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limit_panic:koroshiai2a
2day/殺し合い2A.ks
Lines: 371
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[Mana]
「くはー食ったぁ食ったぁ。
>

はっはっはっは!」
>

きっとお腹の張りも気のせいキノセイ。
>

気にしたら負けだと思ってる。
>

お腹に入れば食糧皆兄弟。
>

仲良く胃酸に溶かされているでしょう。
>

アッヒャヒャヒャヒャ。
>

もう細かい数字とかキャラとか、
>

どーでもいいじゃないですカ?
>

[Mana]
「あぁっ、
>

あの牛くんがにくいっ!
>

あの豚さんがねたましいっ!」
>

ヤツらさえ出てこなければっ!
>

私のウエストはこんなには……
>

こんなにわぁっ!
>

[Mana]
「っとと、
>

ちょっと壊れ過ぎました……」
>

いけないいけない。
>

ヤケになっていました。
>

[Mana]
「――ッ!?」
>

反射的に飛びのいてしまう。
>

[Mana]
「……なに?」
>

音のした方向。
>

時計の針は、
>

きっちり午後8時を指していた。
>

[Mana]
「まさか……」
>

ふと、
>

鏡香が言っていたことを思い出す。
>

この別荘の中では、夜は白宮家の時間、
>

シンデレラリミットと呼ばれた時間。
>

まさか、もう胡桃と鏡香は――。
>

昨日の光景……
>

二人の争う姿がちらりとよぎる。
>

[Mana]
「っ!?」
>

私の予感を裏付けるように
>

扉の向こうで何かが割れたような、
>

甲高い音が響いた。
>

[Mana]
「まさかホントに……」
>

どうしよう、どうしよう。
>

二人がまた……殺し合っていたら。
>

[Mana]
「止めなくちゃ、だよね。
>

で、でも、どうやって……」
>

昨夜の二人の動き。
>

とても私に入り込むよちなんてなかった。
>

目で追うのもやっとだった。
>

それを止めるなんて……。
>

[Mana]
「できっこないですよぉ」
>

ううう、情けないけれど、無理無理。
>

絶対ムリ。
>

それこそ本当に殺されちゃう。
>

[Mana]
「うぅー……
>

でもほうってもおけないしなぁ」
>

また胡桃や鏡香がケガするのを
>

黙ってみていることもできないし。
>

[Mana]
「あの二人の前にまるごしでいくなんて自殺行為……あ、そうだ!」
>

なんの抵抗手段も持たない私でも、
>

あの二人に対抗する方法が
>

一つだけありました!
>

[Mana]
「フッフッフ……。
>

これでどうだぁ~!」
>

ちゃららら~ん、
>

のセルフ効果音とともに
>

私の手に握られている物。
>

それはすなわち!
>

[Mana]
「おたまとおなべ!!」
>

…………。
>

…………。
>

…………。
>

[Mana]
「な、なによぅ!?」
>

こっ、これでも、
>

必死に考えた結論なんですよ!?
>

戦闘具としてこれほど伝統的かつ格式高い装備はないんですからね!
>

[Mana]
「おたまで攻撃!
>

おなべでガード!
>

おなべはその重量をいかし、
>

攻撃にも使えます!」
>

死角など存在しない装備!
>

まさにパーフェクト!
>

私ってば天才かしら!?
>

[Mana]
「い、今笑ったなぁ!?」
>

[Inoue]
「まな様?
>

夕食なら先程お済ませにな、ら……
>

れたハズですが?」
>

固まった。
>

あの井上さんが、
>

私を見て一瞬固まった。
>

私って今そんなに壮絶で愚鈍で
>

空前絶後な感じなんですか!?
>

[Mana]
「あぁもう言語野も混乱です」
>

[Inoue]
「?? なにかご用でしょうか?」
>

なにごともなかったかのように
>

会話を続けてくるあたり、
>

さすがは白宮家のメイドさん、
>

といったところでしょうか。
>

[Inoue]
「ちらっちらっ……」
>

あ。でもすっごい私のこと、
>

不審な目で見てる。
>

やっぱり気になるんだ。
>

ここはこのまま勢いで――。
>

[Mana]
「井上さん!
>

私のこと攻撃してみてくださいっ!」
>

[Inoue]
「……え……は?」
>

固まった。
>

あの井上さんが二度固まった。
>

[Mana]
「いいから!
>

攻撃してください!
>

あたっく、みー!」
>

[Inoue]
「攻撃、と言われましても」
>

[Mana]
「メイドといえば戦闘!
>

井上さんだってなんらかしらたしなみはあるでしょ?」
>

[Inoue]
「もちろんです。
>

空手、柔道、合気道、
>

忍術やグレイシー柔術程度なら、
>

たしなんでおります」
>

ま、まにあっく~……。
>

[Mana]
「と、とにかくなんでもいいから、
>

かかってきて!」
>

[Inoue]
「では忍法……」
>

[Mana]
「ってストォーップ!
>

忍法禁止!
>

物理攻撃にして!」
>

[Inoue]
「さようでございますか。
>

一部の方々から、
>

割とウケはいいのですが……」
>

聞き取れないけれど、
>

すごく残念そうにつぶやく井上さん。
>

そんなにやりたかったのかな、忍法。
>

[Inoue]
「仕方がありませんね。
>

では失礼して……。
>

メイドのたしなみチョップ!」
>

来た!
>

[Mana]
「ほわわっ! い、今だ!
>

おなべガード!」
>

[Inoue]
「っ!?」
>

がいぃーん、と音をたてて、
>

井上さんの手刀は
>

おなべの底にはじかれた。
>

[Inoue]
「……これはなんのマネですか?」
>

[Mana]
「ひぅっ!?」
>

あ、あら?
>

井上さんご立腹?
>

っていうかチョップした手さすってるし。
>

痛かったんだ、絶対痛かったんだ。
>

[Mana]
「ごめんなさい、ごめんなさい!
>

ちょっと、あの二人に対抗する手段を
>

考えてたもので……」
>

[Inoue]
「あの二人?」
>

[Kurumi]
「ちっきしょう!
>

土地の利が向こうにあり過ぎる!」
>

[Kyouka]
「あぁら、
>

もう鬼ごっこは終わりかしら?
>

薄汚いねずみさん?」
>

[Mana]
「この……二人です……」
>

がっくし、とうなだれて二人を指さす。
>

[Inoue]
「なるほど」
>

納得してくれた様子の井上さん。
>

ひとまず井上さんのご立腹は
>

収まったようでよかったー。
>

[Mana]
「って!
>

二人ともなにしてるんですか!」
>

[Kyouka]
「あら見てわからないかしらまな?
>

ダイニングですることと言ったら一つ。
>

害虫駆除、よ」
>

[Kurumi]
「料理一つまともにできない奴が
>

なにをえらそーに」
>

[Kyouka]
「んなっ!?
>

そ、それとこれとは、
>

話が違うでしょう!?」
>

[Kurumi]
「やーい、やーい!
>

ぶきよー、キングオブ不器用!」
>

[Kyouka]
「こっ、この害虫の分際でっ!
>

いいですわ。
>

私にも調理器具が使えること、
>

証明してさしあげます」
>

言って鏡香が奥の調理場から
>

持ちだしてきたものは……。
>

[Kyouka]
「おーっほっほっほ!
>

このフライ返しで害虫を
>

料理してさしあげますわ」
>

[Kurumi]
「んがっ! なら胡桃だって!
>

えーと、えぇーっと……
>

あ! お姉ちゃんそれ貸してっ!」
>

[Mana]
「ふぇ? あっ、ちょっ」
>

[Kurumi]
「おたまとお鍋で勝負だっ!」
>

勇敢にもおたまで鏡香に
>

挑みかかっていく胡桃。
>

あぁぁ……私の装備たちがぁ……。
>

[Kyouka]
「アッハッハ!
>

そんな物で私に勝てると思って?」
>

だが軽く鏡香のフライ返しによって
>

いなされる!
>

うぐぅ。
>

そんなもので戦おうとしてたんだ、
>

私ってば……。
>

[Kurumi]
「うっさいわ!
>

アンタなんて、
>

まな板がお似合いなんだよっ!」
>

[Kyouka]
「まっ、まな板ですって!?
>

ま、まぁ、まな、と入っているから、
>

まなとお似合い。良いですわね」
>

[Kurumi]
「しまっ!?
>

いっ、いいワケあるかっ!
>

この自分勝手じこちゅー
>

フシギ解釈主義者が!!」
>

[Kyouka]
「あらあら、
>

墓穴を掘ってあわてふためくなんて、
>

いかにも害虫らしい行為じゃなくって?」
>

[Kurumi]
「害虫害虫って、
>

バカの一つ覚えみたいに言いやがって!
>

そんなんだからお姉ちゃんだって
>

ウザがってるのよ!」
>

[Mana]
「いやいや、それ言いすぎ」
>

[Kyouka]
「な!? そんなことありませんわ!
>

まなのことはこの私が一番よ~く!
>

私生活のすみずみまで知っているわ!」
>

[Mana]
「いやいや、それ怖いし」
>

[Kurumi]
「アンタがお姉ちゃんの
>

なにを知ってるっていうのさ?
>

笑わせないで欲しいね。
>

こっちは実の姉妹なんだ」
>

[Kyouka]
「そう、実の姉妹だからこそ、
>

踏み込めない領域だって
>

あるんじゃなくて?」
>

[Kurumi]
「……なに?」
>

[Kyouka]
「フッフッフ……。
>

青ざめたわね?
>

私はあなたの知らないまなを
>

たーくさん知ってるわ」
>

[Kyouka]
「そう、例えば……。
>

一昨年の8月3日、
>

近所の犬に吠えられて
>

手に持っていたアイストリプルを落とす」
>

[Mana]
「ええぇぇぇぇっ!!?」
>

[Kyouka]
「まだあるわよ」
>

[Kyouka]
「今年の4月28日、
>

電車のドアにスカートが挟まって
>

あたふたしているところを
>

周囲の男性達から好奇の目で見られる」
>

[Mana]
「いやあぁぁぁ!!
>

それトラウマになったんだから!
>

電車でドア付近に
>

立てなくなったんだからぁ!」
>

[Kyouka]
「これなんてとびっきり。
>

3年前の3月3日。
>

秘密のポエム集をノートと間違って
>

担任に提出してしまう」
>

[Kyouka]
「ちなみに1ページ目のタイトルは、
>

『青い恋と私』」
>

[Mana]
「いぃぃやぁぁ~めぇぇ~~れぇぇ~~!」
>

しぬぅ~! もうぢぬぅ~!
>

私のライフはもう0よぉ~!
>

ポエム集だけは、
>

私の黒歴史だけわぁ……。
>

[Kurumi]
「お、お姉ちゃん……。
>

胡桃の知らないところで、
>

そんなはずかしめをうけていたなんて。
>

くそっ! その場に胡桃がいればっ!」
>

[Kyouka]
「分かっていただけたかしら?
>

私の方がまなのことをよぉく知っているということを」
>

[Mana]
「うぅぅ……っていうか鏡香、
>

それどうやって知ったのよぉ」
>

[Kyouka]
「へ? そ、それは、まぁ……。
>

おもに……尾行とか隠しカメラとか」
>

[Kurumi]
「は、犯罪者ぁ!
>

すとーかー! ヘンタイっ!」
>

[Kyouka]
「ち、違いますぅ!
>

芸術家と言ってくださいぃー」
>

うわ。開き直った。
>

[Kurumi]
「もうこれ以上この変態を
>

ほうってはおけない!
>

お姉ちゃんになにするか、
>

わかったもんじゃない!」
>

[Mana]
「って、胡桃!」
>

いきり立った胡桃はおたまを握りしめて……ってしまらないわね。
>

[Kyouka]
「そんなものでどうしようというのかしら?」
>

そのくるみを迎え撃つ鏡香の手には、
>

フライ返しが……。
>

ってやっぱりなにこの絵面。
>

[Kurumi]
「うっさいうっさいうっさい!
>

目玉焼きもろくに作れないくせにっ!」
>

[Kyouka]
「あんなの、フライパンにたまご落として、醤油かけて出来上がりじゃないの!
>

害虫のエサにもなりゃしないわ」
>

[Kurumi]
「な……んだと?」
>

鏡香の言葉に胡桃が止まった。
>

けれど、なんだか様子が変です。
>

[Kurumi]
「オマエ、今目玉焼きに醤油をかける、そう言ったな?」
>

[Mana]
「妹よ、食い付くところは
>

そこでいいのかな……」
>

[Kurumi]
「古来より打打発止の議論を
>

巻き起こしてきた命題!
>

それは、目玉焼きにかける調味料!」
>

[Kyouka]
「下らないですわね。
>

そんな庶民っぽい議論。
>

醤油ったら醤油ですわ」
>

[Mana]
「鏡香が一番議論に火をつけてると
>

思うけどね……」
>

[Kurumi]
「やれやれ、
>

これだから素人さんは困るんだよねぇ」
>

[Kurumi]
「目玉焼きにはソース!
>

半熟の黄身と混ざり奏でるハーモニーはまさに至高!」
>

[Kurumi]
「はっ、それを醤油?
>

塩分の取り過ぎでそんなにヒステリックな性格になったんだねぇ?」
>

[Kyouka]
「い、言ってくれますわね。
>

カロリーの高いソースばかり食べているから、そんなに無駄なお肉が
>

ついているんじゃありませんこと?」
>

[Kyouka]
「これだから、最低限の味付けで
>

素材の味を楽しむというおもむきがない、
>

バカな庶民は困りますわ」
>

[Kurumi]
「なっ、なぁにぃ!?」
>

[Kyouka]
「もっとも、味を楽しめる素材自体、
>

手に入らない庶民でしたわね。
>

これは失礼を、オッホッホッホ!」
>

[Kurumi]
「むっきゃー!
>

黙って聞いてれば
>

いい気になりやがって!
>

このごうまん成金まな板女がぁ!」
>

[Kyouka]
「ま、まな板じゃありませんわ!
>

もう少しくらい膨らんで……って!
>

そんなことより醤油ですわ!」
>

[Kurumi]
「ソースったらソース!!」
>

妙に白熱してる二人。
>

でも内容がすごくどーでもいーです。
>

[Kyouka]
「ねぇっ!
>

醤油でしょうまな!?」
>

[Mana]
「や、え、えーと……。
>

いやぁ、まさかこっちに
>

火の粉がかかるとは……アハハ」
>

[Kurumi]
「バーカ! バーカ!
>

お姉ちゃんはいっつも胡桃と一緒に
>

ソースかけて食べてるんだから!
>

絶対ソース派!」
>

まぁ、なんでもいい……んですけどね。
>

っていうか私、醤油派でもソース派でもどちらでもないんですけどねっ!
>

なんてことをものすごい剣幕の二人を前にして言えるわけもなく。
>

[Kyouka]
「まな! どっちなの!
>

醤油でしょう! そうでしょう!?」
>

[Kurumi]
「ソースだよソース!
>

お姉ちゃんはソースなのっ!」
>

ええい、ままよ。
>

もうこうなったらしかたないです。
>

[Mana]
「わっ、私は塩派ですぅっ!!」
>

[Kyouka]
「な……っ」
>

[Kurumi]
「ウ……ソ」
>

おたまとフライ返しを手に静止する二人。
>

[Mana]
「でっ、でも醤油でもソースでも
>

食べれるよ?
>

私なんだってかけて食べられるから」
>

[Kyouka]
「醤油よねぇ……まなぁ?」
>

[Mana]
「はひっ!?」
>

[Kurumi]
「ソースだよねぇ……おねぇちゃん……」
>

[Mana]
「はひいぃっ!?」
>

ゆら~っと迫りくる二人。
>

こ、これはマズイ予感が……。
>

[Inoue]
「まな様、ここはお逃げ下さい」
>

[Mana]
「え? あ、はいっ!?」
>

 
>

途端に体が浮いたかと思うと、
>

井上さんにお姫様だっこされていた。
>

[Inoue]
「口を閉じていてください。
>

舌をかむと大変ですので」
>

[Mana]
「は、はむっ!」
>

[Kyouka]
「待ちなさい! まなぁ!」
>

[Kurumi]
「逃げるなおねえちゃん!」
>

[Inoue]
「では、私は失礼いたします」
>

私をベッドへ下ろし、
>

井上さんはそっと退室していった。
>

私、重くなかったかな……。
>

[Mana]
「はぁ、疲れました……。
>

もう寝ます……」
>

[Inoue]
「ちなみに私は塩コショウ派です」
>

[Mana]
「デスヨネー」
>
limit_panic/koroshiai2a.txt · Last modified: 2014/05/25 12:55 (external edit)