User Tools

Site Tools


limit_panic:kurumiend1
ending/胡桃END1.ks
Lines: 497
Place translations on the >s


[Kyouka]
「――それでね、まな。
>

その香水が海外でとっても人気で、
>

無理を言って取り寄せさせたのよ」
>

[Mana]
「へ、へー、さすが鏡香だね。
>

私も海外のコスメとか使ってみたいな」
>

[Kurumi]
「…………」
>

[Kyouka]
「今度サンプルを用意させておくから、その中から好きな物を選んでくださいな」
>

[Mana]
「う、うん……ありがと」
>

[Kurumi]
「…………」
>

[Kyouka]
「まなが更に美しくなるためなら、
>

私はこの身をすり減らせてでも
>

尽力いたしますわ」
>

[Mana]
「あはは……ありがと」
>

[Kurumi]
「……ごちそうさま」
>

[Mana]
「あ、く、胡桃?」
>

[Kurumi]
「…………」
>

[Mana]
「あ……」
>

[Kyouka]
「…………ウフ」
>

[Mana]
「ふぅ……」
>

昼食も終え、優雅にも中庭で、
>

井上さんにいれてもらった紅茶を頂く。
>

[Mana]
「……はぁ」
>

きっとおいしい紅茶なんでしょうけれど、味なんて分かるはずもありませんし、
>

気分なんて全く落ち着きません。
>

[Mana]
「胡桃、
>

お昼も口きいてくれなかったな……」
>

昨夜の件、
>

に決まっているでしょうけれど。
>

そっと自分の首すじに触れてみれば、
>

まだ昨日の感覚が――胡桃の両腕につかまれている感じがある。
>

[Mana]
「気にしてない……ううん。
>

それはウソです。
>

気にしてないわけないけど、
>

でも……」
>

このままじゃ、イヤです。
>

胡桃とずっと話できないままなんて、
>

仲直りしないといけないです。
>

だって、私達姉妹なんだから。
>

[Mana]
「そうですよね。
>

私達、姉妹なんだもの!
>

姉妹の愛はきっと無限です!
>

インフィニティラブです!」
>

[Inoue]
「先程から何を一人で
>

ブツブツつぶやいておられるのですか?」
>

[Mana]
「ひゃわぁっ!?
>

い、いい井上さんいたんですかっ!」
>

[Inoue]
「……二ノ瀬様にお茶を用意させて
>

頂いた時から、終始ここにおりましたが」
>

のおおおお!
>

なんてことですかぁ!
>

私のこっ恥ずかしい姉妹愛宣言が
>

つつぬけにぃ!!
>

[Inoue]
「いんふぃにてぃらぶ(笑)」
>

[Mana]
「ひいいいいい!?
>

しっかり聞いちゃっておられましたか!」
>

しかも(笑)って、井上さん、
>

さり気なく人を傷つけるの得意ですね。
>

[Mana]
「と、とにかく!
>

今の独り言は、
>

鏡香には内緒でお願いしま――」
>

[Inoue]
「それは、無理でしょう」
>

[Mana]
「ど、どうしてですかっ!」
>

確かに、昨夜の一件は、
>

鏡香にバレているのですけど……。
>

[Inoue]
「二ノ瀬様、
>

お嬢様はもうご決断されたのです」
>

[Mana]
「決断、って。
>

一体なんの、ですか」
>

[Inoue]
「二ノ瀬様が、
>

一体どちらの所有物であるのか、
>

はっきりさせるご決断ですよ」
>

所有物……?
>

なんですかそれ。
>

その自分勝手な考え方なんなのよ!
>

[Mana]
「人を物みたく言わないでくださいよ!
>

私はどちらの物でもないです!」
>

あぁもう腹が立つ!
>

どうしてこの人達はこうも理解不能な
>

とんでも発言をしれっと言えるんですか!
>

[Inoue]
「お忘れですか、二ノ瀬様。
>

この屋敷において、一般的な常識など意味をなさないことを」
>

[Inoue]
「ルールをはき違えられては困ります。鏡香お嬢様こそが、今ここにおいての絶対なのですよ」
>

[Mana]
「そんなの――!」
>

[Inoue]
「一つもおかしくはありません。
>

法という名の絶対君主が鏡香お嬢様になっただけの話です」
>

[Mana]
「だったらこんなところ、
>

とっとと出て行きます!」
>

[Inoue]
「それが不可能だということは、
>

誰より二ノ瀬様が一番よくご存じだと、思われますが?」
>

[Mana]
「う……」
>

[Inoue]
「少ない出入り口。
>

ハメ殺しの窓。使用人の少なさ」
>

全て私が初日に確認した事柄。
>

この屋敷の異様な側面。
>

けれど、なによりも、
>

『異常』なのは――
>

[Inoue]
「二ノ瀬様、この別荘に来て、
>

一度でも屋敷の外に出られましたか?」
>

[Mana]
「……いいえ」
>

そう。
>

一度として別荘の外に出ていないこと。
>

いや、正確には、
>

「外に出してもらえなかった」
>

中庭から見える空がとても遠く感じる。
>

別荘に囲まれた、仮初めの外の景色。
>

[Inoue]
「かごの中の鳥はいつ外に出られるのでしょうね?」
>

[Mana]
「なっ!」
>

[Kyouka]
「最も、外に出る前に、
>

後ろの正面に命を取られないよう、
>

ご注意くださいませ、まな?」
>

[Mana]
「っ!?
>

鏡香!」
>

[Kyouka]
「まな、アナタがどう思っているのかは知らないけれど、
>

私とあの小娘は、
>

決着をつけるつもり満々なのよ」
>

[Kyouka]
「その賞品であるまながいなくなって
>

しまったら、本末転倒でしょう?」
>

[Mana]
「しょう、ひん……って……」
>

[Kyouka]
「今夜全て終わらせるわ。
>

だからそれまでの辛抱よ。まな。
>

あなたはこの私の所有物になるの。
>

ッフフ、嬉しいでしょ」
>

[Mana]
「今夜終わらせる、って……。
>

一体なにするつもりなのよ!」
>

[Kyouka]
「あら、決まってるじゃない。
>

目ざわりな脇役にはご退場頂くのよ。
>

早い話が、殺しちゃうってこーと」
>

[Mana]
「っ!?」
>

知らせなきゃ!
>

胡桃にこのことを知らせなきゃ!
>

それから、それから、
>

逃げなきゃ!
>

今すぐ二人でこの別荘から――。
>

[Kyouka]
「井上。
>

私のまなは自室に帰りたいそうです。
>

お送りして差し上げなさい。
>

くれぐれも、丁重にね」
>

[Inoue]
「かしこまりました」
>

背後でそのやり取りが聞こえたと思うと、
>

[Mana]
「ちょっと! はなしてください!」
>

[Inoue]
「申し訳ありませんが、
>

お嬢様の命令ですので。
>

お部屋まで同行させて頂きます」
>

[Mana]
「はなして! はなしてってば!」
>

暴れてみても、
>

まるで逃げ出せる気がしない。
>

[Inoue]
「大人しくして頂ければ、
>

こちらも乱暴な手段はとりません」
>

[Mana]
「……っ!」
>

[Inoue]
「ご理解が早くて助かります。
>

ではお部屋へ参りましょう」
>

[Mana]
「……まだ、いらっしゃいますか?」
>

ベッドの中からそっと顔を出して
>

覗いてみると……。
>

[Inoue]
「なにかご用でしょうか?」
>

あう。やっぱりいるんですか……。
>

[Mana]
「はぁ……」
>

ドアの前には私の監視を仰せつかった井上さんが。
>

もうかれこれ半日は
>

部屋に閉じ込められています。
>

鏡香が行動を起こすのは、
>

恐らくなにもかもが黙認される、
>

20時以降。
>

[Mana]
「もうあと5分しか……」
>

胡桃は、鏡香が決着をつける気だって、
>

知っているのかな?
>

ううん、あるいは胡桃自身も鏡香と
>

決着をつける気かもしれない……。
>

[Mana]
「私……また何も出来ないで、
>

見てるだけだよ……。
>

ヤだよ、そんなの……」
>

[Inoue]
「二ノ瀬様?
>

泣いておられますか?」
>

[Mana]
「っく……ないてなんか、
>

……ません!」
>

[Inoue]
「さようですか。
>

ですが、今からどんな事態を目の前にすることになるか、二ノ瀬様は少し
>

自覚なされた方がよろしいかと」
>

[Mana]
「――っ!?」
>

[Inoue]
「さぁそろそろ開幕です」
>

[Mana]
「あ……」
>

胡桃……鏡香……。
>

[Inoue]
「それでは、
>

私がこれ以上ここにいる意味は
>

ありませんので。
>

失礼いたします」
>

[Mana]
「……わ、私……」
>

どうすれば、いいんですか……。
>

[Mana]
「なに!?」
>

部屋の外から激しい音。
>

さらに何かが割れるような音。
>

もうきっと、二人は……。
>

[Mana]
「私……行かなきゃ」
>

二人を止めなきゃ。
>

きっと私にしかできない。
>

[Mana]
「私が……やらなきゃ!」
>

[Mana]
「きゃあぁっ!」
>

ドアを開けた途端、
>

目の前に砕けた調度品の破片。
>

そしてゆらりと現れたのは――
>

[Mana]
「鏡香!?」
>

[Kyouka]
「あぁらまな。
>

部屋にいないとダメじゃなぁい。
>

こんなところに出てきて、
>

ケガでもしたらどうするつもりかしら?」
>

[Kyouka]
「ほぉら。
>

そこの虫ケラみたくなっちゃうわよ?」
>

[Kurumi]
「っく……!」
>

砕け散った調度品の残骸から
>

はい出てきたのは、案の定胡桃だった。
>

[Mana]
「胡桃っ!
>

大丈夫!?」
>

[Kurumi]
「来るなッ!」
>

[Mana]
「ど、どうして!?」
>

[Kyouka]
「その忠告は……。
>

正解ね」
>

[Mana]
「え――」
>

[Kurumi]
「ぐっ!
>

きゃあぁぁっ!」
>

[Mana]
「胡桃ぃぃ!!」
>

[Kyouka]
「もし近寄っていたら、
>

まなまで巻き添えになっていたかもしれないわね。もっとも、私がまなを傷つけるなんてあり得ないけれど」
>

[Mana]
「き……鏡香……」
>

鏡香はこちらの声などまるで
>

聞こえていないふうで、
>

胡桃の飛ばされた方へと歩き出す。
>

[Kyouka]
「フフッ、ホホホホホ!
>

逃げられるものですか。
>

この別荘に出口などなくってよ!」
>

[Kyouka]
「アナタに与えられた選択肢は
>

たったの二つ!
>

永遠に私に可愛がられるか、
>

永遠の眠りにつくか!」
>

[Kyouka]
「どちらにせよ、この屋敷から外に出ることは叶わないけれど。井上。
>

どこかにあの害虫が潜んでいるわ。
>

見つけ出して駆除なさい」
>

[Kyouka]
「別荘とはいえ、
>

我が家に不浄な虫ふぜいが
>

存在することなど
>

許されませんからね」
>

[Inoue]
「……かしこまりました」
>

[Mana]
「くじょ……って、鏡香!?
>

ウソ……ウソだよね!?」
>

[Kyouka]
「フフフ……、
>

まなの前でつまらないショーをこれ以上長引かせたくないの」
>

[Kyouka]
「そろそろ殺してあげるから
>

とっとと出て来なさいな?」
>

[Mana]
「――っ!?
>

胡桃っ! 逃げてぇっ!!」
>

[Kyouka]
「ほぉら、暴れないの。
>

まなは、私と愛しあっていればいいの」
>

[Mana]
「離してっ!
>

いやだ! 離してよぉ!!」
>

[Kyouka]
「あんなモノのこと、すぐに忘れるわ。
>

ううん。私が忘れさせてあげる……」
>

[Mana]
「やっ! いやぁ!
>

いや――んむぅっ!?」
>

ものすごい力で腕を引っ張られ、
>

気付いた時には、私の唇は鏡香の唇に封じられていて……。
>

[Kyouka]
「はふぅ……ウフ、
>

まなの舌、おいしかった」
>

[Mana]
「や……あぁ……。
>

やめて……離して、離してよぉ……」
>

[Kyouka]
「あらぁ?
>

さっきまでの抵抗はどうしたのかしら?
>

そんなに舌を吸われるのが
>

気持ち良かった?」
>

[Mana]
「胡桃ぃっ!?」
>

[Kyouka]
「あら……案外早かったわね。
>

害虫駆除は済んだのかしら?」
>

[Inoue]
「……お言葉のままに」
>

普段通り、
>

まったくもって普段通りの態度で、
>

井上さんはそう告げた。
>

[Kyouka]
「そう、御苦労だったわね。
>

もう下がっていいわよ」
>

[Kyouka]
「これでようやく、私とまなの時間を
>

邪魔する者がいなくなりましたわ。
>

フフッ、アハハハハハハハ!」
>

[Mana]
「うぅ……」
>

連れてこられたのは、
>

今までみたこともない部屋。
>

なんなの、この部屋……。
>

[Kyouka]
「素敵な部屋でしょう?
>

まなのために用意した、
>

VIPルームなんだから。
>

気に入ってもらえたようで安心したわ」
>

一見しただけで怖気が走るような
>

道具が並んでいる。
>

まさか、今から私、アレで……。
>

[Mana]
「あぅぅ……」
>

[Kyouka]
「心配しなくても、
>

痛い思いはさせないから。
>

私がまなを傷つけると思って?」
>

[Mana]
「や……いやぁ」
>

[Kyouka]
「フフフ、さっきから子供みたいよ、まな?
>

可愛いから、
>

私はかまわないのだけれど」
>

やだ、やだよぉ……。
>

怖いよぉ。逃げたいよぉ。
>

鏡香の手には鈍色の鎖。
>

その先に結ばれた首輪。
>

[Kyouka]
「フフッ。あぁ今からまなを好き放題に
>

できると思うと、
>

想像するだけでゾクゾクしちゃう!」
>

[Mana]
「あぁ……ぁ……」
>

もう、ダメだ。
>

助からない。
>

私は……もう、助からない。
>

ずっと鏡香の人形になって過ごすんだ。
>

もう、どうにもならない。
>

全部終わり。
>

そう理解できてしまったとたん、
>

足の力が抜けてへたり込んでしまう。
>

[Kyouka]
「あぁん、まなは可愛いわねぇ。
>

大丈夫。まなだけは私の特別だもの。
>

どんなわがままでも聞いてあげる」
>

[Kyouka]
「私に永遠の愛と忠誠を誓ってくれれば、外にだって、
>

国外にだって連れていってあげる」
>

せめて胡桃だけでも
>

逃がしてあげたかったのに。
>

ごめんね……お姉ちゃん、
>

胡桃を助けられなくって、
>

いくじ無しで、ごめんね……。
>

[Kyouka]
「さ、まずはお洋服を
>

脱ぎ脱ぎしましょうね。
>

まなの美しさを隠しているなんて、
>

罪以外の何物でもないわ」
>

[Kyouka]
「産まれたままの姿で、
>

ありのままのアナタの姿で、
>

ずっとこの部屋に、
>

繋いでおいてあ・げ・る」
>

部屋の外から聞こえたものすごい音で、
>

鏡香の手が私にかかる寸前で止まる。
>

[Kyouka]
「………………井上ぇッ!」
>

[Mana]
「あ……」
>

部屋のドアを押し破って現れたのは、
>

想像だにしていなかった人物でした。
>

[Inoue]
「……申し訳ありません、お嬢様」
>

[Mana]
「あ……あ……」
>

[Kurumi]
「フン。このメイドがどういうつもりかは知らないが、
>

見逃してもらえるなら好都合。
>

利用させてもらったよ」
>

胡桃が、生きてた……。
>

[Kurumi]
「もう少し待っててねお姉ちゃん。
>

今からコイツ、黙らせるから」
>

[Mana]
「よかっ……よかったよぉ。
>

胡桃が、生きてて、よかったよぉ」
>

[Kurumi]
「もう、おおげさだなぁお姉ちゃんは。
>

胡桃がお姉ちゃんを
>

置いていくわけないじゃん」
>

[Mana]
「うん……うんっ!」
>

[Kyouka]
「……それで?」
>

[Inoue]
「…………」
>

[Kyouka]
「なにか言い分があるのなら、
>

『今まで』遣えてきたことをかんがみて、聞いてあげないでもないけれど?」
>

[Inoue]
「私は……私はただお嬢様の心を
>

閉ざしてしまいたくなかった
>

だけなのです」
>

[Kyouka]
「私の……心が?」
>

[Inoue]
「二ノ瀬に出会われて
>

変わられたお嬢様が、
>

再び心を閉ざしてしまわれるのが、
>

私には耐えられませんでした」
>

[Inoue]
「お嬢様のためになるのなら、
>

例え使用人としての忠義をはき違えることになろうとも……」
>

[Kyouka]
「そう……そこまで私のことを……」
>

[Inoue]
「お嬢様!
>

どうかもうこれ以上は――!」
>

[Kyouka]
「なぁんて、
>

言うとでも思ったのかしらぁ?」
>

[Inoue]
「――ッ!?
>

お嬢様っ!?」
>

[Kyouka]
「お黙りなさい家畜ふぜいが。
>

一度飼い主に牙をむいた飼い犬の末路はどういうものか、その身をもって
>

思い知らせてあげるわ!」
>

[Inoue]
「ぐっ!」
>

[Mana]
「井上さんっ!」
>

[Kyouka]
「反撃も回避もなしなんて、
>

元主人への義理とでも言うのかしら?
>

笑わせるわね」
>

[Inoue]
「……くっ!」
>

[Kurumi]
「見上げた精神だ。
>

だがあそこの女にそんなものは
>

通じやしない。
>

わかってるんだろ? アンタだって」
>

[Inoue]
「なんと……言われようと、
>

不忠を働くくらいなら、私は、
>

死を選びます」
>

[Kyouka]
「そう。なら望みどおりに、
>

――死になさいな」
>

[Inoue]
「――っ!?」
>

鏡香が飛びかかったあと、
>

井上さんが立っていた場所は
>

ガレキに埋もれ、
>

そこに井上さんの姿はなかった。
>

[Kyouka]
「さて、あとは死にぞこないだけかしら?」
>

[Kurumi]
「オマエは今からその死にぞこないに殺されるんだ」
>

[Kyouka]
「フフッ、それが辞世の句になるかも
>

しれなくてよ?」
>

[Mana]
「もうやめてよ!
>

鏡香も! 胡桃も!」
>

[Kyouka]
「ごめんなさいね、まな。
>

私達はもう引き返せないところまで
>

来てしまっているの」
>

[Kurumi]
「そう、胡桃達はお姉ちゃんを
>

愛し過ぎてしまった……だから、
>

今更止められないんだよォッ!!」
>

胡桃の叫び声を封切りに、
>

二人がせめぎ合う。
>

[Kurumi]
「お姉ちゃんを
>

オマエなんかに渡してたまるかぁぁぁ!」
>

[Kyouka]
「黙りなさい虫ケラがぁ!」
>

部屋の中のありとあらゆる物を武器に殺し合う二人。
>

もう二人には私なんて映っていない。
>

あるのは目の前の相手を消すことだけ。
>

だが、
>

勝負はいともあっさりと決まってしまう。
>

[Kurumi]
「あぐぅっ!?」
>

[Mana]
「胡桃ぃっ!?」
>

[Kyouka]
「あっけない。
>

これでチェックかしら?」
>

[Kurumi]
「くっ!」
>

[Kyouka]
「今度こそサヨウナラ。
>

生まれ変わっても
>

二度と出会いませんように」
>

[Mana]
「やめてええぇぇぇぇ!!」
>

[Kyouka]
「――ッ!!?」
>

鏡香の動きが止ま……った?
>

私の叫び声を聞いて?
>

違う。
>

鏡香の視線は私じゃなくて、
>

自分の足元に――。
>

[Inoue]
「……おやめ……くださ……い」
>

鏡香の足首をガレキからはい出てきた井上さんの手が掴んでいた。
>

[Kyouka]
「いの……うえ……」
>

[Kurumi]
「はああぁぁぁぁぁ!!」
>

 
>

その隙を
>

その一瞬の隙を
>

……胡桃は見逃さなかった。
>

[Mana]
「くる……み?」
>

ほこりが晴れ、そこに立っていた、
>

たった一人の人物。
>

[Kurumi]
「……お姉ちゃん」
>

あぁ、まぎれもない。
>

私の最愛の妹。
>

[Mana]
「くるみ……胡桃っ!」
>

生きてる!
>

胡桃が生きてる!
>

[Mana]
「バカッ!
>

胡桃のバカッ!」
>

[Kurumi]
「いたたっ。
>

そんなに強く抱きついたら痛いよ、
>

お姉ちゃん」
>

[Mana]
「よかったよぉ……。
>

また胡桃がいなくなっちゃうと思った」
>

そうだ。
>

鏡香と井上さんは!?
>

[Kurumi]
「あの二人ならしぶとくまだ生きてるよ。あの女はともかく、
>

メイドには、
>

見逃してもらった義理もあるしね」
>

[Mana]
「あ……よかった。
>

ありがとう、胡桃ぃ……!」
>

[Kurumi]
「ったた! 痛いってお姉ちゃん。
>

まぁそんなことはどうでもいいんだけど」
>

[Kurumi]
「でさぁ――お姉ちゃん」
>

[Mana]
「ん?」
>

[Kurumi]
「胡桃がこぉんな痛い思いして、
>

必死にはいずりまわってた間……、
>

オマエ、あの女と何してたんだ?」
>

[Mana]
「――――え?」
>

生温い――感覚。
>

[Mana]
「なに……って……」
>

背中に――熱い――
>

生温い――熱い――
>

しびれるような――熱い――
>

[Mana]
「あ……れ……」
>

目まい……吐き気……。
>

口から赤いの垂れて……なにこれ?
>

[Kurumi]
「お姉ちゃん、胡桃を見捨てたでしょ?
>

アハッ。
>

自分を守るために、
>

胡桃を見殺しにしたでしょ? アハハッ」
>

そんな、こと――。
>

[Kurumi]
「あんな女もメイドもどうでもいい。
>

お姉ちゃんさえ胡桃のモノになれば!」
>

ウソ……だよね?
>

ウソだって言ってよ、胡桃……。
>

[Kurumi]
「ようやくだ……。
>

ようやくお姉ちゃんをコロセタ。
>

もう胡桃だけのモノ。
>

離さないからね……まな」
>

[Kurumi]
「ごふっ!
>

二人……だけで、過ごしましょう。
>

時の進むことのない……世界で。
>

ずぅっと……二人で……」
>
limit_panic/kurumiend1.txt · Last modified: 2014/05/25 12:55 (external edit)