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limit_panic:nichijou1
1day/日常1.ks
Lines: 341
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[Kurumi]
「もうおなかぺっこぺこだよ!」
>

[Mana]
「そう言えば、
>

朝から何も食べてなかったわね」
>

ぐう、とおなかの虫が鳴いた。
>

……寝起きにわけもわからず
>

連れ出されて旅に出るなんて、
>

一昔前のお笑い芸人みたいだなあ。
>

[Inoue]
「まな様が来られるということで、
>

本日のランチは
>

腕によりをかけております」
>

[Kurumi]
「わぁい♪」
>

[Inoue]
「お嬢様も
>

張り切ってご準備されてましたよ」
>

[Mana]
「え゛」
>

[Kurumi]
「ん? どしたのお姉ちゃん、
>

蛙がつぶれたような声出して」
>

……いや、私の記憶が確かなら。
>

鏡香って料理、てんでダメだった
>

気がするんですけど……。
>

入れすぎた塩は砂糖で中和できると
>

信じてるレベルだったような。
>

そんな私の思考を読んだかのように、
>

[Inoue]
「もちろん、
>

メインは白宮家の専属シェフが
>

調理しております」
>

[Inoue]
「お嬢様はお手伝い、程度ですが」
>

さりげないフォロー。
>

一流のメイドさん、流石です。
>

[Kurumi]
「せんぞくしぇふ」
>

驚いた表情で繰り返す胡桃。
>

くすりと微笑んで井上さんが答える。
>

[Inoue]
「はい。一流レストランにも
>

引けを取らない腕の持ち主ですよ」
>

[Kurumi]
「すっごーい!
>

レストランなんか行った事ないよ」
>

[Mana]
「や、それは言い過ぎ……。
>

先週とか行ったじゃないウィリーズ」
>

[Kurumi]
「あれはファ・ミ・レ・ス!
>

もっとこう、違うでしょ、
>

正装しなきゃとか、ナイフとフォークは外側から使うとか!!」
>

[Kurumi]
「お姉ちゃん知ってる?
>

テーブルに置いてある水の入った
>

ボウルは、飲み水じゃないんだよ?」
>

[Mana]
「いや、お姉ちゃんそこまで
>

バカじゃないから。
>

手を洗うボウルでしょソレ」
>

[Mana]
「昔おじいちゃんが言ってたじゃない、
>

初めてレストランへ行ったときに、
>

あのボウルの水を飲んだって」
>

[Kurumi]
「そうだっけ?
>

なんか胡桃いつも右から左だったからなぁ」
>

[Kurumi]
「そんなことよりも、お姉ちゃん♪」
>

私の腕に抱きついてくる胡桃。
>

肘のあたりにふにゅっとした柔らかい感触。
>

育ったなあ我が妹よ。
>

と、なんだか恥ずかしいような、
>

感慨深げなような。
>

[Kurumi]
「お昼食べた後はどうする?
>

せっかくだから目一杯楽しんでいこうよ!」
>

[Mana]
「うーん、まだちょっと
>

釈然としないところはあるけれど。
>

……まあ、そうね」
>

[Kurumi]
「わあい♪
>

天気もいいし、泳ぐ?」
>

[Mana]
「や、食べたあとに水着って……」
>

[Kurumi]
「大丈夫だよお姉ちゃん、
>

プロポーションいいし♪」
>

そんな事ないです。
>

食べたらおなかぽっこりです。
>

プロポーションだったら
>

胡桃のほうが……。
>

[Kurumi]
「せっかく水着もいっぱいあるんだし、
>

泳ごうよぉ~」
>

確かに、クローゼットを開けたら、
>

そこにはずらりと並んだ水着が。
>

セパレート、ワンピース、赤、黒、白、
>

スクール水着にTバックまで……。
>

ためしに試着してみましたが、
>

おどろきのジャストサイズさにビックリ。
>

まるで……測ったかのように。
>

[Inoue]
「……まあ、ご就寝中に測らせて
>

いただいたのですが」
>

[Mana]
「へ? 何か言いました?」
>

[Inoue]
「いいえいいえ。
>

こちらの話です。大きな独り言です」
>

[Inoue]
「それより、到着です」
>

井上さんが立ち止まりました。
>

そこは、さっき案内された大きな扉。
>

[Inoue]
「さ、どうぞお入りください」
>

そう言ってドアを開ける井上さん。
>

その向こうは――、
>

[Kyouka]
「ようこそ! まな!!」
>

……ちょっとしたデ・ジャ・ヴュ。
>

ううん、ほんの前にも似たような場面。
>

すごい勢いで鏡香ががばーっと
>

抱きついてきました。
>

[Kyouka]
「きゃーん♪ まなぁ~☆」
>

ちょうど顔が私の胸に――
>

すりすりすりっ☆
>

[Kyouka]
「ふふふふふかふかっ☆」
>

[Mana]
「にゃあああああっ!!」
>

胸にほおずりはやめなさいっ!!
>

[Mana]
「――もう、鏡香ったら」
>

なんとか胸から鏡香の顔を
>

引き剥がすと、一息。
>

[Kyouka]
「あん♪ もう、照れちゃって♪」
>

[Mana]
「いや、
>

照れるとか意味わかんない――」
>

[Kyouka]
「ちゅ☆」
>

[Mana]
「――きゃっ」
>

[Kurumi]
「――んなッ!?」
>

[Kyouka]
「えへへ♪」
>

にぱっ☆と笑う鏡香を見て、
>

怒る気も失せました。
>

[Mana]
「もう、いい加減にしてよね?」
>

こつん、と鏡香の額を小突く。
>

[Kyouka]
「はうんっ☆」
>

[Inoue]
「――皆様」
>

食卓の準備をしながら、
>

井上さんがパンパンと手を叩いた。
>

[Inoue]
「せっかくの料理が冷めてしまいますよ?
>

お嬢様もまだまだ時間はたっぷり
>

あるんですから」
>

[Kyouka]
「ふあい」
>

[Inoue]
「ふあい、じゃありません。
>

返事はハイ、といつも言ってるでしょう」
>

[Kyouka]
「ハイハイ」
>

[Inoue]
「返事は一回――」
>

[Kyouka]
「わかったわよ井上。
>

食事が冷める、でしょ?」
>

小さく息をつくと、
>

鏡香は髪をかきあげて両腕を広げた。
>

[Kyouka]
「ほら、まなも、さあ席について?」
>

[Inoue]
「まな様――どうぞ」
>

井上さんがいつの間にか背後にいて、イスを引いてくれた。
>

促されるままに空いている席につく。
>

[Inoue]
「さ、妹様もどうぞ」
>

[Kurumi]
「わぁっ、ありがとうございます」
>

[Inoue]
「今日のランチは――」
>

[Kyouka]
「井上。今日は私が説明するわ」
>

井上さんを手で制すると、
>

鏡香はスッと立ち上がった。
>

その動きは淀みがなく、
>

どこか上品さすら感じさせられました。
>

[Kurumi]
「――ふんっ」
>

[Mana]
「どうしたの? 胡桃?」
>

[Kurumi]
「別に。なんでもない」
>

[Kyouka]
「じゃあ、説明するわね。
>

これが――」
>

少し興奮した様子で、
>

料理の説明を始める鏡香。
>

なんかその様子がちょっとかわいいなぁ、と思ったりもしました。
>

料理は驚くほど美味しくて、
>

胡桃なんか何度もおかわりするくらい。
>

そのたびに鏡香に睨まれていたけど。
>

私もついついいっぱい
>

食べすぎちゃって……。
>

この後、水着にはあんまりなりたくないなぁ。
>

おなかぽっこり出ちゃってる……かも。
>

そんなくせに食後のデザートもぺろりと平らげてしまった私は駄目人間です。
>

あぁ駄目人間となじって下さい……。
>

ううう、ダイエット……
>

ちょっとだけしてたのに、
>

これでまた元通り……しくしく。
>

[Inoue]
「コーヒー、どうぞ」
>

空いたカップに
>

手際よくコーヒーを注いでいく井上さん。
>

と、目の前でカップに角砂糖を
>

ゴロゴロと大量投入する鏡香。
>

さほど大きくは無いカップに、
>

いったいどこまで角砂糖が
>

入るのだろうかと不思議になるくらい。
>

目を丸くする私。
>

胡桃もなんだか妙な表情でその光景を見つめている。
>

あれ、絶対甘い。
>

コーヒーの味なんかしません。
>

あ、角砂糖止まった。
>

くるくるとカップをかき混ぜて……
>

ええっ!?
>

今度はミルク投入ですか?
>

とぽとぽとぽとぽとぽ……。
>

止まらないミルク。
>

とぽとぽとぽとぽとぽとぽとぽとぽ……。
>

いや……それはちょっと……。
>

とぽとぽとぽとぽとぽとぽとぽと。
>

とぽとぽとぽとぽとぽとぽとぽと。
>

[Kurumi]
「うげげ」
>

思わず口に出す胡桃。
>

[Kyouka]
「あら? どうかされました?」
>

嫌味な調子、ではない。
>

素の反応。
>

自分がおかしなことをしてるって
>

自覚が無い。絶対。
>

[Kurumi]
「その砂糖とミルク……おかしくない?」
>

眉をひそめて胡桃が言う。
>

鏡香はちょっと恥ずかしそうに、
>

[Kyouka]
「え? あらやだ、
>

私ったらちょっと甘党でして……」
>

……いや、それで『ちょっと甘党』
>

レベルだったら真の甘党はどれだけの
>

砂糖を摂取することになるのやら。
>

[Kurumi]
「ああ……そう……なんだ」
>

胡桃は引きつった笑顔でそう答えると、
>

ポケットからケータイを取り出して、
>

テーブルの下ですごい勢いで何か打ち始めた。
>

と、数秒後に胡桃がケータイを閉じるとすぐさま私のケータイが震えた。
>

『FROM:くるみ SUB:無い( ´д')
>

 ―――――――――――――――――
>

 あの砂糖の量は絶対無い(>A<)
>

 てかどれだけのカロリーよっ!!』
>

確かに。
>

あれだけの量の砂糖を摂取して、
>

この鏡香の体型はまさに奇跡。
>

ちょっとうらやましかったり。
>

私なんて私なんて私なんて……ううう。
>

[Kyouka]
「ところで、まな?」
>

[Mana]
「……ほへっ!?」
>

不意に話を振られて、
>

変な声をだしてしまった。
>

[Kyouka]
「なにその声……まあいいわ。
>

食事も終わったし、
>

この後はどうする?」
>

[Mana]
「あはは、ごめんなさい。
>

……っと、このあとね、
>

どうしましょう?」
>

[Kurumi]
「泳ぎたいっ!!」
>

だんっ! と勢いよく立ち上がる胡桃。
>

うーんプールか……でも水着……。
>

[Kyouka]
「貴女には聞いてませんわ?」
>

[Kurumi]
「ぴくっ」
>

[Kyouka]
「私はまなに聞いてるんですもの、
>

ね~♪」
>

[Mana]
「え、いや、まあ」
>

[Kurumi]
「お姉ちゃんだって泳ぎたいよねっ?」
>

キラキラした瞳で見つめてくる胡桃。
>

でもなんだかんだ暑いから
>

プールというのも気持ちよさそうです。
>

[Kyouka]
「どうかしら、まな? 
>

中庭の木陰で、
>

のんびりまったり過ごすの」
>

[Kyouka]
「今日は湿度も低いし風もあるし、
>

クーラーの効いた部屋なんかよりも
>

ずっと気持ちがよくて涼しいわよ?」
>

鏡香の提案もぐっとくるものが……。
>

せっかくの避暑地、
>

普段出来ないことをするのも……。
>

どっちにしようか考えているところへ。
>

[Inoue]
「申し訳ありませんが」
>

井上さんが口を開いた。
>

[Kyouka]
「どうしたの井上?」
>

[Inoue]
「はい。プール、の件なのですが――」
>

[Kyouka]
「なによ」
>

[Inoue]
「今日はまだ準備が
>

出来ていないのです」
>

[Kurumi]
「えー」
>

[Inoue]
「申し訳ございません。
>

ただいま鈴木と田中が
>

修繕作業中でして……」
>

[Gurasan]
「――ったく、どうしてこんなときに
>

プールが壊れちまうのかねぇ」
>

[Maccho]
「形あるものは何時かは滅する。
>

運命だ」
>

[Gurasan]
「ハッ。
>

俺には難しいことはわかんねぇよ」
>

[Maccho]
「口よりも手を動かせ。体を動かせ。
>

仕事をしろ」
>

[Gurasan]
「へいへい。わっかりましたよ」
>

[Gurasan]
「ところでよー」
>

[Maccho]
「なんだ」
>

[Gurasan]
「お嬢の友達なんだが――ほっ!」
>

(胡桃のこと)
>

[Maccho]
「……ああ。あの方は……」
>

(まなのこと)
>

[Gurasan]
「あの女……かなりやるぜ?」
>

[Maccho]
「……そうか?
>

そうは見えないが……」
>

[Gurasan]
「俺の勘が告げている。
>

アイツは――ヤバイ」
>

[Maccho]
「……確かに……。
>

あの美しさはヤバイかも、な……」
>

[Gurasan]
「久々に燃えてきたぜ?」
>

[Maccho]
「……そう、かもな……」
>

[Gurasan]
(胡桃、とか言ったか。
>

次は――負けねぇ!)
>

[Maccho]
(まなさん、と言ったか。
>

……可憐だ)
>

[Gurasan]
「…………」
>

[Maccho]
「…………」
>

[Gurasan]
「…………暑いな」
>

[Maccho]
「心頭滅却すれば火もまた涼し、だ。
>

修行が足りん」
>

[Gurasan]
「俺は天才肌だからな」
>

[Maccho]
「そうか」
>

[Gurasan]
「ああ」
>

[Maccho]
「…………」
>

[Gurasan]
「…………」
>

[Gurasan]
「さっさと終わらせちまおう」
>

[Maccho]
「全くだ」
>

[Inoue]
「おそらく明日には使えると思います」
>

[Kyouka]
「あら! まあ! まったく、
>

井上ったら準備が悪いわね!?
>

あぁ残念ですこと」
>

[Inoue]
「申し訳ございません」
>

[Mana]
「だってさ、胡桃。
>

残念だけどプールは明日以降、
>

だね?」
>

[Kurumi]
「えうぅぅ……プールぅ……」
>

[Kyouka]
「ほーっほっほっほ! 残念だったわね!
>

これで今日の予定は決まったわね!!」
>

[Kurumi]
「くぅっ……!!」
>

胸を張って勝ち誇る鏡香、
>

歯軋りをして悔しがる胡桃。
>

……そこまで重要な部分、ですか?
>

[Kyouka]
「いいことまな!」
>

びしっ!!
>

と指差して声高らかに宣言する鏡香。
>

[Kyouka]
「今日はこの後、
>

一日まったり、よ!!」
>

[Mana]
「そんなに力いっぱい叫ばなくても……」
>

[Kurumi]
「ごめんねお姉ちゃん……
>

胡桃の力が足りないばっかりに」
>

[Mana]
「いや、別に気にしてないから……」
>

ふと、胡桃と鏡香の視線が合い――
>

[Kyouka]
「……はッ!!」
>

[Kurumi]
「ちッ……!!」
>

なんなんだかなー、もー。
>

さっきもちょっと見たけど、
>

中庭と言えど、
>

すごく広くてきれいなお庭でした。
>

噴水や木陰のおかげで、
>

真夏のこの季節でも、
>

十分涼しく過ごせて。
>

3人で他愛もない話をしたり、
>

途中で井上さんがおやつを
>

もってきてくれたり。
>

鈴木さんと田中さんも、
>

おやつにまじったり、と。
>

とても楽しくて、あっという間に
>

夕飯の時間になっていました。
>

……全然、カロリー消費して無いのに。
>

お腹って空くんですね。
>
limit_panic/nichijou1.txt · Last modified: 2014/05/25 12:55 (external edit)