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Lines: 633
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こんにちは、二ノ瀬まなです。
>

みなさん、
>

夏休みをいかがお過ごしですか?
>

プールに花火、バーベキュー。
>

いい感じの人と
>

イイカンジになっちゃったりしちゃって?
>

ウフフ……いいですねぇ。
>

思いっきり夏を満喫!
>

って感じですねぇ。
>

[Kurumi]
「またアンタか。
>

いい加減そこをどいてくれないか?」
>

[Gurasan]
「残念ながら……
>

そいつは出来ない相談だねぇ」
>

私?
>

私ですか?
>

友人の所有する別荘で
>

外界とは全く切り離された
>

有意義な夏を過ごしています。
>

ある意味最高の避暑地です。
>

どこへ出かけても人、人、人。
>

夏休みによくある風景、
>

でも、ここはそんなものとは無縁です。
>

[Gurasan]
「正直このまま出番無しで
>

終わるのかと思ったじゃねえか!!」
>

[Kurumi]
「名前表示が最後まで本名にならないようなヤツには当然のしうちさ」
>

[Gurasan]
「ぐあ……。
>

言っちゃならねぇことを……!」
>

[Kurumi]
「主に忠実なのは見上げたものだ。
>

だが……。
>

それは時として己の命を危機に晒す」
>

[Gurasan]
「ハッ。
>

なぁに言ってくれちゃってるワケ?
>

お嬢は関係無ぇなぁ」
>

[Kurumi]
「ほう?」
>

[Gurasan]
「強ぇヤツと戦いてぇ。
>

そうだろ? アンタだってよ?」
>

それに――
>

どうです?
>

ここの静けさと来たら。
>

一番近い街でも車で2時間かかる、
>

とメイドの井上さんが言ってました。
>

……本当に日本ですか? ここ。
>

疑いたくなるくらいの山奥っぷりです。
>

聞こえてくるのは風の囁きと、
>

鳥のさえずり。
>

あとは――、
>

[Kurumi]
「……たいした忠犬ぶりだよ、アンタ」
>

[Gurasan]
「ハッ!
>

褒め言葉と受け取っておくよ!!」
>

星の瞬きだけです。
>

とってもロマンチック♪
>

[Inoue]
「まな様、お茶が入りました」
>

何が凄いって、
>

メイドの井上さんがいつでもどこでも
>

お茶の準備をしてくれること。
>

私は椅子に腰掛けると、
>

注いでくれた紅茶の香りを楽しむ。
>

まるでお嬢様にでもなった気分♪
>

[Inoue]
「本日の茶葉は最高級のセイロンです」
>

とは言え、紅茶のことなんか
>

さっぱりわかりません。
>

とりあえずわかった風に頷いて、
>

香りを楽しむそぶりをします。
>

正直、わかるのは
>

うちで淹れるパックの紅茶より
>

香りが強いかなーくらいです。
>

[Inoue]
「どうぞ、ごゆっくり」
>

椅子もフカフカ、
>

紅茶も美味しい。
>

[Gurasan]
「……遊びは……終わりだぜっ?」
>

[Kurumi]
「――――くッ!?」
>

[Gurasan]
「どうした?
>

その程度なのか?」
>

[Gurasan]
「立てよ、それとももう終わりなのか?
>

俺をガッカリさせてくれるなよ?」
>

[Kyouka]
「ハン。所詮は虫ふぜい、
>

といったところかしら?」
>

ここであんまり長く暮らすと、
>

日常に戻ったときの
>

ギャップが凄そうです。
>

ううう、
>

ちょっと現実逃避。
>

[Kurumi]
「……五月蝿い声だな……」
>

[Kyouka]
「あら。虫が人の言葉を理解出来て?」
>

[Kurumi]
「…………アンタ、死にたいんだ」
>

ああ、お茶が美味しいです。
>

美味しい紅茶に美味しいスコーン。
>

もう他には何もいりませんね。
>

至福のひと時です。
>

[Maccho]
「おかわりも、あるぞ」
>

うふふ。
>

お嬢様ってのも悪くないかも、ね♪
>

[Kurumi]
「ここから先は――
>

相手は人間じゃないと思え」
>

[Gurasan]
「随分と大口を叩いてくれるじゃねぇか!
>

楽しみだねぇ!!」
>

[Kurumi]
「ここから先は――鬼(しゅら)だ」
>

スコーンに手を伸ばした、
>

その時!
>

[Gurasan]
「ぐわあっ!!?」
>

吹っ飛ばされてきた田中さんが、
>

テーブルを木っ端微塵に粉砕しました。
>

[Inoue]
「鈴木!」
>

[Maccho]
「はっ」
>

すんでのところでカップとポット、
>

あとスコーンの乗ったお皿だけは
>

マッチョさんと井上さんによって
>

死守されましたが。
>

ええと、
>

ほら、
>

静かな別荘でしょ?
>

さっきも言ったけど、
>

聞こえてくるのは、
>

風の音と――
>

[Gurasan]
「チックショウ!!
>

まだだ、まだ終わっちゃいねぇ!!」
>

鳥のさえずりと――
>

[Kurumi]
「だろうな。
>

私をガッカリさせないでくれよ。
>

ボ・ウ・ヤ?」
>

星の瞬き――
>

後は、
>

怒号と殴りあう音だけ。
>

それだけ。
>

それだけ……?
>

怒号……?
>

殴りあう音?
>

――あはハ。
>

――本当、別荘ってすてキ。
>

外にも出られないし、
>

みんないつもケンカしてるし、
>

私のことなんか誰も――
>

[Kyouka]
「ねえまな、こんなところにいないで
>

私と一緒に行きましょう?」
>

[Kurumi]
「何言ってるの?
>

お姉ちゃん、胡桃と一緒に遊ぼう?」
>

[Mana]
「もういい加減にして!!」
>

手にしたカップを
>

テーブルへ置こうとして、
>

けれどもそこにはテーブルは無く、
>

思い切り床に叩きつけてしまいました。
>

ついさっきテーブルは木っ端微塵に
>

破壊された事を思い出しました。
>

その出来事に胡桃も鏡香も
>

さすがに言葉を失う。
>

[Mana]
「毎日毎日ケンカばかり!
>

どうしてふたりともそうなの!?」
>

[Kurumi]
「どうしてもなにも、
>

お姉ちゃんの為に――」
>

[Kyouka]
「全てまなの為なのよ――?」
>

[Mana]
「うるさい!!」
>

[Mana]
「誰がこんな事を望みましたか!?
>

こんな、こんな――!!」
>

[Mana]
「勝手にすればいいでしょう!?
>

もう、知らない!!」
>

[Kyouka]
「あ、まなッ!?」
>

[Kurumi]
「お姉ちゃん!?」
>

[Kyouka]
「……」
>

[Kurumi]
「……」
>

[Kyouka]
「……この邪魔虫がッ!!」
>

[Kurumi]
「アンタがいけないんだろッ!!」
>

[Gurasan]
「あ! 俺も俺も!!」
>

……どうしてこんな事に
>

なっちゃったんでしょうか。
>

ついカッとなってあんな事を
>

言ってしまいました。
>

私だって、何も出来てないのに。
>

ふたりのケンカを止めようとしても
>

止められなかった。
>

私の力不足を全部ふたりのせいにして。
>

ううう。
>

ちらり。
>

振り向いてみても、
>

誰も追ってくる様子はありません。
>

[Mana]
「こんなんじゃ、
>

嫌われても仕方ないよね」
>

とぼとぼ。
>

……どうしてこんな事に……。
>

[Mana]
「あれ?」
>

考え事をしながら歩いてたら、
>

道を間違えてしまったみたいです。
>

[Mana]
「こっち、反対側ですね」
>

ここへ来た初日に、
>

歩いて回った記憶を廻らす。
>

[Mana]
「……しかし広いお屋敷ですよね」
>

どこか外へ出られる扉は無いか、
>

探したけど結局見つけられなくて。
>

それで、あの時は――、
>

[Mana]
「井上さんに止められた。
>

この扉を見つけた時点で」
>

気が付けば、
>

私はその『扉』の前に来ていました。
>

周りからは陰になるように配置された、
>

その『扉』。
>

最初にこの『扉』を発見した時以来、
>

すっかりこの『扉』の存在は
>

記憶の隅へと追いやられてました。
>

けれどもあの時の井上さんの反応からして、この『扉』は何か大切なモノを
>

閉ざしているのだと、
>

と私の勘が告げています。
>

恐らくは、
>

禁忌たる何かを封じている『扉』。
>

………………。
>

…………。
>

……。
>

[Mana]
「なんてね、マンガの読みすぎですよね」
>

想像と言うよりはもはや妄想です。
>

我ながら恥ずかしいです。
>

[Mana]
「……もしかしたら、
>

外に繋がる扉……とか?」
>

恐る恐る手を伸ばす。
>

もしかしたら、
>

本当に、
>

何かを封じて――。
>

……あら。
>

鍵が、かかってますね。
>

開かない。
>

ううう。
>

どれだけ捻っても開く気配はありません。
>

[Mana]
「……やっぱり、
>

そんなに甘くはないですね」
>

[Maccho]
「その扉は――」
>

[Mana]
「ひゃっ!?」
>

背後からかかった声に、
>

思わず声を上げてしまいました。
>

振り向けば、
>

そこにはマッチョさんが立っていました。
>

[Mana]
「えと、マッチョさん」
>

[Maccho]
「鈴木、だ」
>

[Mana]
「あ、ゴメンなさい」
>

[Maccho]
「それよりも、その『扉』だが」
>

[Mana]
「はい」
>

[Maccho]
「それには触れないほうがいい」
>

[Mana]
「え?
>

思いっきりドアノブ
>

触っちゃいましたが……」
>

[Maccho]
「ああ、いや、
>

そういう意味じゃない」
>

私の顔色を見た鈴木さんが首を横に
>

振りました。
>

[Maccho]
「その扉、その部屋に触れるには、
>

よほどの覚悟が無ければならない」
>

いつになく饒舌な鈴木さん。
>

[Maccho]
「その部屋には『女王』たる者のみ
>

入る事を許される」
>

[Mana]
「『女王』……?」
>

[Maccho]
「それなりの覚悟が必要、ということだ」
>

[Mana]
「覚悟……」
>

[Maccho]
「……まあ、私としては
>

お前が『女王』であるならば……」
>

[Mana]
「え?」
>

[Maccho]
「あ、いや、なんでもない。
>

それよりも、コレを」
>

[Mana]
「これは……?」
>

[Maccho]
「ここの鍵だ。
>

もし、お前に覚悟があるならば、
>

この『扉』を開けるがいい」
>

[Mana]
「え、でも、
>

さっきは触れない方が良いって」
>

[Maccho]
「大切なモノを失う覚悟があるならば。
>

それと同時に、
>

元には戻れなくなると思え。
>

今までの自分で無くなると――」
>

[Maccho]
「それに耐えられるならば、だ」
>

手にした鍵を握り締め、
>

鈴木さんの顔を見る。
>

[Mana]
「……これ以上、失いたくありません。
>

でも、何もしないでただ眺めてるだけ
>

なんていうのはもっと嫌です」
>

マッチョさんが微笑んでいるような、
>

そんな気がしました。
>

[Maccho]
「ならばもう何も言うまい。
>

あとはお前次第だ。
>

お嬢様や妹を生かすも殺すも、な」
>

[Mana]
「ありがとうございます」
>

[Maccho]
「ふふ、いい目をしているな……」
>

[Mana]
「でも、どうしてそれを?
>

ここはそれだけ大切な場所、
>

じゃないんですか?」
>

[Maccho]
「確かに、本来ならお嬢様が入るべき
>

部屋、なのかも知れない。
>

だが――」
>

そこまで言って、鈴木さんは何故だかその後の言葉を飲み込みました。
>

[Maccho]
「いや、何でもない」
>

[Mana]
「はぁ……」
>

なんだかハッキリとしない感じですが。
>

[Maccho]
「それよりも、だ。
>

早くしないと井上さんたちに勘付かれる。『扉』を開けるならば――」
>

[Mana]
「…………」
>

私は大きく深呼吸をすると、
>

ひとつ頷く。
>

そして鍵を開けて――、
>

[Mana]
「こ……この……部屋は……?」
>

[Kurumi]
「……マッチョ?」
>

[Maccho]
「……妹か。
>

田中や井上さん、
>

お嬢様はどうした?」
>

[Kurumi]
「お姉ちゃんはどこ?」
>

[Maccho]
「……質問をしているのはこちらだ」
>

[Kurumi]
「……お姉ちゃんはどこ?
>

って聞いてるの」
>

[Maccho]
「…………。
>

彼女なら自分の部屋に戻った」
>

[Kurumi]
「…………」
>

[Maccho]
「…………」
>

[Kurumi]
「嘘」
>

[Maccho]
「ほう?」
>

[Kurumi]
「アンタ、
>

嘘をつくとき鼻がヒクついてる」
>

[Maccho]
「……カマをかけるつもりか?」
>

[Kurumi]
「ほら、また鼻が」
>

[Maccho]
「…………」
>

[Kurumi]
「うふふふ」
>

[Kurumi]
「力ずく? いいよ胡桃は」
>

[Maccho]
「……田中はどうした」
>

[Kurumi]
「あのグラサンなら向こうで寝てるよ」
>

[Maccho]
「井上さんは」
>

[Kurumi]
「はン。愛しいお嬢様の手当てでも
>

してるんじゃないかしら?」
>

[Maccho]
「……貴様」
>

[Kurumi]
「ふふ。
>

アンタとはまだ手合せしてなかったね。
>

胡桃を退屈させないで――ね?」
>

[Maccho]
「……笑止」
>

[Inoue]
「……お嬢様、お嬢様……」
>

[Kyouka]
「……ん、あ?」
>

[Inoue]
「ああ、良かったお嬢様……」
>

[Kyouka]
「わたし……どうして……」
>

[Inoue]
「気を、失ってらしたのです」
>

[Kyouka]
「私が? 気絶を?」
>

[Inoue]
「それは…………」
>

[Kyouka]
「そういえば、田中は?」
>

[Inoue]
「田中も……」
>

[Kyouka]
「――!?
>

そんな……。
>

田中ほどの手練れがどうして――?」
>

[Kyouka]
「…………。
>

あの、邪魔虫、か!」
>

[Inoue]
「……はい」
>

[Kyouka]
「ハッ!? まなは?
>

私のまなはどこ?」
>

[Inoue]
「先に部屋に戻られたかと……。
>

それを追って胡桃様も……」
>

[Kyouka]
「チィッ!
>

こうしてはいられないわ!」
>

[Inoue]
「あ、お嬢様、一体どこへ?」
>

[Kyouka]
「決まってるでしょう、
>

後を追いかけるに!」
>

[Kyouka]
「ここは私の屋敷よ。
>

余所者に好き勝手されて
>

たまるものですか!」
>

[Kyouka]
「……絶対に許さないんだから」
>

[Inoue]
「あ、お嬢様!?」
>

[Kurumi]
「――これ即ち死の門。
>

その先に立っていたモノは
>

――いない」
>

[Maccho]
「ぐ………っ、不覚………」
>

[Kurumi]
「ハァ……ハァ……
>

この技を出させたのは、
>

アンタが初めてだよ……」
>

[Maccho]
「…………」
>

[Kurumi]
「さ、てと、
>

ようやくお姉ちゃんを迎えに行ける……」
>

[Kurumi]
「けど、なんか悪趣味な感じの
>

扉なのよね、これ。
>

なんだかヘンな気配しかしないし」
>

[Kyouka]
「――鈴木!!」
>

封じられていたその部屋は薄暗く、
>

目が慣れるまでにしばらく
>

時間がかかりました。
>

やがて目が慣れてきて、
>

部屋をじっくりと見ると、
>

そこには見たことも無い器具が
>

いっぱい並んでいました。
>

まるで、拷問でもするかのような、
>

ちょっとえげつないものばかり。
>

そんな中でもひときわ、
>

私の目を引いたのが――
>

椅子。
>

部屋の中央に仰々しく置かれた、
>

そう、これは、
>

まさに玉座でした。
>

鈴木さんが言っていた、
>

『女王』たるものが座るべき玉座
>

なのだと、直感しました。
>

[Mana]
「これが……そうなの?」
>

ごくり。
>

吸い込まれるように、
>

その椅子へと腰掛ける。
>

まあ、もっとも座ったところで
>

別段何かが起ったわけでも
>

ないようですが。
>

[Mana]
「……そう、よね。
>

いくらなんでもそれは……」
>

これで『女王』になれたら
>

苦労しませんね。
>

[Mana]
(……そう、苦労はしない)
>

[Mana]
(私はどうしてこんなに苦労してるの?)
>

夏休みが始まって、
>

鏡香にこのお屋敷に連れてこられて。
>

あとは鏡香と胡桃に
>

振り回されっぱなし。
>

[Mana]
(ああ、なんだ、そうか)
>

[Mana]
(――アイツらのせいだ)
>

……え?
>

いま私、何を考えてました?
>

[Mana]
(どうして私だけが……
>

こんなに苦労してるのに……。
>

バカみたい、本当、バカみたい)
>

……よく、わかりません。
>

自分でも何を考えてるのか。
>

ヤレヤレ、と溜息をついた、
>

その時でした。
>

[Kurumi]
「お姉ちゃん!!」
>

[Kyouka]
「まな!!」
>

物凄い形相のふたりが
>

部屋に駆け込んできました。
>

私はふたりの方を睨みつけ――
>

え?
>

目をやりました。
>

[Mana]
「こいつらが私の命令に背くから……」
>

……え?
>

私、今なんて言いましたか?
>

この部屋に入ってから、
>

なんだか、おかしいです。
>

時折、自分が自分でなくなるような――
>

たかが、椅子に座った程度で、
>

どうしてこんな?
>

[Mana]
「違う、な。
>

普段のいい子ぶってる自分こそが……。
>

そして恐らくはこれが私の――」
>

[Mana]
「……何か用かしら?」
>

……え?
>

今の、私の声?
>

って、あれ?
>

声が……出てない?
>

[Kurumi]
「こんなところに閉じ込められて、
>

可哀相に。
>

でももう大丈夫、
>

さあ、お姉ちゃん早く出よう?」
>

胡桃が私の手を取る。
>

[Mana]
「気安く触らないでくれるかしら。
>

あなたのクサイ臭いがうつったら
>

どうしてくれるの」
>

[Kurumi]
「――え?」
>

[Mana]
「それに、閉じ込められた?
>

何言ってるの?」
>

何言ってるの? は私の方……。
>

違う。
>

こんなの私じゃない?
>

ううん、
>

――違わない。
>

これが、私の本心……。
>

[Kurumi]
「おねえ、ちゃん?」
>

[Mana]
「私は自分の意志で
>

この部屋に入ったの。
>

閉じ込められた可哀そうな小鳥は、
>

あなたのほうじゃないかしら?」
>

[Kyouka]
「あはっ、あははっ!
>

あははははははっ!!」
>

鏡香が楽しそうに笑った。
>

全く、何がそんなにおかしいんだか。
>

[Kyouka]
「今のがまなの答え、ってわけね!
>

まなは貴女を選ばなかった!
>

つまり――」
>

[Kyouka]
「まなは私のモノってわけね!
>

きゃーん☆」
>

ガバッ!と胸元に抱きついてくる鏡香。
>

[Kyouka]
「うふふ……まな?
>

もう離さないんだから」
>

[Mana]
「――誰が、誰のモノですって?」
>

[Kyouka]
「へ?」
>

間抜けな声で見上げてきた鏡香の顎を、
>

指で持ち上げる。
>

[Kyouka]
「――あ」
>

[Mana]
「ちゃんと、
>

顔を上げてごらんなさい?」
>

[Kyouka]
「ま……な……?」
>

[Mana]
「上げなさい」
>

[Kyouka]
「……ハイ」
>

[Mana]
「そう。いい子ね。
>

そのまま目を閉じなさい」
>

[Kyouka]
「ん……」
>

[Mana]
「閉じなさい」
>

[Kyouka]
「……わかり、ました……」
>

今までの強気な態度はどこへやら、
>

急にしおらしくなって
>

素直に言う事を聞く。
>

普段からこうならば、
>

少しは可愛げがあるものを。
>

私は鏡香に顔を近づけて、囁いた。
>

[Mana]
「ふふ。いい? 鏡香。
>

これからどちらが主人か、
>

しっかりと教えてあげるわ」
>

[Kyouka]
「……ふむぅっ!?」
>

私はそのまま強引に鏡香の唇に
>

自分の唇を重ね合わせた。
>

[Mana]
「……チュッ」
>

[Kyouka]
「あンっ……」
>

[Mana]
「ふふ……」
>

くてっ、と力なく崩れ落ちる鏡香を
>

玉座にもたれさせ、
>

[Mana]
「あなたもいらっしゃい、
>

コチラ側へ……。
>

捕らわれた可哀そうな小鳥」
>

[Kurumi]
「うそ……おねえちゃん、
>

そんな……」
>

[Mana]
「胡桃。おいで」
>

[Kurumi]
「いや……うそ……嘘よっ!!」
>

叫んで、殴りかかってくる胡桃。
>

私はその腕を取ると、
>

[Kurumi]
「――きゃんっ!?」
>

胡桃の力を利用して、
>

彼女を軽く投げ飛ばす。
>

くるん、と一回転しておしりからストンと着地させた。
>

[Mana]
「いけない妹ね。
>

姉に逆らうなんて」
>

[Kurumi]
「おねえ、ちゃん……?」
>

驚愕の表情で私を見つめてくる胡桃。
>

確かに、普段からすれば今の私は
>

信じがたいでしょうね。
>

けれど、
>

[Mana]
「あなたも鏡香も、
>

本当にワガママで困るわ」
>

[Mana]
「でも、安心して。
>

これからは私が――この部屋を使ってふたりを教育してあげる」
>

[Mana]
「少しくらいワガママなほうが
>

教育しがいがあるというものよね?」
>

[Kurumi]
「おねえちゃん……?」
>

[Mana]
「ああ、と。
>

そうだその前に……」
>

私は屈んで胡桃の顔を覗き込んだ。
>

[Mana]
「ふふ……そうやって
>

しおらしくしていれば可愛いのに、ね」
>

胡桃の頬を優しく撫でる。
>

[Kurumi]
「ひっ……」
>

まるで肉食獣に睨まれた
>

草食獣のように……って、
>

我ながら不本意な表現ね。
>

[Mana]
「フフフ。
>

別にとって食べたりはしないわ。
>

誰かに食べさせたりするかも、
>

しれないけれどね?」
>

先ほどまでの勢いはどこへやら、
>

すっかりおとなしくなった胡桃。
>

[Mana]
「胡桃にも、ね。
>

教えてあげるわ。
>

本当の姉妹の愛を――」
>

[Kurumi]
「おねえちゃん――
>

はむ……」
>

[Mana]
「――ちゅっ。
>

フフ、ックク……フハハハハ!!」
>

椅子や部屋に特別な力があった、
>

というわけではなく。
>

恐らくは自己暗示的なもの、だと思う。
>

けれど、この椅子に座ったときに私は
>

本当の自分をようやく見つけられた。
>

そんな気がするのだ。
>

[Mana]
「『女王』……ね、フフフ。
>

悪い気はしないわね……」
>

それから――。
>

[Gurasan]
「まな様、メシの支度が出来たぜ?」
>

[Maccho]
「……女王様……」
>

グラサンは力ずくで打ち負かしたら
>

あっさりと言う事を聞くようになった。
>

マッチョは……なんでしょうか。
>

前々から私に気があったようです。
>

フフ、可愛いじゃないですか。
>

面白いおもちゃになりそうですね。
>

だからあの時に私に鍵を渡した……
>

のでしょうか。
>

まあ、今となっては、
>

どうでもいい事ですが。
>

たっぷりと可愛がってあげましょう。
>

[Kurumi]
「お姉さま、お茶が入りました」
>

[Mana]
「ありがと。
>

それじゃあそのお茶を
>

口移しで飲ませてあげる」
>

[Kyouka]
「ご主人様、
>

お風呂の支度が出来ました」
>

[Mana]
「あら丁度よかったわ。
>

鏡香、お風呂の前にあなたが私の足をなめてきれいになさい」
>

[Kyouka]
「そっ、そんな……」
>

[Mana]
「ほぉら。愛しのまな様のおみ足よ?
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どうしたのかしら?
>

まだ元人間としてのプライドが
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邪魔をするのかしら?」
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[Kyouka]
「い、いいえ……。
>

ちゅ、んー……ちゅる……」
>

[Mana]
「ウフフ……もうケモノ以下ね。
>

それでいいのよ。とっても美しいわ。
>

二人とも、本当に良い子ね」
>

『教育』の甲斐あってか、
>

今ではふたりともすっかり従順な
>

『オモチャ』になりました。
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ケンカをする事もなくなりましたし、
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それどころか……
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[Kurumi]
「鏡香おねえさま……あっ、
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ちょっと、そこは……」
>

[Kyouka]
「あら、
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胡桃ったらヘンな声を出して♪」
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[Kurumi]
「ダメ、あっ、ダメです。
>

そんな大胆なっ」
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[Kyouka]
「胡桃はここを責められると弱いのよね」
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[Kurumi]
「……なんて、ね♪
>

反撃ですぅ」
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[Kyouka]
「ば、バカッ! そこは!
>

お止めなさ、くぅ~~~っ!」
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[Kurumi]
「きゃっ☆ 胡桃の勝ち☆」
>

と、今ではすっかり仲良しに。
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ちなみに最後まで抵抗していた
>

井上ですが――、
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[Kyouka]
「井上、いい? 
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今日からまなが私たちのご主人様よ」
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[Inoue]
「お嬢様……それは、あまりにも……」
>

[Kyouka]
「貴女は私のメイド。
>

その私がご主人様のドレイなんだから、
>

貴女もご主人様に仕えるべき、
>

そうでしょう?」
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[Inoue]
「しかし……!」
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[Kyouka]
「……ねえ、お願い」
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[Inoue]
「わかりました! 
>

だから! そのナイフは!
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後生ですから、お収めください!!」
>

鏡香の『お願い』によってついに陥落。
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こうしてこのお屋敷は
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私の支配する世界となったわけです。
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外の世界とは完全に隔離された世界。
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誰にも邪魔されずに
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『オモチャ』たちと愛を育む。
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完全にして完成された世界。
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――私の私による私のための夏休みは
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まだまだ終わりそうにない。
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limit_panic/manaend.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)