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limit_panic:koroshiai3a
3day/殺し合い3A.ks
Lines: 366
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[Mana]
「どうしてこんなことに
>

なったのかな……」
>

ポツリ、呟く。
>

部屋には私ひとり。
>

日も沈み、いつどこで胡桃と鏡香が
>

衝突してもおかしくない時間帯。
>

シンデレラリミット……。
>

どうしてそんなことをしてまで、
>

どちらかを認めたくないんだろう。
>

結局、今日は胡桃も鏡香も
>

食事時間以外は姿を見せることなく、
>

一日をひとりで過ごす事になりました。
>

鏡香の部屋へ行ってもドアの前で
>

井上さんに通せんぼをされ、
>

胡桃にメールを送っても返信無し。
>

どうにかケンカをやめさせようにも、
>

会えないことには……何も出来ません。
>

ふたりとも私のことを好き、
>

と言ってくれるのは嬉しいけど、
>

でも……。
>

それは同性としての好きなの?
>

私もふたりのことは……
>

もちろん嫌いじゃないけど、
>

それは友達とか姉妹とか、
>

もっとずっと違ったかたちで……。
>

そう、
>

ちゃんと話し合えば、
>

きっと解ってもらえるはずです。
>

胡桃もいい子なんだし、
>

鏡香だって長い付き合いなんだし。
>

[Mana]
「よし、それなら……」
>

[Mana]
「胡桃とちゃんと話をしよう!」
>

[Mana]
「……私の妹なんだし、
>

もっとしっかり話し合えば……
>

わかってくれる……はずよ」
>

ケータイを取り出すと
>

早速胡桃にメールを送る。
>

『今からそっち行くね』
>

…………。
>

送信してしばらく待ったけど、
>

返信は無し。
>

でも――、
>

行かなきゃ。
>

[Mana]
「胡桃? 胡桃? いるでしょ?」
>

……返事は無し。
>

[Mana]
「お姉ちゃんだよ、ねえ、胡桃?」
>

ドアのノブに手をかけると――
>

鍵はかかってなくて、
>

あっさりとノブは回りました。
>

少しの逡巡の後、
>

[Mana]
「――よし」
>

ドアを開けて中に入ると、
>

部屋の中は真っ暗でした。
>

[Mana]
「胡桃?」
>

手探りで電気のスイッチをつける。
>

明るくなった部屋のベッドの上で、
>

体育座りをしている胡桃がいた。
>

その姿を確認して、少し安心しました。
>

[Mana]
「よかった、まだ部屋にいた……」
>

胡桃はすでに鏡香のところに――、
>

逆に鏡香が乗り込んできて――、
>

そんな可能性も考えていましたが
>

杞憂だったようです。
>

手遅れになってなくてよかったです。
>

[Mana]
「どうしたの?
>

部屋、真っ暗だったじゃない?」
>

つとめて明るく、私は普段と変わらない感じで部屋の中に入った。
>

[Kurumi]
「――だれ?」
>

そこでようやく
>

胡桃がこちらを向きました。
>

その顔はちょっと疲れたような、
>

感情の読めない表情。
>

[Mana]
「お姉ちゃんよ」
>

[Kurumi]
「おねえ、ちゃん?」
>

オウム返しに首を傾げる胡桃。
>

[Kurumi]
「……ああ、なんだ、お姉ちゃんか」
>

ハッと我に返ったように、
>

胡桃はいつものように
>

明るい笑顔に戻る。
>

[Kurumi]
「どうしたの? こんな時間に」
>

[Mana]
「あれ? メールとか見てない?」
>

[Kurumi]
「え? メール?
>

……あ、ゴメン~、
>

ぜんぜん気づいてなかったよ」
>

[Mana]
「んん、
>

これから行くよ~って内容だから」
>

[Kurumi]
「ううん!お姉ちゃんからのメールに
>

気づかなかったなんて。
>

本当、妹失格だよ……」
>

[Mana]
「そんな大げさな」
>

[Kurumi]
「本当……駄目だよね……
>

こんなんじゃ……
>

ダメ、ダメ……ダメッ」
>

[Kurumi]
「このままじゃ……」
>

[Mana]
「あ、あのね、胡桃、
>

お姉ちゃんちょっと
>

話があって来たんだけど……」
>

[Kurumi]
「どうしたらいい……?
>

どうすればいい……?」
>

[Mana]
「ねえ、胡桃?」
>

[Kurumi]
「考えろ、そして行動しろ。
>

ハハハ、やはり、ハハハ。
>

……そうだ、それが最良……最善か」
>

[Mana]
「胡桃……?」
>

[Kurumi]
「アハハハハ、そうだ、
>

やっぱり、そうなんだ」
>

私の言葉なんて聞こえてないみたいで、
>

何やら独り言をぶつぶつと呟いて……。
>

[Mana]
「ちょっと、胡桃!
>

しっかりしてよ?」
>

胡桃の肩を掴んだ、その瞬間――、
>

[Kurumi]
「触るな!」
>

私の手を振りほどく胡桃。
>

[Mana]
「きゃっ!?」
>

あまりの力に、
>

思わずよろけてしまいました。
>

けど、胡桃は全く意にも介して無い
>

素振りで、
>

[Kurumi]
「……ふん」
>

不機嫌そうに鼻を鳴らすと、
>

ベッドから飛び降り、
>

そのまま、私の横を通り過ぎて
>

部屋から早足で歩き去って――
>

[Mana]
「――っ!?
>

ちょ、ちょっと待ってよ、
>

胡桃ってば!?」
>

突然の出来事に、呆気に取られて、
>

しばらくぼんやりしてましたが、
>

このままじゃまた、
>

鏡香とケンカじゃない!?
>

あぁんもぉ私のバカ!
>

そうさせないために説得に来たのに!
>

って、自分を責めてる場合じゃない、
>

早く胡桃の後を追いかけなきゃ!!
>

 
>

胡桃のツインテールが
>

廊下の角に消える。
>

[Mana]
「待ってってば胡桃!!」
>

止まる気配は無い。
>

とにかく今は追うのが先決。
>

私も猛ダッシュで角を曲がり――、
>

その先で胡桃が立ち止まっていた。
>

……良かった、待ってくれた……の?
>

ほっとしたのも束の間。
>

見れば、胡桃の正面に誰かが
>

立っているのが見えました。
>

鏡香――じゃない。
>

[Inoue]
「こんな時間にどこへ行かれるのですか?」
>

立ちはだかったのは、意外な人物。
>

[Mana]
「ちょっと待って――」
>

ようやく追いついた私は、
>

井上さんと胡桃との間に割って入る。
>

[Mana]
「ねえ、落ち着いて。
>

一度部屋に戻ってゆっくり話そう?
>

何か、何かおかしいよ今日の胡桃」
>

けれど、
>

胡桃の目は私を見てはいなくって。
>

[Kurumi]
「どこへ――じゃない。
>

ここへ来れば会えると思ったんだ」
>

私を押しのけ一歩、前に出る胡桃。
>

[Inoue]
「会える?
>

お嬢様に、ですか?」
>

[Kurumi]
「いいや違うね。
>

――アンタにさ」
>

[Inoue]
「私に?」
>

[Mana]
「ちょっと、井上さんも――」
>

もう一度割って入ったけど、
>

またも胡桃に押しのけられる。
>

[Kurumi]
「そう、アンタに」
>

[Inoue]
「はぁ……私に何か御用、
>

でしょうか?
>

呼び鈴でも鳴らしていただければ
>

こちらからお伺いしましたのに」
>

[Kurumi]
「なるほど、その方法があったか」
>

ポリポリと頭を掻く胡桃。
>

[Kurumi]
「でもまあ、
>

ここの方が広くていいし」
>

[Mana]
「広くていい?」
>

[Kurumi]
「そう、アンタと思い切り――」
>

[Kurumi]
「殺り合える、からな」
>

言い放って、
>

胡桃が井上さん目がけて走り出す!
>

何度か井上さんの動きを見たけれど、
>

鏡香や胡桃と同等か、
>

それ以上に井上さんも強い。
>

井上さんも身構えて、
>

胡桃の攻撃を捌いて応戦する――
>

そう思っていました。
>

[Mana]
「きゃっ!?」
>

胡桃の渾身の右ストレートが
>

井上さんを捉える!
>

思わず顔を覆ってしまうほど、
>

激しく生々しい音。
>

[Inoue]
「痛ぅっ……!」
>

倒れこんだ井上さんに胡桃はそのまま馬乗りになる。
>

[Kurumi]
「その程度、か?
>

もう日も暮れた。アンタらの言う、
>

シンデレラリミットって時間だろ?
>

いいのかい、殺しちゃうよ?」
>

[Inoue]
「…………」
>

[Kurumi]
「マウントポジション。
>

ここから抜け出すのは至難の業。
>

それくらいわからないアンタじゃない」
>

[Inoue]
「何とでも言えば良いです」
>

[Kurumi]
「……ふん」
>

[Inoue]
「……っ!」
>

[Inoue]
「……くっ!!」
>

馬乗りになった体勢から容赦なくパンチを振り下ろす胡桃。
>

……って止めないと!
>

[Mana]
「ちょ……やめなって!!」
>

振り上げられた胡桃の右腕を
>

私は両手で抱きかかえた。
>

[Kurumi]
「――離して、お姉ちゃん」
>

[Mana]
「井上さん、無抵抗じゃない!
>

それ以上やることないよ!」
>

[Kurumi]
「――はなして、おねえちゃん」
>

[Mana]
「離さない、離さないからっ」
>

[Kurumi]
「――離せ」
>

[Mana]
「離さない!!」
>

[Kurumi]
「――ふん」
>

今度は空いている左手を振り下ろした。
>

[Inoue]
「くっ!!」
>

[Mana]
「だめーっ!!」
>

胡桃を背後から羽交い絞めにする。
>

なんとしても止めなくちゃ、
>

井上さんが大怪我しちゃう!!
>

[Kurumi]
「はなして」
>

[Mana]
「離さない!」
>

[Kurumi]
「はなせ」
>

[Mana]
「やだ!!
>

胡桃がやめるまで
>

私は離さないんだから!!」
>

[Kurumi]
「――鬱陶しいなぁ」
>

[Mana]
「きゃっ!?」
>

すごい力で振り払われて、
>

しりもちをついてしまう。
>

[Mana]
「いたたたた……」
>

腰を打ったせいか
>

すぐに立ち上がれない。
>

[Kurumi]
「お姉ちゃんはそこで黙って見てて。
>

今、私とお姉ちゃんの障害を
>

排除するから」
>

[Mana]
「……障害?」
>

[Kurumi]
「コイツらは胡桃とお姉ちゃんの
>

邪魔をする。いつだって邪魔をする。
>

だから私はお姉ちゃんのために
>

こうしてるの」
>

[Kurumi]
「本当に邪魔。
>

本当に邪魔。本当に邪魔。
>

本当に――私の前から消えて無くなれ」
>

呟きながら右腕を振り上げ――、
>

[Mana]
「だめ――っ!!」
>

振り下ろす!!
>

[Inoue]
「……その程度、ですか?」
>

[Kurumi]
「なっ!?」
>

胡桃の右こぶしは井上さんの顔の
>

すぐ真横に振り下ろされていた。
>

[Kurumi]
「今、何て言った?」
>

[Inoue]
「その程度ですか、と言ったのです」
>

[Kurumi]
「負け惜しみか」
>

[Inoue]
「どう取ってもらっても構いません。
>

ただ――」
>

[Inoue]
「私はここで
>

あなたに手を出す事は致しません。
>

例え死んだとしても」
>

[Kurumi]
「……」
>

[Inoue]
「ここであなたを打ち倒す事は、
>

そう難しい事ではありません」
>

[Kurumi]
「ハッ。 
>

やっぱり負け惜しみか」
>

[Inoue]
「ですが、そうすることで――
>

まな様がお悲しみなられるのは
>

困るのです」
>

[Inoue]
「まな様が悲しまれると、
>

お嬢様も悲しまれます。
>

だから、ここではあなたに手を
>

上げるわけにはいかないのです」
>

[Kurumi]
「…………で?
>

何がその程度、なの?」
>

[Inoue]
「……あなたがまな様を思う気持ちです」
>

[Kurumi]
「――はン!
>

何を言うかと思えば!!」
>

[Kurumi]
「それなら教えてあげるわ、
>

私がどれだけお姉ちゃんの事を
>

好きかを!!」
>

[Inoue]
「――それは、
>

まな様を傷つけてでも
>

やらなければならないこと、ですか?」
>

[Kurumi]
「え――?」
>

[Inoue]
「私はお嬢様の為であれば、
>

何でも出来ます。
>

それはあなたと変わらないと思います」
>

[Inoue]
「けれども、
>

あなたと決定的に違うのは――」
>

井上さんがすっと私を指差しました。
>

つられた胡桃と、目が合いました。
>

[Kurumi]
「あ――
>

[Inoue]
「私はお嬢様を傷つけたりは致しません」
>

そういえば、
>

さっき胡桃に振りほどかれた時に、
>

ちょっとほっぺたに手が当たって……
>

うう、触ると痛い。
>

赤くなってるかも。
>

[Inoue]
「それがあなたと私の決定的な差」
>

[Kurumi]
「うそ――」
>

[Inoue]
「それがあなたの
>

――愛の程度」
>

[Kurumi]
「違う、私は、私は――」
>

首を振りながら、
>

井上さんから離れる胡桃。
>

井上さんが鋭い視線で胡桃を射抜いた。
>

[Inoue]
「それが本当にまな様の為なのですか?」
>

[Kurumi]
「わたしは――
>

おねえちゃんのために――」
>

[Inoue]
「それは――
>

あなたの単なるエゴですよ」
>

静かに、
>

それでいて力強く。
>

井上さんはきっぱりと言い放った。
>

すると。
>

[Kurumi]
「いやあああああああああっ!!!」
>

[Kurumi]
「そんな、そんなことない、
>

そんなことない!!
>

わたしは、わたしはわたしは!!!
>

おねえちゃんのことがすき――」
>

[Inoue]
「好きだなんて、
>

幼稚園児でも言えますよ。
>

言うだけなら、ね。それで?
>

あなたは何が出来たというのですか?」
>

[Inoue]
「ただただ自分の気持ちを押し付けて、
>

それで勝手に満たされて。
>

相手の事を考えた事がありますか?」
>

[Inoue]
「現にあなたはまな様を傷つけた」
>

[Inoue]
「――だから言ったのですよ」
>

[Inoue]
「その程度ですか? と」
>

[Kurumi]
「――――っ!!!」
>

完全に言葉を失った胡桃。
>

真っ青になった顔を
>

ふるふると振りながら後ずさる。
>

[Mana]
「くるみ――」
>

や、井上さんもちょっと言い過ぎですよっ。
>

私、別にそこまでは――、
>

そう、私が言葉にするよりも早く。
>

胡桃は走り出していた。
>

追いかけようとしたけれど、
>

[Inoue]
「まな様」
>

井上さんに呼び止められて――、
>

追いかけ損ねちゃいました。
>

[Mana]
「井上……さん」
>

[Inoue]
「お見苦しいところをお見せして
>

申し訳ありませんでした」
>

[Mana]
「いや、別に、そんな……。
>

むしろ胡桃が……なんてお詫びすればいいのか……」
>

[Inoue]
「この事はお嬢様にはなるべくご内密に。
>

余計な心配はおかけしたくありません」
>

[Mana]
「え……あ、はい……」
>

[Inoue]
「ありがとうございます。
>

それではまた、のちほどお嬢様が
>

お部屋の方へと
>

行かれると思いますので」
>

[Inoue]
「では、一旦失礼致します」
>

一礼すると、
>

スタスタと歩き去っていく井上さん。
>

[Mana]
「あ、ちょっと!!」
>

呼び止めても振り向くことはありませんでした。
>

[Mana]
「……井上さん」
>
limit_panic/koroshiai3a.txt · Last modified: 2014/05/25 12:55 (external edit)