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limit_panic:kyoukaend1
ending/鏡香END1.ks
Lines: 530
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………………。
>

…………。
>

……。
>

[Mana]
「……あっ!?」
>

声を上げて、跳ね起きる。
>

慌てて周囲を見回して――、
>

[Mana]
「……あれ、寝てたんだ私……」
>

ここが鏡香の別荘だということが
>

わかって小さく息を吐いた。
>

頭が重い。
>

最悪の寝起き。
>

寝汗でシーツも服もびっしょり。
>

パジャマにも着替えずに
>

服のまま寝ていた事に
>

いまさらながら気がつきました。
>

[Mana]
「……なんか、最悪……」
>

何かに追われているような、
>

そんな夢を見ていた気がします。
>

無気味に笑う黒い影。
>

私は屋敷中を逃げまわって、
>

最後はこの部屋に追い詰められて――、
>

珍しく覚えている悪夢。
>

だいたい夢なんて
>

目が覚めたら忘れちゃうものですが、
>

今回のは妙にくっきりと覚えてます。
>

[Mana]
「ヘンな夢……ホント、
>

鏡香に……ねえ?」
>

呟いて苦笑い。
>

部屋を見渡しても
>

夢の跡なんてどこにも残ってないし。
>

斧でズタズタにされた扉も、
>

破壊された椅子も、
>

そんな痕跡なんかどこにもない。
>

[Mana]
「殺される夢は確か……
>

生まれ変わりとかを
>

暗示してたはずだから」
>

[Mana]
「うん!
>

もしかしたら今日は
>

何かいいことがあるかもしれません!」
>

[Mana]
「胡桃と鏡香が……仲直りするとか!」
>

殺す夢も殺される夢も、
>

暗示してることは
>

内容に反して良い事だと
>

前に夢占いの本で読んだ気がします。
>

――それでもやっぱり。
>

[Mana]
「でも、どうして昨日は服のまま
>

寝ちゃったのかしら?」
>

……寝る前の記憶がありません。
>

まったく、何をしてたか思い出せない。
>

そんなに疲れてたのかしら、私。
>

[Mana]
「……まあいいや。
>

起きる時間には少し早いけど、
>

汗がひどいから、
>

シャワーでも浴びようっと」
>

あくびをかみ締めながら伸びをすると、
>

私はだるさの残る体を引きずって
>

部屋の扉を開けた。
>

[Mana]
(……鏡香に殺される夢、
>

なんてねぇ……)
>

[Mana]
「…………あれ?」
>

扉を開けて、私は違和感を覚えました。
>

扉の向こうは廊下。
>

昨日までと変わらない景色。
>

……のはず。
>

なのに。
>

[Mana]
「……なんだろう?」
>

寝ぼけた頭で考えても、
>

その違和感が何だかわかりません。
>

隣の部屋は胡桃の部屋。
>

扉をそっと開けてみると――、
>

[Kurumi]
「……すやすや……」
>

ベッドで寝ている胡桃の姿。
>

……うーん、おかしいところは別に無い。
>

[Mana]
「……ま、いっか」
>

そっと扉を閉めると、
>

私はお風呂に向かう事にしました。
>

[Mana]
「おっふろ、おっふろ♪」
>

違和感なんて気のせいかも。
>

ヘンな夢を見たあとだから
>

ちょっと敏感になってるのかな。
>

お風呂に入ってさっぱりすれば、
>

頭もすっきりして目が覚めるでしょ。
>

そうすれば、
>

今日は一日、
>

なにかいいことがあるかも――。
>

鼻歌交じりでお風呂に向かう私。
>

――違和感なんて気のせい。
>

だから、
>

部屋からお風呂までの距離が
>

ちょうど一部屋分、
>

短かった事になんて、
>

全く気が付きませんでした――。
>

この日は一日が普通に過ぎて、
>

ただただのんびりと、
>

何事も無く、
>

本当に、
>

平和に――。
>

……一日が何も無く過ぎるなんて、
>

昨日までを思えば、
>

それ自体、おかしな話だったんです。
>

胡桃も鏡香もいがみ合うどころか、
>

ちょっとしたケンカも無く、
>

まったくの平和だ、なんて。
>

一見、平和に見えたのは、
>

ただその時は何も起きなかっただけで、
>

実際は胡桃も鏡香も
>

ほとんど顔を合わすことが無くて、
>

だから、
>

そう、
>

例えるなら、
>

増水で決壊前のダム。
>

――嵐の前の静けさ、
>

ってやつです。
>

ひっそりと静かに、
>

ただ水位は着々と上昇し、
>

気が付いたときには――。
>

[Inoue]
「まな様、まな様」
>

夕方、部屋でのんびりしてると、
>

ノックの音と共に井上さんの声が
>

聞こえた。
>

ケータイを見ると時間は夜の18時。
>

そろそろ夕飯の時間?
>

[Mana]
「はーい」
>

今日はのんびりだったわりに、
>

一日があっという間だった気がします。
>

珍しく胡桃からもメールが無かったし、
>

鏡香もとりたてベタついてくることも
>

無かったし。
>

おかげで部屋でごろごろと
>

ダメ人間怠惰ライフを満喫です。
>

それでも人間、
>

時間になればおなかは減るもので。
>

そこらへんが何だか無常です。
>

動いても動かなくてもおなかが減って、
>

同じだけのカロリーを摂取する。
>

……でも待って下さい、
>

動いたときと動かないときの
>

消費カロリーは全然違います。
>

それでも同じだけカロリーを
>

摂取していたら……。
>

…………ぷにる。
>

これはマズいです。
>

冷や汗が頬を伝う。
>

どうにかしてなんとかしないと!?
>

[Inoue]
「まな様?」
>

……ハッ。
>

いけない、一瞬意識が飛んでました。
>

[Mana]
「あ、ごめんなさい、今出ます――」
>

カロリーの事などどこへやら、
>

次の瞬間には今夜の夕飯なんだろなー
>

と頭の中は幸せいっぱいに
>

埋まっていました。
>

[Mana]
「おゆうはん♪ おゆうはん♪」
>

何と言っても、何は無くとも、
>

ごはんは楽しみです。
>

それが高級レストラン並とくれば
>

もう、言う事なし。
>

[Mana]
「今日の夕飯はなんですか?」
>

[Inoue]
「…………」
>

[Mana]
「井上さん?」
>

[Inoue]
「あ、ああ、すみません。
>

ええと、何の話でしたっけ?」
>

いつも完璧な井上さんが、
>

珍しく上の空でした。
>

[Mana]
「井上さん、大丈夫ですか?」
>

[Inoue]
「え、ええ。
>

少し疲れが出たみたいです。
>

申し訳ありません」
>

[Mana]
「やっぱり、
>

メイドさんのお仕事って
>

大変なんですか?」
>

[Inoue]
「ええ、まあ……」
>

なんだか歯切れも悪い。
>

これもまた珍しいです。
>

[Mana]
(やっぱり少し疲れてるみたいですね)
>

今日の井上さんはどこかいつもとは
>

違う様子です。
>

いつもは何でもそつなく
>

完璧にこなしているのに、
>

今日は――、
>

[Inoue]
「あたっ!?」
>

何も無いところで躓いたりしてます。
>

……こんな井上さん、見たこと無いです。
>

なんだかニヤニヤしちゃいます。
>

[Inoue]
「……お見苦しいところを
>

お見せして申し訳ありません」
>

[Mana]
「いや、全然そんなことないです。
>

それよりも本当に大丈夫ですか?」
>

[Inoue]
「……はい」
>

[Mana]
「えっと……」
>

[Inoue]
「お気遣いありがとうございます。
>

本当に、大丈夫ですから」
>

[Mana]
「あ……はい」
>

そこで会話終了。
>

…………。
>

無言のまま廊下を歩く私と井上さん。
>

と、
>

[Mana]
「あれ?」
>

井上さんが食堂の方ではなく、
>

鏡香の部屋の方へと進んでいきます。
>

[Mana]
「井上さん、そっちは……」
>

[Inoue]
「今日はこちらで……」
>

[Mana]
「え、そうなんですか?」
>

[Inoue]
「はい、申し訳ありません」
>

[Mana]
「や、そんな事無いですけど」
>

[Inoue]
「では、こちらへ」
>

食堂じゃなくて鏡香の部屋?
>

今夜は一体なんなのかしら?
>

……もしかして、鏡香が
>

『食堂に行くのが面倒』
>

とか言って自分の部屋に
>

持ってこさせたとか?
>

……ありうる。
>

あのワガママぶりを発揮したとしたら
>

それもありうる話です。
>

……鏡香らしいといえばらしいけど。
>

ため息。
>

[Mana]
「あ、そういえば」
>

空腹につられて何の気なしに
>

ここまで来ましたが――、
>

[Mana]
「胡桃は?」
>

[Inoue]
「――胡桃様は」
>

そう言う井上さんの声が、
>

どこか上ずったような気がしました。
>

[Inoue]
「おそらく、
>

先に部屋に行っていらっしゃると、
>

思います」
>

なんだか口調もどこかおかしいです
>

[Mana]
「え、ひとりでですか?」
>

[Inoue]
「田中に……が、迎えに行ったかと」
>

[Mana]
「あ、なるほど」
>

[Inoue]
「さ、さあさあ、まな様、
>

お嬢様がお待ちですから」
>

やっぱりどこかヘンです。
>

[Kyouka]
「遅かったじゃない、まな?」
>

私が部屋に入るなり、
>

でん!と椅子に構えた鏡香がお出迎え。
>

[Mana]
「まだ18時ちょっとじゃない」
>

[Kyouka]
「時間の話じゃないわ。
>

胡桃はもうとっくに来てたっていうのに」
>

[Kurumi]
「……お、お姉ちゃん」
>

[Mana]
「胡桃!?」
>

ベッドの脇で、
>

力無く横たわっている胡桃。
>

[Mana]
「どうしたの!?」
>

[Kurumi]
「……ごめん……ね」
>

[Kyouka]
「さて、と」
>

鏡香がおもむろに椅子から立ち上がり、
>

[Kyouka]
「じゃあ、はい。
>

まなにこれを」
>

鏡香が差し出したもの、
>

それは――
>

[Mana]
「これを……
>

どうしろっていうんですか……」
>

[Kyouka]
「もう、鈍いわねまなったら☆
>

これは、こうやって!」
>

[Kurumi]
「ひっ!?」
>

[Mana]
「やめてっ!
>

やめてったら鏡香!!」
>

[Kyouka]
「どう? わかったかしら?」
>

[Mana]
「分かったから!
>

分かったからそれを下ろして!」
>

[Kyouka]
「そう、じゃあこれで。
>

あなたの妹を殺して?」
>

[Mana]
「そんなことできるわけないじゃない!」
>

斧を投げ捨てると、
>

胡桃の手を取って
>

部屋から出ようとしました。
>

でも――、
>

[Mana]
「あ、れ……?
>

ドア、開かない……?」
>

いくらノブを回しても、
>

押しても引いてもドアが開く気配は
>

ありませんでした。
>

[Kyouka]
「――無駄よまな」
>

背後からかかった鏡香の声は、
>

底冷えしそうなほどに冷たい声でした。
>

振り返る私。
>

にっこりと笑顔の鏡香。
>

[Kyouka]
「この部屋は外側からロックしたわ。
>

もうここから出られない。
>

ここから出られないの、ずっと」
>

[Mana]
「なにバカなこと言ってるの?
>

はやくドアを開けてください」
>

[Kyouka]
「まなはここでずっと私と暮らしていくの。ずぅっと。
>

うふふ、もう離さないんだからっ」
>

[Kyouka]
「きゃーん☆」
>

[Mana]
「ここで……ずっと?
>

何言ってるの?」
>

[Kyouka]
「……あら、まなったら
>

昨夜のこと覚えてないの?」
>

[Mana]
「昨夜……?」
>

昨夜は、だから、変な夢をみて、
>

それで、記憶がなくて――、
>

――どきん。
>

イヤな予感が脳裏を掠めた。
>

否、それは予感ではなく――、
>

[Kyouka]
「昨日、お願いしたじゃない?」
>

否、昨日見た悪夢は夢ではなく――、
>

不意に、
>

昨夜の記憶が、
>

オーバーラップする。
>

井上さんに呼ばれて――、
>

[Kyouka]
「――いらっしゃい、まな」
>

[Kyouka]
「ふふ、
>

あなたと少しお話がしたくってね?」
>

[Kyouka]
「あの、ね、まな」
>

[Kyouka]
「お願いが、あるの」
>

[Kyouka]
「おねがい……。
>

まな、私のために……」
>

[Kyouka]
「 クルミヲコロシテ? 」
>

[Kyouka]
「――クルミヲコロシテ ッテ?」
>

――思い出した。
>

そうだ、昨日の夜は、
>

井上さんに呼ばれて、
>

この部屋に来て――
>

ぞくり。
>

冷たい汗が背中を滑り落ちた。
>

悪夢を、昨日の事を、
>

全部思い出しました。
>

あの後、
>

斧を持った鏡香に追いかけられて、
>

自分の部屋に逃げ込んで、
>

それで、そこで気を失った。
>

[Mana]
「でも、朝起きたとき、部屋は――!」
>

[Kyouka]
「部屋?」
>

[Kyouka]
「ああ、気がつかなかったかしら?
>

今朝まなが起きた部屋は、
>

昨日まで胡桃が寝てた部屋よ」
>

[Kyouka]
「私が壊したから、
>

寝てる間に隣の部屋に移したのよ」
>

[Mana]
「あ……、
>

それで起きた時に変だって……」
>

[Kyouka]
「大切なまなを
>

あんなボロボロの部屋に
>

寝かせておくなんて出来ないもの」
>

ものすごく初歩的な……。
>

……じゃあ、やっぱり
>

鏡香は……!?
>

[Kyouka]
「さあ、そんなことよりも、よ」
>

鏡香は胡桃の腕を掴むと、
>

そのまま床へと放り投げた!
>

[Kurumi]
「きゃんっ!!」
>

[Mana]
「胡桃!!」
>

[Kyouka]
「この邪魔虫が」
>

胡桃の事を踏みつける鏡香。
>

[Kurumi]
「がふっ!!」
>

[Kyouka]
「まなもまなよ?
>

ほんと、贅沢ね、
>

自分で殺すのが
>

イヤだって言うなら……」
>

まるで好き嫌いを言う子供を
>

あやすような口ぶり。
>

[Kyouka]
「私に妹が殺されるところを
>

見たいのかしら?」
>

[Kurumi]
「――ひぃっ?」
>

[Kyouka]
「はい、まな♪
>

今度こそ、
>

この邪魔虫を殺しちゃってちょうだい?」
>

[Kyouka]
「昨日の約束どおり、ね?」
>

[Mana]
「え? え??
>

そんな、私……」
>

斧が足元の床に突き立った。
>

[Kyouka]
「……ふふ、
>

うふふふふふ、
>

あはははははは、
>

あーっはっはっはっは!!」
>

[Kyouka]
「愛してるわ、まな!
>

私はまなをこんなにも愛してるの!
>

だってまなも私のことを
>

愛してくれるんですもの!」
>

[Kyouka]
「私嬉しいの。ずっと一人ぼっちだった私を救ってくれた!
>

私を愛してくれた! だから!
>

ここでずっと一緒に暮らすの!」
>

[Kyouka]
「そのためには、ねえ?
>

邪魔な虫は潰さないと」
>

[Kyouka]
「すり潰されて……ふふ、ふふふふ。
>

惨めに死ね!
>

あーっはっはっはっは!」
>

[Kyouka]
「だ・か・ら
>

まぁなぁ☆
>

早くしてほしいなぁん☆」
>

私の首元に抱きついてくる鏡香。
>

ほお擦りをして、
>

ノドもとをついばんでくる。
>

[Mana]
「そんなの……おかしいよ……」
>

[Kyouka]
「えー?
>

もう、本当にまなったら贅沢なんだから……っと!」
>

[Mana]
「きゃっ!?」
>

首に抱きつかれた体勢のまま、
>

天地が不意に逆転する!
>

ぼむっ! と予想外にフカフカな感触。
>

気がつけば、
>

ベッドの上へとうまい具合に
>

投げ飛ばされてました。
>

[Kyouka]
「きゃーん☆」
>

ぴょーんと飛び跳ねて
>

抱きついてくる鏡香。
>

そのままごそごそと私のふとももに
>

ほお擦りをする。
>

[Kyouka]
「えへへー膝枕ー♪」
>

[Mana]
「な、なんなの?」
>

[Kyouka]
「――井上」
>

[Inoue]
「はい、お嬢様」
>

[Kyouka]
「その邪魔な虫を潰しなさい」
>

まるで日常の雑務を頼むかのような
>

口調で、恐ろしい事を命令する鏡香。
>

さすがの井上さんも、
>

[Inoue]
「お嬢様、それは――」
>

と、言いかけたところで、
>

[Kyouka]
「――わたしのいうことが、
>

きけないのかしら?」
>

[Inoue]
「――っ!?」
>

言葉に詰まる。
>

見れば――、
>

[Mana]
「ちょ、ちょっと鏡香!?」
>

自分の喉にナイフを突きつけて!?
>

[Inoue]
「お嬢、様、それは……」
>

見る見るうちに井上さんの顔が
>

青ざめていく。
>

[Kyouka]
「私の言うことがきけないの?」
>

つぅっ、と鏡香の白い首筋を伝う、
>

赤い血。
>

[Inoue]
「……はい、わかりました」
>

しぶしぶ頷くと、
>

井上さんは胡桃に歩み寄る。
>

[Inoue]
「胡桃様、お立ち下さい」
>

[Kurumi]
「……ハッ。
>

この悪魔の犬が……」
>

[Inoue]
「――申し訳ありません」
>

井上さんの膝蹴りをまともにくらい、
>

仰向けに倒れる胡桃。
>

[Mana]
「胡桃っ!!」
>

[Kyouka]
「まな?
>

どこを見てるの?
>

まなは私だけ見てて頂戴?」
>

ひゅっ、
>

と鼻先に突きつけられたナイフ。
>

膝枕の体勢のまま、
>

鏡香は相変わらず張り付いた笑顔で
>

私を見上げている。
>

昨日の、
>

斧を持って追いかけてきた時と、
>

同じ笑顔で。
>

[Kyouka]
「そう。
>

まなは私のもの。私もまなのもの。
>

二人はずっとこうして暮らしていくの」
>

[Mana]
「鏡香……あなた……」
>

[Kyouka]
「キスして、まな。
>

誓いのくちづけよ。
>

二人の愛を永遠に誓うの」
>

[Mana]
「……それじゃあお願いがあるの」
>

[Kyouka]
「ふぅん? なにかしら?
>

いいわ、誰でもない、
>

まなのお願いだもの。
>

聞いてあげる♪」
>

[Mana]
「鏡香の言うとおりにするから……
>

胡桃は……助けてあげて」
>

[Kurumi]
「お姉ちゃんっ!?」
>

[Kurumi]
「――がっはっ!?」
>

[Kyouka]
「じゃあキスして」
>

起き上がり、
>

私の顔を見つめてくる鏡香。
>

[Mana]
「鏡香!」
>

[Kyouka]
「なぁに?
>

まなも私の言うことがきけないの?」
>

再びナイフを取り出し、
>

自らの命を賭した脅迫に出る。
>

[Inoue]
「お嬢様!? まな様!?」
>

悲鳴のような井上さんの声。
>

…………。
>

……。
>

[Mana]
「わかったわ」
>

[Kyouka]
「うふふ、だから好きよ、まな」
>

[Mana]
「………鏡香」
>

[Kyouka]
「白宮鏡香は二ノ瀬まなを一生愛します」
>

[Mana]
「……っ」
>

[Kyouka]
「まなは?
>

誓ってくれないの?」
>

胡桃を救うため、だもの。
>

私はここでどうなっても……。
>

[Mana]
「二ノ瀬まなは……白宮鏡香を……。
>

一生……愛します」
>

[Kyouka]
「きゃーん☆
>

――ちゅむっ☆」
>

[Mana]
「――んむっ!?」
>

鏡香と唇をどれくらいの時間
>

重ねていたでしょうか。
>

どちらからともなく、離れる唇。
>

[Mana]
「――ぷはっ」
>

[Kyouka]
「――んふぅっ☆」
>

ふたりの間を、
>

唾液がつぅっ、と糸を引き――切れた。
>

[Kyouka]
「うふふ、これで誓約完了、ね♪」
>

[Mana]
「これで……胡桃を……」
>

……胡桃だけでも、
>

逃がしてあげられれば……!
>

ごめんね、お姉ちゃん、
>

一緒に帰れなくて……。
>

[Kyouka]
「井上」
>

[Inoue]
「はい、お嬢様」
>

[Kyouka]
「――その虫を処理なさい」
>

[Mana]
「っ!? 鏡香!?」
>

[Inoue]
「かしこまりました」
>

[Mana]
「ちょっと待って!
>

約束がちが――っ」
>

その扉が閉ざされたとき、
>

私の中で何かが終わった、
>

と分かりました。
>

部屋に残された、
>

私と鏡香。
>

[Kyouka]
「これでようやく二人きりになれたわね」
>

私の頬をやさしく撫でる鏡香。
>

その手は頬から首筋へと降り、
>

[Kyouka]
「もう、離さないんだから」
>

首に絡みついてきました。
>

緩やかに、
>

その手に力が加わり――。
>

[Mana]
「――うぐっ!?」
>

じわじわと首を絞められて、
>

息が詰まったところへ、
>

[Kyouka]
「愛してる――ちゅむ☆」
>

[Mana]
「んむぐっ」
>

さらに唇を塞がれる。
>

深く深く絡み合う舌。
>

意識もまた、
>

甘く、とろけるように、
>

深い深い闇に落ちて行きました――。
>

到底、戻ることの出来ない。
>

闇の底へ――。
>
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