道で、ガードレールにぶつかれるのよ……。

古場陽香

いや、それがさ、聞いてくれよ!

……うわ、なんだろう、すごく聞きたくない。

古場陽香

いきなり、スゲーのがオリてきてさ! あ、こりゃすぐにメモとんなきゃ、絶対あとじゃ思い出せないって感じのでさ!

なにそれ。ロックミュージシャンってよく、クスリやってるっていうけど……。いや、陽香の場合、天然成分なんだろうけど。

古場陽香

それで、頭の中、オリてきたフレーズをメモしてたら、いつの間にか、ガードレールが目の前にあってさ!

古場陽香

ガツーン!

遠見結奈

……そう。ちゃんと前見て歩きなさい。それじゃね。

うん、もういいや。これ以上、話すこともなさそう。早くちゅー丸、行かなきゃ。

古場陽香

おいおい、ちょっと待ってくれよ! ほんとにクールだな、結奈は!

クールにもなれるわよ!

古場陽香

待てってば。ほら、オレの会心のロックナンバー、聞いてみたくない?

ない。

古場陽香

聞いてみたいべ?

いいえ。視線で返事を返して、私は陽香を置いていこうとしたんだけど。

古場陽香

あ、待って、マジで。ゴメンナサイ、聞いてください。ほんとに! お願いします!

遠見結奈

……なによ。

負けたわけじゃないんだけど、帰る方向は同じだし。付きまとわれてもやだなと思って。

古場陽香

サンキュ! あの、その、さ。

遠見結奈

なに? 早く見せるなり歌うなりしてよ。

古場陽香

オレ、さ、ついこないだ、その、好きな人ができてさ。

遠見結奈

はぁ?

古場陽香

その、どうしたらいいか、わかんなくてさ。なんてーか、その、好きになっちまったら、なんか、まともに話もできなくなっちまってさ。

えっと……、あの、いきなりそんなこと言われても、困るんだけど……。

古場陽香

そいつにさ、その、愛をコクハクしたいんだ。恋人に、なりたいんだけどさ。その、どーにも頭がかたまっちまってさ。

遠見結奈

そ、そう……。

古場陽香

今まで以上に、なんにも話せなくなっちまってさ! もー、こんなんじゃコクハクなんて絶対無理って感じでさ!

古場陽香

どーしたらいいか、わかんなくなっちまってさ。でも……。

古場陽香

その時、閃いたんだ、オレ!

古場陽香

まともに話せねーんなら、歌で伝えればいいんだって! オレ、ロッカーだし! 他に方法はねーじゃんって!

遠見結奈

………………。

いや、ある。きっとある。

そうは思っても、どこか、陽香の勢いというか、その突き抜けた結論に押されて、私はそれを否定できなかった。

遠見結奈

わかった。そ、それはわかったんだけど……。

古場陽香

やっぱ!? わかってくれるか、結奈! さすが!

遠見結奈

う、うん、それで、私に聞いてほしいってのは、その歌、なの……?

古場陽香

イエス!

……うん、勘弁して。

でも、もうとても断れそうにない雰囲気。

古場陽香

頼む! ちょっとここのとこ、読んでくれ!オレのありったけのロックが詰まったラブソングだから!

古場陽香

そんで、キタンのない意見を聞かせてくれ!お願いします、結奈!

遠見結奈

わ、わかった……。

頭を下げて、両手で差し出してきたノートを、私は受け取る。受け取ってしまった。

すでにノートは開いてある。ここに、その、陽香のロックが書いてあるんだろう。

遠見結奈

………………。

私はノートに書かれている文字を読む。覚悟を決めて。

『お前のこと好きィ 恋って緊縛プレイだな がんじがらめでお前のほうだけ見てる』

『ずっと見てる マジガン見さ おー おー 見てるんだー』

『ハートが熱くて どうしよう やべー どうしょう 好きだー とまんねー』

『ひざまずきてぇ その足にキスしてぇ すがりつきてぇ どうかオレを愛してくれ』

遠見結奈

………………。

うん、予想以上で、そしてこれ以上なく、ひどかった。

古場陽香

ど、どうかな……? セイイッパイの気持ち、叩きつけてみたんだけどさ。

古場陽香

あ、曲はバンドのメンバーに頼むつもりでさ。すっげークールなの、入れてもらうつもりなんだけどさ。

古場陽香

これなら、イケるよな?

遠見結奈

……ねぇ、陽香、あなた、バンドやってるのよね?

古場陽香

お、おう。学校の外のヤツらだけどさ。

遠見結奈

その人たちは、陽香の作詞のこと、なんて言ってるの?

古場陽香

ああ? いや、この詞は誰にも見せてねーよ。結奈が初めてだけど?

遠見結奈

これじゃなくて、他のヤツでいいから。

古場陽香

んー……。ほめてくれるぜ? オレのはすげぇ早スギルって。

遠見結奈

うん、それ、ほめてない。

古場陽香

ええ!?

遠見結奈

いや、なにこれ。忌憚のない意見がほしいんでしょ? だから言わせてもらうけど、これはない! こんな歌で告白されたら、怖い!ヒく! 絶対に断られる!

古場陽香

えええ!? オレのロック全否定!?

遠見結奈

肯定するとこ、一個もない!

古場陽香

ええええ!? マジでか!?

遠見結奈

マジで!

古場陽香

うわあああっ! あ、あぁ……。あああ……。

遠見結奈

だってこれ、一方的にあなたのことしか書いてないじゃない。しかも、ちょっと、ううん、かなりストーカーみたいよ?

古場陽香

うええええ……。

遠見結奈

その、もうちょっと、相手のどこが好きなのか、なんで好きになったのか、とか……、そういうのがいるんじゃないの? ラブソングなんでしょ?

古場陽香

うーん、そう言われれば……、そうなのかなぁ……。

遠見結奈

はぁ……。だいたい、その、陽香の好きな人って、どれくらい親しい人なの? バンドの人?

古場陽香

いや? だってバンドのメンバー、全員女だぜ? ありえねーだろ。

古場陽香

えっと、そうだな……。

古場陽香

うーん、毎日、ちょっとだけ、話するくらい、かな?

遠見結奈

それでいきなり、こんな歌聞かされたら、絶対にストーカー認定されるわよ?

古場陽香

うああああっ!

古場陽香

うう、ストーカーはマズいよなぁ……。それはちょっとロックじゃねぇ……。

遠見結奈

でしょう? まずは段階、踏んだ方がいいわよ。

古場陽香

ダンカイ?

遠見結奈

そう。まず、あなたのこと、もっとよく知ってもらったら? あなたも、相手のこと、ちゃんと知って。

古場陽香

お、おう……。

遠見結奈

その、友達になるとか、そこから始めること、できないの?

遠見結奈

お互いのこと、よく知ってから、歌詞作って、歌った方がいいんじゃないの?

古場陽香

友達……、うーん、友達かぁ……。

私、なんでこんなこと、まじめにアドバイスしてるんだろ……。自分でもよくわからないことなのに。

でも、陽香ほど、間違ってないよね、絶対。

古場陽香

うーん……。

陽香、すっごい頭ひねってるけど、間違ってないよね、私。

古場陽香

………………。

ちょっと不安になってきた。なにか、声をかけようかとした、その時。

古場陽香

友達……、うん、そうだな!

古場陽香

いきなり、恋人になってほしいなんて考えたから、うまくいかなかったんだな! そう、友達からなら、イケる! うん、だいじょぶ!オッケーだべ!

古場陽香

サンキュー、結奈! ダンカイなんてもの、すっかり忘れてたぜ!

遠見結奈

あ、う、うん……。どういたしまして……。

遠見結奈

(普通、忘れるものなの……?)

そうは思っても、口には出せない。出した瞬間、また迷走しそうな気がして。

古場陽香

すげーな、結奈! あんた、サイコーだ!

古場陽香

どうしていいか、わかんなかったオレに、イッパツで答えだしてくれたじゃん!

遠見結奈

う、うん……。

古場陽香

すげー! サイコー! メシア! ジーザス!

遠見結奈

ちょっと、ほめすぎじゃない?

古場陽香

ナニ言ってんだ、ほめたりねーぜ! トモダチだぜ、トモダチ!

古場陽香

オレ、あいつと友達になれるんだぜ!?

いや、なれるかどうかはわからないじゃない。まぁ、言うことじゃないけど。

古場陽香

よーし、ぜってー友達になってやる! そして、あいつのこと、もっと知って、オレのこと、もっと知ってもらうんだ!

古場陽香

そして、もっとサイコーにロックな詞を作ってやるぜ! でもって!

古場陽香

それをアイツの前でブチかましてやった時、オレたち、恋人になれるんだぜ、きっと! ヒャッハー!

遠見結奈

(そんなうまくいくとは限らないのに……)

うん、そうは思っても。口には出せない。なんか、陽香のはしゃぎよう見てたら、そんなこと、どうでもいい気がして。

遠見結奈

(でも……)

遠見結奈

(まともな恋愛相談って初めて受けた気がする)

うん、まぁ、あまりまともじゃなかったかもしれないけど。

古場陽香

よーっし、すっげーヤル気出てきた! なぁ、結奈!

遠見結奈

はいはい、がんばんなさい。

古場陽香

おう! きっと、今度はすっげー詞になるぜ!

古場陽香

出来たら、また、結奈に見せるからな! ヨロシク頼むぜ!

遠見結奈

はぁ!? また私が見るの!?

古場陽香

おう、当たり前だべ!?

遠見結奈

(ちっとも当たり前じゃないでしょ!?)

古場陽香

よーし、待ってろよぉ!

遠見結奈

はぁ……。

なんか、ため息が出た。

もう、とやかく言う気力もない。好きにすればいいと思う。

遠見結奈

ふぅ……。

なんか、自然に口元が緩んでいた。

古場陽香

オレの未来、今、すっげーロックなことになってるぜ!

そんなことを叫びながら、ハイテンションで前を歩く陽香が、まっすぐで、清々しくて。

とても、バカバカしかったから。

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okujou_no_yurirei-san/1205.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)