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limit_panic:event1b
1day/イベント1B.ks
Lines: 387
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[Mana]
「まったく……
>

ふたりとも仲が悪いんだから……」
>

広いお風呂も、
>

あんな大ゲンカのあとだと、
>

感動も半減です。
>

結局ふたりともそれぞれの部屋に
>

戻ったので、ひとりでもう一度お風呂。
>

だって、さっきはろくに洗えなかったんですもの。
>

おかげでこんな真夜中のバスタイムになってしまいました。
>

[Mana]
「それにしても、
>

ホントなにからなにまでお嬢様仕様」
>

浴場は、ひとりで入るにはちょっと
>

寂しいくらい広くて、
>

サウナはもちろん完備。
>

源泉かけ流しでライオンの口からお湯がどぼどぼ出るお金持ちオブジェつき。
>

そのうえ24時間フルタイム入浴OK、
>

と、スーパー銭湯も真っ青です。
>

[Mana]
「いやぁ、スーパー銭湯と比べるあたり、
>

私って庶民よねぇ、ハハハ」
>

自嘲さえエコー付きで聞こえてくるからたちが悪いです。
>

それでもお湯はとっても気持ちよくて、
>

つかの間、日常のいろんなことを
>

忘れさせてくれます。
>

[Mana]
「一緒にお風呂……入りたかったのに」
>

別にいやらしい意味じゃないよ?
>

ホントだよ?
>

[Mana]
「ふたりともケンカばっかして、
>

本当に困りましたねぇ……」
>

[Mana]
「どうにかして仲良くなれませんかね。
>

……ぶくぶくぶく」
>

口元までお湯につかって、
>

ぶくぶくぶくぶく。
>

小さいころよく、ゴジラ登場!
>

とかやりませんでした?
>

あ、やりませんでしたか。
>

ソウデスカ。
>

ぶくぶくぶく。
>

でででん、でででん、
>

でででででででででん。
>

[Mana]
(そういえば……胡桃、
>

元気なかったな……。
>

ちょっと叱り過ぎだったかな……)
>

[Mana]
(でも、悪ふざけにしても、
>

あんなことしておいて、
>

ホントにどちらかがケガでもしたら)
>

顔をばしゃばしゃと洗い、一息つくと、ライオンさんと目が合いました。
>

[Mana]
「よしよし♪」
>

なんか可愛く見えて、思わずナデナデ。
>

[Mana]
「――さて、それじゃあそろそろ
>

お風呂から上がって、
>

星でも見に行きますかね」
>

[Mana]
「それじゃあライオンさん、またね♪」
>

[Mana]
「ふう……ちょっと遅くなっちゃったかな?」
>

待ち合わせ場所には、
>

まだ誰もいませんでした。
>

来る前に一応胡桃にも声を
>

かけたのだけれど、
>

[Mana]
「メールのレスも、きてないし。
>

って、ちょっと遅れたかも」
>

思ってたよりも長湯をしてたらしく、
>

色々支度をしてたら約束の時間を
>

ちょっと過ぎちゃいました。
>

先に鏡香が来てるかと、
>

慌てて走ってきたのだけど――
>

[Mana]
「うーん、
>

もしかして先に行っちゃった?」
>

とっておきの場所で星を見る、
>

って言ってたから……。
>

どうしよう。
>

……もうちょっと待ってみよう。
>

と、
>

[Kyouka]
「ごめーん、まなーっ」
>

待つこと数分、
>

廊下の向こうからぱたぱたと音を
>

立てて鏡香が走ってきました。
>

[Mana]
「別にそんなに待ってな――」
>

[Kyouka]
「きゃーん♪」
>

[Mana]
「うわわぁっ!?」
>

走ってきた勢いそのままに、
>

両手を広げて抱きついてきました。
>

[Kyouka]
「へへ~、まにゃ~、
>

いい匂いがするぅ~☆」
>

[Mana]
「え? ああ、うん。
>

お風呂入ってたからね」
>

[Kyouka]
「せっけんの匂い……ふふ」
>

[Mana]
「や、ちょっと、何してるんですかっ」
>

[Kyouka]
「まなの体に変な匂いが
>

ついていないか、チェック、よ」
>

[Mana]
「へ、へんな匂いって……」
>

[Kyouka]
「くんくん」
>

いくら鏡香にでも、
>

体臭をかがれるのは、恥ずかしいです。
>

[Mana]
「も、もういいでしょ~」
>

[Kyouka]
「うふふ。
>

それじゃ、星を見に行きましょうか」
>

[Mana]
「っもぉ」
>

[Mana]
「星――見えないね」
>

設置されてるライトが眩しくて、
>

空の星もまばら。
>

[Kyouka]
「そりゃそうでしょ、
>

これだけ明るければ」
>

[Mana]
「だ……だよネー」
>

じゃあどうしてこんな場所に
>

連れてきたのよ!
>

と、小一時間鏡香を問い詰めたい
>

ところですが、ガマンガマン。
>

[Mana]
「だったら――」
>

[Kyouka]
「フフ。あわてないの」
>

両腕を広げて、鏡香は微笑んだ。
>

[Kyouka]
「さあ、見所はこれから、よ!!」
>

外灯、スポットライト、
>

サーチライトが一斉に消えて――
>

[Mana]
「……わぁ……」
>

空一面、星、星、星。
>

地元じゃあ、
>

こんな星空は絶対に見れない。
>

星がよく見えると、
>

天の川がどれだかわからない、
>

って言うけれど、
>

この星空はまさしくそれ。
>

[Mana]
「すごい……」
>

[Kyouka]
「この星空をね、見せたかったの」
>

……とん。
>

胸元に鏡香の頭。
>

ふんわりと抱きつかれました。
>

[Kyouka]
「一緒に、
>

まなとこの星空を見たかった」
>

[Mana]
「鏡香……」
>

[Kyouka]
「夜の中庭は私だけの場所。
>

そりゃあSPはいるけれどね。
>

ここへは基本的にひとりでくるの」
>

[Kyouka]
「大切な場所。
>

一番好きな場所。
>

だから――」
>

[Kyouka]
「一番好きな人と――来たかった」
>

[Mana]
「好きな、人……」
>

[Kyouka]
「……大好き、まな」
>

[Kyouka]
「でも、さっきは……ごめんね?」
>

[Mana]
「さっき?」
>

[Kyouka]
「……胡桃、さんとケンカ、したじゃない」
>

[Mana]
「ああ~……」
>

[Kyouka]
「私ね、まなを誰にも渡したくないの。
>

他の誰にも。
>

ふたりっきりになりたかった」
>

[Kyouka]
「だから……。
>

ねえ、まな?」
>

[Mana]
「うん?」
>

[Kyouka]
「私のこと、嫌いになった?
>

ああやって暴力ふるって、ケンカして、
>

……まな、私のこと嫌いになった?」
>

[Mana]
「い、いや……そんなことは」
>

ない。と言いきれるのだろうか。
>

自分の妹を殺しかけた親友を
>

心から許し、信頼出来るのだろうか?
>

[Kyouka]
「本当?
>

嫌いじゃない?」
>

[Mana]
「う、うん。嫌いじゃないよ」
>

嫌いじゃない……。
>

少なくとも、ウソはついてない。
>

自分の卑怯さと臆病さに、嫌気がする。
>

[Kyouka]
「本当??
>

よかった~!」
>

ほっと胸をなでおろす鏡香。
>

その笑顔を見ていると、
>

少し胸がチクリとした。
>

[Kyouka]
「私もまなのことが好き♪」
>

[Kyouka]
「だから、強引だったけど、
>

ここにまなを呼んだの」
>

呼んだ……というよりは拉致、ですが。
>

[Kyouka]
「本当はふたりっきりで過ごす
>

予定だったのに……。
>

手違いで胡桃、さんまで……」
>

[Kyouka]
「本っ当、邪魔なんだから……」
>

[Mana]
「え? なんか言った?」
>

[Kyouka]
「ううん、なんでもない。
>

こっちの話よ?」
>

[Kyouka]
「でも本当嬉しい。
>

まなとこうやって星空が見れて」
>

[Kyouka]
「本っ当……このまま時が止まれば
>

いいのに……」
>

[Mana]
「……鏡香」
>

[Kyouka]
「まな……」
>

時が止まれば、か。
>

それもいいかも、しれませんね。
>

[Kyouka]
「……ふふふ」
>

……ん?
>

[Kyouka]
「ふふっふふふふ☆」
>

急に笑い出す鏡香。
>

ちょっと、どうしたの?
>

[Kyouka]
「ふふふふふかふかっ☆
>

まなったら本当に
>

ふかふかの胸をしてっ♪」
>

[Mana]
「にゃあああああああっ!?」
>

[Kyouka]
「本当にもう、育っちゃって羨ましいっ」
>

[Kyouka]
「……私なんかこんなに……
>

ぺ、ぺた……なのに」
>

[Mana]
「えええええとね?」
>

[Mana]
「鏡香は小柄でスマートで、
>

私からすれば羨ましいくらい」
>

[Kyouka]
「本当?」
>

[Mana]
「本当、本当」
>

[Kyouka]
「そっか……えへへ……」
>

[Kyouka]
「ねぇん、まなぁ。
>

鏡香のこと、ぎゅってして?」
>

言いつつ、指先で私の首筋を
>

つつーぃっと……って!?
>

[Mana]
「ふわぁぁあああぁっ!?」
>

不意のぞわぞわに
>

思わず鏡香に抱きついてしまう。
>

[Kyouka]
「きゃーん☆
>

まなったら大好きーッ!!」
>

さらに顔を胸に埋めながら、
>

ぐりぐりと首を横に振る鏡香。
>

[Mana]
「んぁっ、ちょ、鏡香……やめ……んっ」
>

[Kyouka]
「ふふふ。
>

まなったら本当に可愛いんだから……
>

その声聴いてると……」
>

[Kyouka]
「私、ゾクゾクしちゃう……」
>

[Kyouka]
「ウフ、フフフ」
>

[Mana]
「鏡香?」
>

[Kyouka]
「あぁ、まだダメダメ。
>

ねぇ、まな……」
>

[Mana]
「なぁに?」
>

[Kyouka]
「ちゅー☆」
>

目を閉じて「んー」と
>

唇を突き出してくる鏡香。
>

ちょっとちょっと!?
>

[Kyouka]
「んぅー☆」
>

[Mana]
「……えっと……」
>

どうしよう、と視線をさ迷わせ――
>

目についてしまった歪なモノ。
>

薄暗い中でも見えるくらいにはっきりと。
>

鏡香の白い肌に、痣ができていました。
>

[Mana]
「――ちょっと、
>

鏡香、これ――」
>

[Kyouka]
「え? ああ、うん。
>

これ、さっきのよね?」
>

[Kyouka]
「え? 大丈夫よこれくらい。
>

なぁに? まなったら私のこと心配してくれてるのかしらぁん?」
>

目を凝らしてよく見てみると、
>

ほかにもいっぱい怪我してます。
>

[Mana]
「全然大丈夫じゃないじゃない!」
>

キスとかそれどころじゃありません。
>

すぐに手当てしないと!
>

[Kyouka]
「これくらい……平気よ」
>

[Mana]
「平気、とか大丈夫、とか
>

本人の口から言って本当に
>

平気だった時なんてないんだから!」
>

[Kyouka]
「……それじゃあ」
>

[Kyouka]
「井上に用意させるから、
>

私の部屋で手当してもらえるかしら?」
>

鏡香の部屋、で手当してもいいけれど、
>

私の部屋に簡単な救護セットが
>

おいてあったような。
>

[Mana]
「私の部屋に救護セットあるから、
>

出来ると思うよ?」
>

[Kyouka]
「そう、ね。
>

それじゃあ、
>

まなの部屋にお邪魔しますわ」
>

[Mana]
「ほぉら!
>

動かないの!」
>

[Kyouka]
「きゃははっ、
>

やっ、ひゃはは、だっ、だってぇ~」
>

[Mana]
「動くと湿布貼れないでしょ!
>

じっとする!」
>

[Kyouka]
「はぁい。
>

ひっ、ひゃははははっ!
>

くすぐったいってば! まなぁ!」
>

あーもう。
>

この子はどうしてこうもむやみやたらと
>

ハイテンションなのかしらっ!
>

[Mana]
「はいっ
>

おしまいっ」
>

ぱしっ、と少し強めにシップの上から
>

鏡香をはたいて手当しゅーりょーです。
>

[Kyouka]
「いーたーいー」
>

[Mana]
「つーん」
>

不満そうな声にもしらーんぷりです。
>

[Kyouka]
「ちょっとまなぁ、
>

それって私のポジションじゃないの?」
>

[Mana]
「わがままお嬢様なんて知りません」
>

[Kyouka]
「むぅ……まながその気なら、
>

えぇーいっ!」
>

[Mana]
「ふぇ? はわわわっ!?」
>

[Mana]
「ったたたた……」
>

鏡香に飛びつかれて、
>

ベッドに転んじゃったじゃない。
>

[Kyouka]
「……まな、の手が、私の胸に……」
>

[Mana]
「って、ええええええ!?」
>

なに!?
>

なにこの体勢!?
>

どうして私が鏡香の上になってるの!
>

これじゃあまるっきり、
>

私が鏡香を押し倒したみた――
>

[Kyouka]
「ぁん。まなったら、
>

ダ・イ・タ・ン♪」
>

マテマテマテマテ!
>

[Mana]
「ちっ、違うから!
>

不可抗力だからっ!!
>

こんなどこかで見た展開おいしいとか思ってって私ったら何言って!?」
>

ああああああ、落ちつけ私!
>

やっぱり鏡香の胸ぺったんこで
>

可愛いなぁコンチクショウってわあああ
>

何考えてるのバカバカバカバカ!
>

[Kyouka]
「まなの手がしっかりと私の胸を
>

もみしだいていても、
>

それでもまだ不可抗力かしら?」
>

ハッ!
>

ついつい動揺して手をワキワキと……。
>

[Mana]
「って、してませんからっ!」
>

危うく罠にかかるところでしたよ!
>

[Kyouka]
「してもいいよ?
>

私……まなだったら……全部、いいよ?」
>

マジ……いやいやマテマテマテマテ!
>

早まるんじゃないですよ。
>

花も恥じらう乙女でしょうがアナタ。
>

[Mana]
「ばっ、バカなこと言ってないで、
>

手当が終わったらさっさと――
>

きゃぁっ!?」
>

[Kyouka]
「逃がさない」
>

[Mana]
「ちょ、ちょっときょう、か……」
>

目と鼻の先。
>

互いの吐息がかかる距離。
>

少しあごを沈めれば、
>

鏡香の小さくてつややかな唇に……。
>

[Kyouka]
「くすっ、触れてみたい?
>

味わってみたい?」
>

私の心を見透かしたような言葉。
>

規則的に開閉する鏡香の瑞々しい唇に
>

私の目は釘づけにされていた。
>

[Mana]
「ぁ…………」
>

[Kyouka]
「ほぉら、
>

まなの前にある女はまるで無防備。
>

あなたの好きなだけ、
>

あなたの好きなようにしていいのよ」
>

鏡香のように美しい女性を意のままに。
>

[Kyouka]
「血がにじむほど乱暴にむさぼっても、
>

われもののようにいとおしく扱っても、
>

全て、まなの自由」
>

それはいかに同性といえど、
>

動揺するには十分すぎる提案。
>

[Kyouka]
「それとも……。
>

まなは私に乱暴にされたいのかしら?」
>

くすり、と笑みを浮かべながら、
>

私の首に鏡香の白く細い腕がかかる。
>

と――
>

[Mana]
「鏡香……それ……」
>

[Kyouka]
「――ッ!?」
>

倒れた拍子にはだけた服の隙間。
>

鏡香の白い絹肌には、
>

およそ不似合いな、
>

きずあと――
>

さっき中庭で見えた傷とは、
>

また異質の痕。
>

明らかに年代の古い傷跡。
>

[Kyouka]
「…………」
>

[Mana]
「…………」
>

重い沈黙。
>

[Kyouka]
「…………見た?」
>

[Mana]
「…………う、ん」
>

真剣な鏡香の瞳に見つめられては、
>

首を横には、振れませんでした。
>

[Kyouka]
「目立つ傷だから、隠していたの。
>

気にしないで、まなになら、
>

別に見られてもかまわないもの」
>

[Mana]
「う、うん、ありがとう……」
>

他になんて返していいのか、
>

わからなくて。
>

[Kyouka]
「ふぅ、今夜は興がさめたわね。
>

いいわ。今夜は逃がしてあげる」
>

[Mana]
「鏡香……」
>

[Kyouka]
「手当、ありがとう。
>

助かったわ」
>

やっぱり気にして……。
>

[Kyouka]
「それじゃあ、おやすみなさい。
>

よい、夢を」
>

[Mana]
「あ、うん。おやすみ」
>

ただ、淡々と別れをかわし、
>

鏡香は部屋を出て行った。
>

[Mana]
「あの傷……どうしたんだろ」
>

新しい――胡桃とのいざこざで
>

出来た傷でないことは、
>

私の目にも見てとれました。
>

[Mana]
「鏡香……」
>

まだ私の知らない鏡香が
>

見えた気がして、
>

少し距離を感じてしまいました。
>
limit_panic/event1b.txt · Last modified: 2014/05/25 12:55 (external edit)